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第六話:転換期

引越しの日、小杉も手伝いに来てくれた。

久しぶりの運動に楽しさすら覚え、外の空気に感動した。

小杉は『ようやく引っ越したか』と私に気を使ってくれている様だった。

その引越し先は、実は小杉に教えてもらった所である。

大家さんが良い人との事で進めてきたというわけだ。

小杉に感謝、感謝である。


大家さんが良い人かどうかはわからなかった。

ただその奥さんは働き者だった。

毎日すごい量のおかずを作ってくれる。

その下宿にはリクライニングスペースもあって、他の部屋の人とも仲良くなった。

ものすごく大きな変化が私には楽しかった。


彼女とはその変化のせいか仲が良くなっていった。

男性のみの下宿なので彼女は来れなくなったが、デートの雰囲気がすごく良くなった。

彼女は「前と変わったね。」と喜んでくれた。


自分の中で彼女と出会う前、生活の大きなウエイトを占めていた音楽は、フォークギターで流行の曲を歌うようになっていた。

しかし自分では曲を作らなくなった。

『彼女との仲が壊れてしまう』と思い込んでしまっていたからだ。

でも幸せな生活が続いた。


そんな幸せの最中、親から突然一本の電話が入った。

親から電話なんて大学入ってから初めてだった。

それは親父が病気で倒れたとの事だった。

秋も終わりの季節だった。


それを皮切りに私はふさぎがちになった。

彼女はそんな私を支えてくれた。

しかし日が経つにつれ一向に暗いままの私を見てあきれられる様になり、それが巡って余計ふさぎこんでいった。

そして初めてそのことを大家のおやっさんに話した。

大家さんは小杉が言った通り良い人だった。


次の日、大家さんは私を釣りに誘った。

初めての誘いだった。

『気分転換』との事だった。

あまり釣れなかったが、いろいろな話をして少し頭の整理ができた。


その日、家から電話があった。

親父の容態は一向に良くなってないらしかった。

そしてその電話で母は「家を継いでほしい。」と言ってきた。

私は決心した。

大学をやめて家を継ぐ事に。


次の日、彼女にその事伝えた。

そして『一緒に来てくれないか?』と言った。

彼女は言った。

「音楽を作らなくなったあなたはつまんない。私は大学もあるし。互いの距離を少しおきましょ。」

という事で次の日、家に帰ることになった。

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