91 黒道襲来
龍天武院へと続く、山道を走るに似つかわしくない、40人は有に乗れるバスが3台。それに続くように高級リムジンが続いて走っていた。
「こ、これほどの人員を5日で、集めるとは、さすが、清彦様です」
朱里の父である、内宮漉緒は、天満清彦をよいしょする。
「ふふ~ん。そうだろう。そうだろう。ボクチンの力をもってすれば、これくらい造作もないのさ」
最後尾の高級リムジンの後部座席にどっかりすわる。肥満の男。それにゴマをする中年男性。
そして、もう一人の同乗者は黒のスーツをきた男。
「我々に任せる。黒道『カマギ』がウケタから大丈夫。ところで、取り戻す。お嬢さんだけ?」
「は、はい」
「つまり、残りはもらっていい?」
「むふふふん。根こそぎ奪ってくれたまえ。なぁにボクチンならそれくらいの簡単にもみ消せる」
その言葉に、黒ずくめの男は下卑た笑みを浮かべる。
門へとたどり着くと、黒ずくめの男たちが100人が左右に分かれて整列する。
「『龍天武院』とは、随分と仰々しく生意気な門だとおもわんかね?」
龍天武院の門を見上げながら、ゴミを見るかのように漉緒へと声をかける。
「はい、ごもっとも」
完全な腰巾着としてゴマをする。
「うむ。え~と君名前はなんだったかな?」
黒ずくめの男に声をかける。
「サマギだ」
ぶっきらぼうに答える。
「あの門を壊せ」
その命令にサマギは近くにいた、2メートルのある肥満体の大男に顎でさし
「クチェ。壊せ」
「イェ」
そう命じられままに門に体当たりを始める。
何度も何度も体当たりをするが壊れる気配はしない。サマギも清彦も苛立ちを覚え始めたころ、門が開き、クチェと呼ばれた男が転がりはいり、全員が院内へと雪崩れ込む。
「夜分に何用ですか?」
怒気を込め、不愉快そうに修練場へと入ってきた黒ずくめの男たちを見下ろす。
「見下ろすとは不敬な奴だな。ボクチンは十大財閥の一つ、天満家のものだぞ! 頭が高いぞ!」
腕を振り回し、怒りながら唾を飛ばしながら叫ぶ。
「それが夜分にくるのと何か関係が?」
「ボクチンのお嫁さんの朱里ちゃんを返せ! それとここをよこせ。そしたら許してやらんこともないぞ」
まるで名案を伝えてやったとばかりに鼻息荒く、叫ぶ豚。
「とのことですが、朱里さん。もしかして以前言っていたお見合い相手とは…」
音によって、朱里を始め全員が集ってきていた。
「うん、そうだしぃ……ていうかクソオヤジまで来てるぅ……うわぁ……最悪」
「あれ? 真守さん。あの方てたしか」
「うむ、天満清彦殿だな。天満家現当主の甥にあたる人物でありますな」
「ですわよね。朱里さんのお見合い相手というには、年が離れすぎてるのではありませんか?」
「あぁしだって、したくて、したわけじゃなくてクソ親父にだまされてぇだし!」
「つまり、帰る気は、毛頭なしでいいんですよね?」
「もちろん! ここは楽しいしぃ!」
「わかりました。では、師父として、わたしがでましょう」
そういうと、龍雄は飛び降り、4m下の修練場へと音もなく着地してみせた。
「朱里さんは帰る気はないそうですので、お引き取りください」
その答えに、黒ずくめの男たちは、ゲラゲラと笑い始める。
「ふん。名もない弱小のクランが『龍天武院』なんぞ御大層な名前を掲げおって。痛い目に合わないと分からんようだねぇ」
嘲るように清彦はニタニタと笑う。
「弱小ですか」
龍雄は小さく拳を握る。
「まぁ、建物はゴミにしては立派かもねん。でも、ゴミはゴミ。クズクズ門派の癖になまいきなのねん」
ギリッと、龍雄は奥歯を噛み締める。
「身の程を教えてやるねん。サマギ」
すっと、一歩前にでると。
「このイルボンに、分からせてやれ」
そういって、指を鳴らすと黒ずくめの男たちは、各々の武器を構える。
「大人しく帰る気はなしと……どうみても堅気では、ないようですしね。それに――」
龍雄の目の前には――
――天武クエスト――
――龍天武院門主の武威を示せ――
――襲撃者の撃退――
と、表示されているのであった。
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