表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/145

66 鬼宿鏡事

 【火功】と【朱雀剣功】を形にするのに一月かかりました。それまでは張宿(ちょうしゃく)房との往復で、体もできあがりました。


「それでは、本日は、最後の房である鬼宿(きしゅく)房での試練となります」


 よろしくお願いします。律朱(りっしゅ)さん。けど、ここは、闘技場のようですが?


「ふふふふ、ここでは炎魔鏡(えんまきょう)を使って武魂(ぶこん)を覚醒させて屈服させるのよ」


 雀呂さん、その鏡は? それに武魂ですか? 


「武魂というのは、内なる力の具現化になります」


「それを覚醒させるのに使うのが、この炎魔鏡」


 なるほど。


「座禅を組んで鏡と向き合ってください」


 何が写るのでしょうね?


 …

 ……

 …………


 炎魔鏡を見つめる事。どれくらいだろうか?


 一時間? 二時間? 六時間? 一日?


 もしかして逆に、ほんの一秒かもしれません。


 この鏡を見てから、時間の概念が消えました。


 そりゃそうだ。心の中に時間はありはしないぜ()()


 なっ……


 おいおい。驚くなよ。傷つくぜ。ケラケラケラ。


 黒い武龍の鎧? 細部に炎の意匠がありますが……あなたはいったい。


 ひでぇな。思い出せよ。オレだよ。オレ。28年ぶりの再会だ。


 まさか……


 懐かしいねぇ。ところで、あの時、一緒にいた嬢ちゃんとガキんちょはどうしたよ?


 それは……


 なーんてな。知ってる。知ってる。嬢ちゃんはお前のスキルを奪って、そんで糸目のガキんちょが、お前の中にオレを封印したんだもんなぁ。


 封印? どういうことですか!?


 おっと、それは知らなかったのか。まぁ、いいそしてオレはお前になった。正確には一部にだがな。


 なのに、お前ときたら……まったく、随分と弱くなったもんだねぇ。あの時のお前と比べたら、どれだけ弱くなったのやら。


 ……黙りなさい。


 うん? なにか言ったか?


 黙れ! 【龍硬拳】!


 ははは【暗黒龍硬拳】!


 ぐっ……


 おいおい、弱すぎだろ。はぁ……興覚めだ。あんなに強かったお前が、ここまで弱くなってるとか、笑えない喜劇だ。いや、滑稽な悲劇か?


 よく囀りますね。【龍硬連脚】


 いいね。やる気満々じゃないか。【暗黒龍硬連脚】。


 ぶつかり合う同じ技……ですが、押し負けますね。


 だから、お前はだめなんだよ。破壊こそが武功の真髄。お前は心のどこかで躊躇している。だから、ここぞという所で負けるのさ。


 うっ……


 何も言い返せないよな。そうだ。外にいるカンナといかいう奴も、律朱に雀呂、それから柚恵とかいう女どもを犯して、殺したら()る気が……


 黙れよ。


 おっ、いい目じゃないか。そうそう、その目だ。


 【鵬程万剣】


 全身全霊の一撃。これでダメなら……


 ぐっ……いい一撃だ。あぁ、いい一撃だ。クックック。一応、合格点をくれてやる。


 負け惜しみですか。


 いや、本心だよ。ふぅ……オレの名前は鵬天(ほうてん)。腑抜けてたら、その体いつか頂くから覚悟してな。


 あれ……意識が…


――またな。オレ――


 …

 ……

 …………


 目が覚めたら布団の上に寝かされていました。


「嫌な事思い出しましたね……」


 本当に嫌な苦い思い出です。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ