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52 旧知再見

 巨鋏(きょきょう)――鎌のような爪をもつ巨蟹。それと蟹の怪人となった正志のコンビネーション。


 龍雄は【未来視】でなんとか、予測し回避する。


「【龍牙震脚】」


 地面を強く踏み、衝撃波の刃を放つ。


 だが――


「【シェルガード】」


 硬い甲殻で防ぐ正志。そして巨鋏の爪が攻撃を担当する。


「【武星流歩】」


 星図を繋ぎ、勝利へと繋げる歩法。死角へと潜り込む。


「【螺旋龍爪破】」


「なんどやっても無駄【シェルガード】」


 甲殻に刺さった爪が爆発し吹き飛ばす。


「ぐっ…巨鋏!」


 名を呼ばれた巨鋏は爪を振り下ろすが、それをすり抜け正志に迫る。


「【潮招き】」


 それを妨害するように引き寄せるが、一度は見た技。


「【飛翔龍硬脚】」


 跳び蹴りを正志に加える。さらに


「はぁぁぁぁ【昇龍脚】」


 蹴り上げる。だが、正志もしっかりとガードをしていた。


「巨鋏。やれぇぇ」


 巨鋏は風圧の弾丸を口から放つ。それは弾丸というよりはレーザーといってもいいかもしれない。


「ぐっ…」


 龍雄は片膝をつく。


「【シザーストライク】」


 トドメと言わんばかりに、爪を突き出し突進し加速する。


「【螺旋龍硬拳】」


 ぶつかり合う、拳と爪が競り合い、互いに吹き飛ぶ。


「ぐっ……まさかこれほどとは……あなたを侮り過ぎましたね」


 態勢を崩して立ち上がる正志。対して、龍雄は既に動いていた。


「【龍皇脚】」


 高く飛翔し、最大の必殺技を繰り出す。


「巨鋏! 私を打ち上げなさい!」


 命令されるままに、巨鋏は爪に乗せるとそのまま、正志を弾き飛ばした。


「【シザースクリューストライク】」


 錐もみ回転を加えての、全身全霊の突進。再びぶつかり合う二人。 


「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


 爆発とともに吹き飛び、片方が地面に倒れ込む。


「ゲホっ……バカな……」


「どうやら、わたしの勝ちみたいですね。正志さん」


 立っていたのは龍雄だった。


「まだだ! やれ巨鋏!」


 巨鋏は爪を振り上げると……


 ズブリ――――


 正志を突き刺した。


「ガハッ……なぜ」


 信じられないといわんばかりに巨鋏を見上げるが巨鋏はお構いなしに持ち上げ口に運ぶ。


「い、いやだぁぁぁぁ」


 ベキベキという音と、もはや聞き取れない叫びをあげる正志を呑み込んでいく。


「だめヨ。そんなモノ食べちゃ」


 アロハシャツのヘラヘラと笑う男を見た瞬間。


「フウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ」


 叫びを声をあげて駆け出していた。


「【飛翔龍尾脚】」


 勢いのままに放つ跳び回し蹴り。それに対してフウは


「誰か知らないけど【虎伏昇拳】」


 低い姿勢からカウンター気味に突き出した拳が龍雄を捉え吹き飛び、武着が解除される。


「うぅん? やっぱり知らない顔だね? 君は誰だい?」


 無言で立ち上がり拳を構える龍雄は、浅く深呼吸をする。


「うん? どこかで……」


 呼吸を整え再び駆け出す。今度は冷静に、攻撃を放つ。互いの拳を捌き、蹴りを受け止める。それはまるで約束組手でもしているかのように決まったような動き。


「はて? どこであったかな? フウさんとこんなに戦えるなんて不思議だよ」


「わたしが誰かこの技を喰らえばわかりますよ! 『柔掌法・招式・通天象』」


「その技は!?」


 かつて、龍雄がシャドー・オークを倒すときに偶然使った技、意識が朦朧としていたために、思い出せなかったその技を放つ。


 臍への掌底から鳩尾への前転肘打ち、からの頭部への蹴り。初見では対応できるはずのない連撃。だが、それをフウは全て防いで見せた。


「フフフフフフ、ハハハハハハハ。まさか、まさか、君はタツオかい?」


「こんな形で再会するとは、思いませんでしたよ。フウ」


 互いに構えを解く二人。


「今度は何を企んでいるのですか」


 静かな怒り。龍雄自身、自分の中にそんなものが残っていることに驚きつつも極めて冷静に語りかけた。


「悪いね。旧友の君でも、それは言えないな」


「……あなたとの縁は、20年も前に切れた思ったのですがね」


「つれないな。まぁ、昔のなじみで見逃してあげてもいいけど?」


 少しの沈黙が流れる。


「そんなつもりは、ないくせに何をいっているのですか」


「ぷっ……その喋り方に合わないね。彼女がしったら大爆笑しそうだけど」


 そういって蹴りを放つ。完全な不意打ち。だが、龍雄は一歩引いてそれを躱してみせる。


「ふぅ、いろいろと聞きたいこともあるけど、今はお仕事中なんでね。ここらへんで失礼するよ再見(ツァイチェン)


 そういって札を取り出すと無数の鴉が飛び立ち、巨鋏もフウも姿をけしていた。


「フウ……」


 拳を強く握り、塔へと向かい歩み始める龍雄であった。

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