62 星宿剣墓
「えっ……連続で羽毛1000枚を斬ったんですか?」
はい。そうですけど……
「あの……主殿……1000枚斬るだけで良かったんですよ。それは次の段階のつもりだったのですが……というか、そろそろ斬れるようになったころかと思っていたのですが」
律朱さんが膝から崩れ落ちましたね。
「なら、次は星宿房に案内するわね」
今度は雀呂さんですか。次の房の読み方は今まで違いますね。
「井宿房と同じ読みで、昔お姉さまがよく間違っちゃったから、天武神帝様が名前を改めたの」
天武神帝。武の始祖ということですが……どんな方だったのでしょうか?
「うーん語りだしたら止まらなくなっちゃうよ。みんな。艱難娘々は特にね」
カンナさんがですか?
「なんといっても一番弟子だし、それに――おっと、これは言えないだった」
ふむ。ということは管理者の方々も?
「青爺も白虎の筋肉バカも、玄武のおっぱいお化けもね」
どういう人たちなのか楽しみですね。
あっ、ちなみに紅玉娘々さんはどんな位置なんでしょう?
「こ、紅玉!? そ、そういえばアイツは現世担当の宝物番だったわ……うぅぅ………実力なら、多分、一、二を争うとは思うわよ……」
なにか嫌な思い出でもあるのでしょうか?+
「べ、別にイタズラとかして、お仕置きされるのが、怖いわけじゃないからね!」
イタズラしたのですね。
「こ、こ、こ、こ、が星宿房よ」
斬られた岩が並んでいますね。
「ふっふっふ~ん。この岩はどれも先人たちが斬ったものなのよ」
なるほど。もしかして天武神帝が斬った岩も?
「目の前にあるでしょ?」
もしかして、目の前の大岩ですか?
「そう、あれが天武神帝さまが斬られた星の欠片なのよ」
凄いドヤ顔ですが……星て……そんなものまで斬ったのですか。大きさちょっとした学校の校舎くらいはありますね。
「ここでは、剛剣を身につけてもらうわよ。ついて来て」
奥も深いですね。錆びた剣や刃こぼれされた剣が地面に刺さってたり放置されてますね。
「課題は、ここにある剣を使って、この『玄武神甲隕鉄』を縦に真っ二つに斬るよ」
凄いまた無理難題が……シンさん。あの岩大きさわかりますか?
――是――
――最長2m31.5㎝――
――幅1m82.2㎝――
――重量1289.4t――
――高純度アダマンタイト――
アダマンタイトといえば、魔法金属ミスリルと並ぶ希少金属。なのにこんなデカいのがあるなんて。
――否――
――この周辺の岩全てが高純度アダマンタイトです――
アダマンタイトて1c㎥でも10万前後で取引されるのですが、これいくらになるんですかね?
――市場に出した場合、価格崩壊がおきると予想されます――
ですね。さてと、では早速きってみますか……
カキーン――
手がしびれました……これはまた難易度が高いです。
「あっ、一日に使っていいのは百本までね」
どうやら力任せにやれば、いい訳ではないようですね。
…
……
………
…………
この修行かなり難しいです。功力を込めれば、切れ味は上がりますが、込め過ぎると、剣が折れてしまいますし、弱いと岩を斬れば簡単に折れてしまいます。丁度に調整しながら切り付けても毛筋ほどしか傷つけられません。
一日百本といわれても、十本振るうだけでも一苦労です。
もう3週間たつのに漸く、これくらいしか傷つけられませんでした。
ゴロン――
少し横になりますか。それにしても天武神帝は、これを斬ったのだから凄いですね。
うん?
奥に、何かありますね。ちょっと近づいてみますか…
これは、剣の痕ですけど……何故?
残してあるということは必ず意味があると思いますが……
シンさん。解析してみてください。
――了――
――解析を開始します……――
――解析中――
――解析中――
――解析を完了しました――
――これは剣功の痕跡です――
――かなりの高手が刻みつけたものに間違いありません――
【神眼】解析した剣線を投影してください。
――了――
――刻まれた痕から解析した結果を投影します――
これは……なんとも美しい……あぁ、なるほどこれが剣路……そういうことなんですね。凄い凄いですよ。
振るわずにはいられません。
何度でも、何度でも振るいましょう。
納得いくまで……
幾千幾万幾億でも…
―┬天武クエスト――
└【万剣航路・成】達成
└報酬『八卦火神陽丹』
八卦火神陽丹?
――強い火気を含んだ霊丹です――
――以前手に入れた『天木金龍眼丹』と同時に服用すると最大限の効力を得られます――
なるほど。では、まずは、この試練を突破しますか……
ふぅ……【鷲天】剣を振り下ろす。功力は触れる瞬間に最大に高めて振りぬく。
キィィィィン……スドォォォォン――
真っ二つに切れました。
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