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【87・新たなミカタ2】

 アリアがエルフの人とは話しているのを横目で見つつ僕は目の前の自分より幼い子供と話をしようと、膝を着き話を聞いていた。

 

 

「なるほどね。お母さんと妹に食べさせたいんだ?」

 

「……うん。でも、あんまり金ない。母ちゃん、身体壊して寝てばっかりだから、甘いの食べたら元気になるかなって思って。ルイは甘いのなんて食べた事ないんだ。だからさ、食べさせられたらって……」


「うん、優しいね。……君は本当に優しいよ」

 

 

 僕は彼の頭を撫でると、子供扱いすんな! っと手を払われてしまった。

 

 

「うーん。それじゃ、どうすればいいと思う?」

 

 

 気分は近所の兄ちゃん。

 ただし、見た目は気にしないでいただきたい。前世の姿だったらお巡りさんこいつです。という犯罪臭しかしない案件だが、今なら大丈夫。子供だから安心して欲しい。

 誰とも無しに言い訳していると、僕の問いかけにちびっこは少し考えると僕を見て稼ぐと言ってきた。

 

 

「うん。そうだね。それなら、あの屋台でお手伝いしてくれないかな? 今から今日、終わるまで居てくれたらお金を渡すよ。それで、帰る時に買って行くといい」

 

「わかった。お前もあの屋台で働いてるのか?」

 

「お前って……。僕はリューリ・ライヘン。君は?」

 

「カイ。 お前、お貴族様なのに変な奴だな」

 

「変な奴って酷いな。まぁ、貴族っていっても辺境だし、周りに冒険者とかいっぱい居るから僕は気にしないけど、他は分からないな」

 

「ふーん。なぁ、あの喋る魔物はなんだ?」

 

「アリアかい? あれは、僕と従魔契約をしてるから大丈夫だよ」

 

 

 屋台へと戻ろうとカイを促すと、アリアが知り合いと話が終わったのか僕たちの元へとやってきた。

 

 

「おや、そっちも話が終わったようだね。リューリ、喜びな。コイツがあの件で手を貸してくれるよ」

 

 

 アリアと共に居るのは、あの時のエルフ。ダンジョンでは、アリアが何か色々と気になる事を言っていたが、見たところさすが、エルフというだけあってイケメン。



「はじめまして。リューリ・ライヘンです。この子はカイ。これから屋台を手伝ってくれるんです」


「ご丁寧にどうも。僕はリレック・リーフ・ツァイブル。気軽にリレックと呼んで構わないよ。話はある程度聞いたよ。何やら面白い事をしたいみたいだね。僕が何処まで力になれるか分からないけど、よろしくね」



 にこやかに挨拶をしてくるリレックさんに、何となく親しみを感じた。



「リューリ、騙されるんじゃないよ。コイツは残念エルフで十分さね」


「残念エルフって……」


「アリア、第一印象って大事だよ。余計な事言わなくていいからっ、ねっ?」



 アリアに向かって必死に言い訳のような事を話すのと、それを軽くあしらうアリアの二人の様子気の置けない距離を感じて、少し寂しく思う。

 でも、フェアリアルキャットとしての過去を持ちながらも、上手く順応している今のアリア改めて凄いと感じた。


 未だに傍から見ればエルフが人語を話す小さな魔物? 相手に言い合いというかじゃれている様子は、うん、目立つ。他人の振りをして放置しようかなと、思っていれば、袖を軽く引っ張られる感覚。

 見ればカイがちびっこらしからぬ呆れた表情で僕の耳元に顔を寄せてきた。



「なぁ、アイツら放っておいて行こうぜ」


「あー、うん。僕も同じ事考えてた。あまり、店から離れてるのも悪いからね」



 そうと決まれば、互いに頷きあいそろりと距離を取る。幸い二人は未だ気付かずじゃれ合ってる。



「アリアー! 先にカイと戻ってるねー!」


「え?! あっ!! ちょっ、リューリ! 置いて行くんじゃないよ! このっ、抱き上げるなっ! はーなーせー!」


「いいじゃないか! 僕と君の仲だろー!」



 うわー。いつの間にかあのアリアを抱き上げてる。暴れてるけど、リレックさんは離す気なさそうだ。



「うん、気が済んだら戻ってきてね!」



じゃっ!とアリアを見捨ててそういうと、僕はカイの手を引き屋台へと戻ったのだった。

 

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