58 血教教主
今回より第二章となります
長い長い廊下。赤い絨毯が続いていた。
その廊下をフウは、絨毯があるとはいえ、一切の音を立てずに歩き、大きな扉の前へとたどり着いた。
「教主さま、呼ばれてきたよ」
気楽に門番に、声をかけると無言で扉をあけると、大広間が広がっていた。
「遅かったわね。フウ」
高い位置の御簾で囲われた玉座にすわる女が御簾越しに声をかける。
「堪忍してくださいな。おもしろい話をもってきましたから」
「いいわ。それで」
「計画は、おおむね上手くいってる感じです。100人は確保できたで」
「そう……」
どうでもよさそうに呟き、そばに置かれていた葡萄を一口頬張る。
「けど、ホアンがやられたわね……誰にやられたの?」
「それ聞きます? あとからのお楽しみやのに」
「さきに聞かせて頂戴」
小さくため息をつく。
「なら、いいますけど、驚かないでくださいね。タツオです」
「龍雄? 龍雄……龍雄……あの?」
「うちらの間で、タツオと言ったら一人だけでしょ? 沙月」
「そうね。けど、その名前で呼ばないでっていつもいってるでしょ?」
「はいはい、教主さまの意のまま」
「まぁいいわ。そう、彼がね……ふふふふふ」
笑ったのはいつ以来かと、フウは思案するがひとしきり笑い終えたあと、女は真面目な口調になる。
「それでも十二死が欠けたのは、困るわね……リェイを加えようかしら」
「それは勘弁してくださいな。あの子うちの秘書やさかい」
「ふぅ……仕方ないわね。なら選定をしておきなさい」
「わかりました。あぁ、それとお願いが」
「なに?」
「実は面白い子拾ったんで、『壺』に送りたいやけど」
「好きにしたら? 面白いことがあって、わたしは機嫌がいいの」
「ありがとうございます。ほな、いろいろと済ませてきますんで」
フウが立ち去り部屋を後にしたのち。血魔教教主は小さく
「彼が再び力を取り戻すとはね……」
そう呟き小さく笑みを浮かべるのであった。
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