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49 厄災酷遊

 龍雄がコロシアムへと突入したころ。浅田厄雲は闘凶塔を後にしていた。


「せっかくの獲物だったが……まぁ、お愉しみはあとにしておくかぁ」


 朝田厄雲は、特殊な家庭で育ったわけではない。むしろ、父親も母親も善良といってもいい人間だし兄も、いるが模範的な優等生であり、国家公務員として勤務しているだろう。ただ、本人だけがイカレていた。


 その自覚が芽生えたのはいつの頃かわからないが、どうでもいい。


 ただ、食事や性交それと同じ位置にあるのが殺人衝動。殺し殺されの世界だけが自分の世界。それが浅田厄雲の世界である。


「どうだった?」


 出てきた厄雲に声をかけたのは、抜群のプロポーションをもった美女。


「なんだ麗かぁ……そうだな消化不良。いや……ごちそうの前にお預けさせられた気分で最悪だぁ」


 不機嫌さを隠すどころか前面に出しながらイライラしている。

 

「そ、そう」


 付き合いはそれなりにある麗にとっては、最悪ではあるが、自分以外なら、この時点で数発は殴りつけられていただろうと思っていた。


「裏闘技場にいってくる」


「ちょっ…!? フウさんが今日は、大事な……カハァ……」


 片手で首を絞めながら軽々と吊り上げる。


「誰に命令してんだぁ? あぁん?」


「ご、ごめんなさぁい……」


「あぁ……ちょうどいい、憂さ晴らしさせろやぁ」


「えっ……ここで?」


 何を意味するかは察せたが、さすがにこの場でなのは、経験豊富な麗でも躊躇はしてしまう。


「ちっ……めんどくせぇ。とりあえず、いくぞ」


「う、うん」


 結局、裏闘技場へと向かった。


 東京のスラム街とも呼ばれる夢島。ごみ処理の埋め立て地として作られた人工島。表向きはごみ処理業者の所有する土地とされている土地とされてはいるが、もはや治外法権の一つの国ともいえる場所。


 非合法の取引や賭け事が行われていると噂されるが、それは真ではあるが、決して表にでることはない。そういう取り決めになっている。


 昼も夜も関係なく、享楽と狂気に支配された不夜城。


 そこの一室。厄雲のVIPルーム。淫臭が漂うベッドの上では、服を乱暴に裂かれて、痙攣して息も絶え絶えの麗と、そこまでしても不満そうな厄雲。


「喰いたりねぇ……喰い足りねぇ……憂さ晴らしに何人かぶっ殺すか」


 コロシアムの予定表を見ると、債務者同士のバトルロイヤルの時間。雑魚ばかりだと思いつつも殺したくて、殺したくてたまらない厄雲にとっては、最早、どうでもよくなっていた。


 せいぜい強さは、好くてもDのマイナスランク。その程度の人間が八人。共通しているのは多額の借金を背負わされた男ばかり、生き残れば借金はチャラの一発大逆転にかけた愚か者たちばかりである。


『さぁ、次の賭けはバトルロイヤルの予定でしたが……急遽変更いたしまして、ビッグチャンス! 3分間生き残れば借金はチャラ! ハンターから逃げられるか?』


 そのアナウンスに、会場は沸く。なぜならハンターが誰かが分かったからである。


「雑魚、雑魚、雑魚。雑魚ばかりか、まぁいい。死にたくなかったらあがきな!」


 厄雲は蛇骨刀を振り回す。


「【二重刑厄(にじゅうけいやく)】」


 唸る蛇骨刀が腰が引けてる男の剣にぶつかり、それだけで男は尻もちをつく。


「まずは、一匹」


 弾かれた剣が、うねりをあげて、首をギロチンのように切り落としした。


「次は、悲鳴をあげな【四重八苦(よえはっく)】」


 男二人を囲むように刀身が伸びると


「うわあぁぁぁぁ」


 悲鳴を上げてのたうち回る。


「ちっ、脆すぎて二人も、手足を切り落としちまった」


 そういって首を掻っ切る。


『おっと、開始十秒で三名が死亡だ!!!』


 会場はヒートアップする。


「残りは五匹か……期待外れすぎるだろ。もういい飽きた【六重不破(むえふわ)】」


 蛇骨刀は暴れ狂い、闘技場を埋め尽く刀身の結界。無様に斬り潰された男たちは肉塊へとなった。


「はぁ……つまらねぇ」


「それは、残念だったネ」


 そう言って、姿を現したのフウだったが厄雲は驚くことはなかった。


「そろそろ祭の話をしにいこうヨ。楽しい祭のお話ヨ」


「あぁ、わかったよ」


 そう答えてフウの後に続く厄雲だった。

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