第十三話:初まりの季節
それから数回全体で練習を行った。
ベースが増えたので千夏はベースパートを止め、リードギターパートとコードを弾くようになった。
「本当はリードギターがいればいいんだけどな。」と俺は言った。
リードギターパートを合わせて俺がやると言う案も出たが、そんなにギターは上手じゃなく、廃案になったという経緯を持つ。
先生はベースがかなりうまく、たった一日でほぼぴったり息を合わせてきた。
しかも全体の構成も考えてくれ、以前のライブよりも一段、いや2段ぐらい良くなった。
その4人でのライブは最初、俺の作詞・作曲以外の曲はやらなかった。
そして5回ぐらいライブをしたが少々マンネリ化してきてしまった。
常に変化を求める俺や千夏は次第に飽きてしまった。
そうこうして初めてのライブから1ヶ月ぐらい経った。
そのくらいから千夏が歌詞を書いて来る様になった。
女性らしいその歌詞は最初、抵抗はあったが、先生の力もあって良い曲になった。
俺はその歌詞にメロディーを付ける担当になっていった。
そしてボーカルは千夏がたまに自分の歌詞の歌を歌うようになった。
すごく幅が広がった感じがした。
そしてますますそのバンドの人気が上がっていったのだった。
そうこうして忙しい日々が続いた。
春も初まりという季節、俺たちカップルは大きな変化があった。
2人で同棲する様になった事だ。
下宿のおっちゃんも「もうお前なら大丈夫だな。」と言われた。
バンドのおかげで金銭面では問題はない。
2人の仲も安定していて、以前のようなとんがった感じは今は全くない。
すごく仲の良い2人の生活が始まったのだった。