07 朋友散遊
竹田龍雄。46歳。ただ今、無職。入院生活は快適でした。
このホテルじゃなくて、病院快適すぎます。欲しいものがあったらタブレットで注文できます。下着類だけでなく、部屋着にジャージも買いました。あと、甚平も楽です。
燕慈さんを始め、みなさんがお見舞いにも来てくれました。凄く驚かれました。ちなみに燕慈さんは毎日来てくれてます。真守さんはいろいろと事情聴取などの手続きをしてくれたそうです。『返老還童』というのは、特異な事はやはり、大変な事なんですね。
快適だった入院生活も本日まで。退院手続きなども済ませ。荷物は郵送しました。とりあえず服装はジャージでいいですよね。黒色でかっこいいですし。
「退院おめでとう。なの☆」
朱里さん。決めポーズでしょうか? かわいいとは思いますよ。
「龍雄さん。退院おめでとうございます」
「おめでとうございます」
燕慈さんに、真守さん、菜桜さんも来ていただきありがたいですね。
「みなさん、本日はお願いしますね」
本日は、みなさんに頼んで、衣服などを買い揃えようと思いお願いしてみまたら、快諾をいただけて助かりました。
体が若返り、若者らしい格好をしないといけませんと、周りから違和感を覚えられてしまいますからね。
「とりま、その髪だよねぇ」
「そうですね」
「菜桜ちゃんもそう思うよね?」
おや、なかなか仲良しになっておりますね。それは良い事です。
「な~の~でぇ~あぁしの知り合いの美容師さんにお願いしてきました」
「それ大丈夫なのかよ?」
「フッフッフッ、あぁしのネコ友だから。大丈夫! ねこちゃんのトリミングもできるぅ。すごウデェだよ」
胸を張られても安心てぎませんけど……まぁ、わたしも千円カットでもいいのですから、ここは案内してもらいましょう。
「ここだよぉ。今日はお店お休みだけどぉ、特別にぃ、開けてくれたんだぁ。マリリンきたよぉ~」
す、すごく高そうなお店です。というかカット16000円て、高級店ですよね!?
「いらっしゃぁぁぃいいい❤」
す、すごく野太い声が……
「まぁまぁまぁ、ずっっっごぃぃぃいイケメンじゃなぁぁぁぁい❤
カスミンがイケメンていうから、期待してたけど期待以上だわ❤
ふふふふ。わたしは、ここのサロンのオーナーのぉ金上院マリリンよぉぉぉ❤」
声以上に、ごっつい人がきました!?
真守君よりも身長高い……198㎝くらいか? しかも色黒というか真っ黒に金髪坊主にピアスめちゃくちゃしてますし? 髪も金髪で短髪ドレッドて、攻めすぎではないでしょうか?
「それに、連れの男の子たちも。とってもキュートなお尻をしているわぁぁぁあ❤
あぁ、わたしのコルトバイソンが興奮しちゃう❤」
ば、バイソン? すごく危険な予感が……大丈夫ですよね?
「マリリン。それでカットおねがいできる?」
「うぅぅん。合格よ。気合もばっちりよ❤❤❤」
そのフリフリのフェミニーなエプロンは……特注でしょうか?
「マリリンは芸能人も御用達の凄腕なんだよ。今日は特別無料でしてくれるんだよぉ」
「それは……」
タダ!? お、恐ろしい…社会人にとってタダより怖いものはありません。美味しい話には必ず裏があるのです。
「ふふふふ、安心してぇ。そこまで理不尽なことじゃないよぉ❤
わたしのインスピレーションのままにカットさせてもらって、写真を撮らせてもらえればいいのぉぉ❤
気に入らなかったら、何度でもやり直すわよ❤」
写真だけですか……それくらいなら。
「わかりました。いつもは、適当に切ってもらってましたから拘りもありませんし。わたしなんかの写真でよければ」
「では、こちらに座ってちょうだないなぁ❤」
「よろしくお願いします」
「ふぉぉぉぉぉぉ、イケメンスマイルきたぁぁぁぁ。妊娠しちゃうぅぅぅぅ❤❤❤❤❤❤」
カットの腕前は……確かに素晴らしいです。ただ、時折、筋肉を誇示するポージングは何なのでしょうか?
「こんな感じでどうかしらぁ❤?」
これは、イイですね。ロングヘアーも縛れば鬱陶しさもありません。
「いいですね。せっかくこの長さになったので、ちょっとこの長さを楽しみたいと思えますよ。ありがとうございます。マリリンさん」
「ふぉぉぉぉぉお。我が人生に一片の悔いなし!!!」
いや、あの写真とられるのでは? 天を仰ぎながら拳を天に告げ挙げて固まってる?
1時間後――
疲れました。凄く撮られましたね。けど、名刺もいただき、今後もカットをしてくれるそうです。
「さて、次は服ですが、スーツは欲しいんですよね」
正直、服はわかりません。ここ最近はスーツかスエットかジャージでしたし。けど、スーツは外せません。礼服とビジネス用は良いものは必要です。
「スーツはお父様の紹介で、いいテーラーを紹介できるそうですよ」
個人テーラーは一見さんお断りもありますし、ご縁もあるでしょう。予算内でいいのを仕立てて貰えるといいですね。
「それはありがたいですね」
「ただ、先方の都合もあるので少し日にちをもらえればとのことなのですが」
それなら仕方ないですね。セミカジュアルの服などを見繕ってもらいましょう。
「ファッションといえば、ここだよねぇ。清宿ミーミル。ここなら服でもなんでもそろうよぉ」
若い人が多いですね。しかも、見られてます? いえ、自意識過剰ですね。なにせ皆さん美男美女ですからね。
「はい、じゃーみんなで決めた通り龍雄さんに似合いそうな服を買って集合ね。だれが一番かは龍雄さんに決めてもらうということで、一時間後にここに集合ねぇ」
朱里さん!? というか皆さんどちらに!?
「あ、あの~」
なんか皆さん、いっちゃいましたね。えっと……うん、待ちましょう。
手持ち無沙汰です。あと、遠目からの視線は感じます。恥ずかしいですね。やはり、サンダルとジャージは似つかわしくないでしょう。みなさん早く戻ってきてください。視線が痛いです。
一時間後――
きっちり一時間でしょうか?
「ハイ、じゃー誰のが一番似合うのか対決」
「いえーい。でいいんですよね?」
「どうなのだ燕慈殿?」
「まぁ、こういうのはノリでいいんだよ。うん」
皆さん楽しそうで何より。さてと、何やら個室に連れてこられましたが……?
「というわけで、龍雄さん、この順番に来てくださいぃ☆」
流されるままに、渡されましたが、レンタルルームというやつですかね? とりあえず、着替えてみましょう。
えっと……一番は
「どうでしょうか?」
どなたが選んだのかわかりませんが、袖なしのレザーのジャケットに革のロングパンツて攻めすぎではないでしょうか。あと、銀のアクセサリー多くありませんかね?
燕慈さん、真守さんなぜ顔を背けるのでしょう。悪くはないと思いますよ。朱里さんも頬を掻いてますけど、そして、菜桜さん「もう少しシルバーを……」ってもしかして菜桜さんですか? この服選んだの?
さてと、お次は、トラが背中に印刷された真っ赤なスカジャンにタンクトップ、ジーパン、なんというか80年代のアメリアの青春ドラマとかに出てきそうな格好ですね。
うーん、なんとも微妙ですね。みなさんも「コーデは悪くないと思うけど」「雰囲気があってねぇな」「もっとシルバーを……」という反応ですね。菜桜さんどんだけシルバーを巻かせたいのでしょう? 真守さんめっちゃ落ち込んでますね。
次は、こ、これは中華連邦の民族衣装というか白のカンフー服? 丁寧に金糸で龍の刺繍まで、それに丸眼鏡のサングラス……
みなさんの回答は「似合ってはいるんだぜ? けどな」「自分も悪くはないとは思うのですが……」「懐中時計とか似合いそうですよね。シルバーを巻けば完璧だと思います」好評といえば好評ですが……普段この格好はちょっと考えますね。朱里さんはやってやったぜという顔してますね。
いよいよ、最後です。いざ! こ、これは…!?
「皆さんどうですかね?」
「普通だね☆」
「普通でありますな」
「もっとシルバーがあっても」
はい、普通にアイボリーのブレジャケットにチャコールのきめ細かいロングパンツとオフィスカジュアルに近いですが、これが一番しっくりきますね。
「おまぇらのは個性が強すぎるんだよ!」
アハハハハ……この服は燕慈さんが選んでくれたものですか。燕慈さんは、かなり気遣いできますよね。ファッション雑誌まで入れてくれてましたね。
とりあえず、みなさんの服はストレージに閉まっておきましょう。あとアクセサリーに銀製の十字架の装飾が付いたものを付けたら菜桜さんが、よろこんでくれました。
その後は、みなんさで散策をしてみました。プリクラというものを始めてとりました。
「本日のメインは。兄上おすすめのお店であります」
「ここは……焼肉屋」
「はい、焼肉屋↑↑宴。すこしお高めのお店であります」
ま、まさか焼肉屋とは……おっさんにとって焼肉というのは、きついですね。
「というわけでカンパーイ」
朱里さん、大ジョッキの一気飲みは体に悪いですよ? ハイボールもいいですよ?
「そういえば、みなさん、仲良くなられましたね」
「あぁ、あの後、もう一度てことになって意気投合してよぉ。うんで、2回既にD級ダンジョンにも挑んだんだぜ? 真守。その肉と右隣りの肉焼けてるぞ」
鳥と豚ロースが美味しいですね。あっ、セセリと砂ズリを追加してもらいましょう。
「まぁ、あぁしは、フリーターでみんな大学があるから、そこまで、頻繁にはいけないんだよねぇ。マッチングアプリとかもあるけど、いい人がなかなかいないしぃ」
なるほど……えっ、燕慈さんも大学生なんですね。
「……一応、いっておくけど、オレ、帝大の錬丹学部ですからね?」
えっ……日ノ本の最高学府ですよね? しかも錬丹学部とは……医学部と法学部、錬金学部の難関四大学部といわれるのに……失礼ですが意外でした。
「自分は、軍大学の方に在籍しております」
「わたしは、帝大の医学部ですね」
「みなんエリートで肩身せまぁいわぁ……」
ピッチ早いですね。もう三杯目ですよね?
「えっ、でも朱里さんも、神戸女子大学の錬彫金学部に在籍してたんですよね」
おっと、またまた爆弾発言が……錬彫金は錬金術で作成した金属への彫金やアクセサリーを作る技術ですね。朱里さんも、エリートなのは間違いないですね。
燕慈さん、先ほどから黙々とお肉を焼いてますが、ちゃんとトングで肉掴んで、みなさんの好みの焼き加減で上げてますね。すごく手慣れてます。
「クソ親父のせいで休学中……あのバカ親父。マジ退学手続きまで進めやがっりましたことよ! 教授マジサンクス。鬼だと思ってたけどいまやマジでゴッデス!」
怒りとお酒でテンション上がってますね。あっ、燕慈さん、ナスありがとうございます。
それにしても何があったんでしょうね?
「聞いてよ。龍雄さん。うちの親父、ちょっとした有名企業の系列の子会社の課長なんだけどさぁ、その親父が親会社の役員の息子と見合いさせようとしてきんだよ!」
ビールのピッチが上がってますね。
「それは、そんなに悪い話だったんですか?」
「悪いも悪い! ハゲデブの58歳のニートおじさん。少しくらいぽっちゃりならありだけど、吹き出物だらけのテカテカの顔とかマジむり、若返る前の龍雄さんくらいならまだ、セーフだけど。あれはもう性格も最悪、女性軽視だしマウンティングだし、マジで最悪」
うわぁ早口になってますね。
「あの、龍雄さんさっきから牛肉食べてないですけど、もしかして嫌いでした?」
おと、流石に牛肉を食べないのもあれですね……くっ、いいお肉ですね、脂が凄いです。美味しそうですが……胃もたれしてしまうんですよね……
ですが、食べないわけにはいきません。
いただきます。
モグ――
おぉ、美味しいです。しかも、胃もたれがしません。
「胃もたれしません。これだけ強い脂なのに、ご飯も進みますね」
「ところで菜桜どの先ほどから何を頼まれてるのですか?」
「ホルモンですよ。ここは下処理が丁寧でとっても美味しいです。レバーは低温調理レバーもありますよ」
菜桜さんは意外というか、なんというか、かなりの健啖家でありますね。しかも珍味系も平然と食べていますが、上品な雰囲気が……
まぁ、詮索はやめましょう探検者にとっては詮索は不要ですね。
「この店のウィンナーも絶品ですな」
「あっ、ボロニアソーセージもおすすめですよ」
こやってワイワイしながら食べるのはいついらいでしょうね?
「そろそろ締めにするけど、どうする?」
「どうしゅるってぇ、もくてきのもにょたべにゃいと」
朱里さん、ベロンベロンですけど……
「はい、その為には抑え目に食べましたし」
えっと、菜桜さん。その量は、抑えめではないかと……
しかし、わたしもまだ食べれそうですね。このあと用事がありますが、それでも締めくらいなら食べれそうです。
「うんじゃ、頼むわ。すいません。排骨麺を五人前ください」
排骨麺ですか、厚切りにした豚バラを揚げたものが乗った中華麺ですね。
「お待たせしました」
おぉ、美味しそうですね。煮卵もついてますが、これは、ピリ辛ですね。なるほど麻薬卵と物騒な名前の味玉なんですね。スープは……これは牛骨スープと鶏ガラのスープですか、うん美味しいですね。油分は少ないですが、その分さっぱりといただけます。
さて、支払いを……
「今日の支払いは自分が……いえ、父が支払うってくれていますので」
えっと、それは非常に悪いのですが……
「いえ、恩人にこの程度の礼は当たり前だと、時間ができたときに改めてお礼をとのことでしたので」
重ね重ねありがたいですね。
「では、ご厚意に甘えるといたしましょう」
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