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第七話:実家での新しい生活

私の実家は東北でそば屋を営んでいた。

店に着いたときは『休業中』と看板が出ていた。

実家と仕事場は結構離れていて、車で30分ぐらいかかる。

でも家の近くには自然がたくさんで、店は国道沿いの好立地だ。

そんな中、自分の仕事が始まった。


そばは昔、親の手伝いをしており、そこそこ打てる。

そして数日後には店を開店させた。

しかし常連客は『味が落ちた』とあまり来なくなった。

客はほとんどが旅行者になった。


私はしばらくまた店を休業する事にした。

そして長年親父と店を切り盛りしていた母親に相談した。

母親は気を使ってたのか「確かに味が落ちてるわね。」とその事を初めて言った。

俺は「何で早くそういう事言ってくれないのさ?」と少し怒った。


何にせよ、行き詰った。

そして入院している親父に話してみる事にした。

親父は「一度自分のそばをもってこい。」と言ってきた。

なのでその日に作って持っていった。

親父はそのそばを、ダシの取り具合や面の硬さなどボロクソ言った。

ちょっとショックだったが、さすがに親父だなと見直した。


それから一週間ぐらい作っては親父の所に持って行くという日々が続いた。

そして「これなら開店してもいいな。」と親父が言った。

次の日、再開店したのだった。



最開店の日、うっすら初雪が降った。

そして来なくなっていた常連客が久しぶりにたくさん来た。

反応は「うまい!また来るよ。」とほとんどの人が言ってくれた。

そしてその評判は評判を呼び、客がたくさん来るようになった。


そんな忙しい日々が続く中、彼女との遠距離恋愛は続いていた。

そして仕事の合間を見てラブソングを一曲作った。

それを彼女に聴かせた。

彼女はそれを聴き終わった後、こう言った。

「何でラブソングなの?もっと伝えたいって事って無いの?」と。

私は「せっかく作ったのに…。」と電話を切った。

それから電話はしなくなった。



そば作りにも余裕がでてきて、店でそばを作るかたわら店の奥でメロディーを作るようになった。

歌詞を付けてない曲をだ。

その音を常連客に聴かれ、たまに店で曲を披露するようになった。

そして、歌うそば屋として一部で有名になった。


歌う曲は以前作った自作の曲のラブソングが中心だった。

常連客の人は、最初は『良い曲だね』と聴いていた。

しかし数週間経ち、聴きたいという人がいなくなってった。

仲の良い人になんでか聞くと『ありきたりすぎる』と言われた。

これにはショックを受けた。


それから一週間ぐらい経った。

親父の病気は大分良くなり、退院して仕事をするようになった。

そして数日後、俺に言った。

「お前、頑張り過ぎだ。少し休まないともたないぞ。」と休養をとるようにと命令した。

確かに仕事は順調だったが、曲作りがうまくいかなくて悩んでいた。

それを見透かして、家で休むように言われたのだった。


家では自分の好きな様に過ごせ、自分の好きな物を作って食べる。

そして、今まで生きてきた人生を思い返し、そして考える時間ができた。

…楽しい事、それは恋愛だけじゃない。

日々の生活の中でいろいろと歌にして伝えたい事がある事に気が付いた。

その目標ができ、曲作りに没頭するようになった。

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