45 不戦生存
遅くなり申し訳ございません。
闘凶塔一階層を進む龍雄。
道中。扉を開けると同時に飛んでくるナイフに思わず、「ポートピア!?」と叫んで躱す。二度目からは受け止める。それから五度ほどナイフが飛んできた。
他には金タライが頭上から落ちてきたり、ゴブリンやウルフなどの下級のモンスター数体に襲われるなどあったが、ちょっとしたアトラクション感覚で進むこと、64部屋目にて、2メートルの筋肉質の緑の肌の身の丈ほどの、こん棒を持った鬼が上り階段の前に陣取っていた。
「ホブゴブリンでしょうか?」
――是――
――ホブゴブリン・ガードナーです(*‘ω‘ *)――
『グオォォォォ』
力任せにこん棒を振り回す、ホブゴブリン。
「【ストレージ】『青龍槍』」
槍を取り出し振り回す。
「ぐぉぉぉ」
叩き潰さんと振り下ろされる、こん棒に龍雄は冷静に槍を構える。
「四式【蔓引】」
刃先で力をいなし、加速させ巻き込むようにして払い飛ばす。さらに、そのまま
「歩法【天猛兵林】二式【芽天】
力強く一足で懐までに踏み込むと、頭上のホブゴブリンの顎目掛けて突き上げる。
ほんの3秒にも満たない攻防。
龍雄の槍が頭部に当たると消し飛んでいた。
「二招式で決まりましたね」
そういって階段を昇ると。
見渡しても向こう岸がぼんやりと見える程の大きな大きな湖が広がり、人が余裕で乗れるほどの、蓮の葉が流れており、岸で多くの探検者が立っていた。
「おや? みなさんどうしたのですか?」
「あぁ、この蓮を葉にのって向こう岸へいかないと行かないみたいなんだが……」
そういって足元の意思を水面へと投げると、大きな鯉が飛び出し当たりの蓮の葉ごと呑み込み悠然と泳いでいく。
――グランドアイランド・カープですね――
「大きな鯉ですね」
「下手に振動を与えると丸のみよ。兄ちゃんも無謀だと思ったら帰ったほうが身のためだ」
「いえ、いけそうですので、お先に失礼しますね」
そういって蓮の葉に降り立つ。
「【軽功・一葦渡江】」
軽功の一つの境地ではある一葦渡江。木の葉一枚水面にあれば大河も渡りき。
そして、貪狼流房で修練を得た龍雄にとっては、なにもない道をあるくのと大差ない。蓮の道。
グランドアイランド・カープが呑み込もうとしたが
「【雷華歩功】」
踏み台にして、対岸へと渡りきる。
その先には、
『戦わなければ生き残れない』
と刻まれた門があった。
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ようやく、繁忙期を乗り越えたのでペースを戻していきたいと思います。




