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第二話:鼻歌での引き会い

数日後の昼食後、学校近くの公園でのんびりしていた。

空を見ながら何気なく鼻歌を歌っていた。

すると突然「また同じ歌を歌ってる(笑)」と。

声の方向に目線を移すと、この間の女性がいた。

「こんにちは。」と、その女性は声をかけてきた。

「あ、ども。」と私。

「隣、いい?」とその女性。

「え?え?!…あ、いいですけど…。」と困惑気味の私。

「その曲、よっぽど好きなんですね(笑)。」

「あ、はい。」

「私は千夏ちなつ。あなたは?」

冬真とうま。」

と、なぜか普通に自己紹介。

彼女の雰囲気がそうさせてしまうのか。不思議だ。

「その曲は…確か3年前くらい前の曲ですね。」と彼女。

「よく知ってるね。あんまり売れてなかったけど。」と私。

「ええ。私、その曲、とっても好きでした。」

「俺は高3のバンドで歌ってたんだ。」

「え?ホント?」

「ああ。俺以外のバンドメンバーは一人としてやりたいってやつはいなかった。」

「へー。良い曲なのに。」

そうして切れ間無く10分ぐらい喋っただろうか。

私は妙な高揚感を感じていた。

そして会話がふと切れた。

私は横になり空を見た。そして言った。

「空って綺麗だね。」

「うん。」

「君も寝っころがって見てみなよ。」

「うん。」

青い空、白い雲。うーん曲になるなとか考えていると、

「私、つらい事があったんだ…。」

といきなり彼女が言った。

「え?」

「それでまたあなたがいて、この間のように歌ってて。それで声かけたの。」

「あ、そうなんだ。」と私。

「…話せるのなら何があったか聞かせてくれないかい?」

「…おばあちゃんがね。昨日亡くなったの。私おばあちゃんっ子で。今日は休もうと思っていたけど元気が出ればなと思って学校来たの。そしたらあなたの歌が聴こえて…。」

「そうなんだ…。」

なんか急にその人の心を支えたいと思えた。

そしてしばしの沈黙。

「…少しは元気出たかな?」

「うん。すごく。ありがとう。」

『キーンコーンカーンコーン』とチャイム。

「あ、いっけない。次、授業だった。私行くね。」

「うん。わかった。」

そうして彼女と別れた。

その日はそのことで頭がいっぱいだった。

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