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38 青龍宿房

歩法【剣星流歩】→歩法【武星流歩】に変更しました


 もう一月たったのですね。


 早かったようなそうでないような……


「主殿の私室でつかうとええで」


 アヤカさんありがとうございます。扉ならどこでも使えるとのことでしたけど……なるほど姿見が観音開きになってるのですね。ならこの扉を使いましょう。


 ガチャっ――


「お久しぶりです。主殿」


 ご無沙汰しております。カンナさん。


「紅玉も顕現されたか」


 はい、アヤカさん……紅玉娘々さんにもお世話になっております。


「……そうか。あのものは、有能ではあり、財物の管理と商いにおいては信じて問題ないが、少々……いや、かなり問題があることがあるとは思います」


 なんでしょう。凄く苦虫を潰されたような……


「おっと、申し訳ない主殿。さて、新たな試練を受けられよ」


――紅玉クエスト――

―┬写本せよ――

 └黄級の武功書を100冊写本せよ。

  └報酬『書院』を獲得。


 ……なるほどこういうのもあるのですね。


「ふむ。それは紅玉が出したモノだ。励まれよ。さて、此度はいよいよ『四神宿房』の本懐ともいえる四神の一つに云ったっていただく」


 つまり、これからが本番ということですか……アレ? 前回もかなりの地獄だったような気が……


「前回までのは、準備運動であったと思われよ」


 ……帰りたくなってきました。


「東門に向かわれよ」


 あっ、有無も言わさずという奴ですね。ハイ、ガンバリマス。


 そういえば、禄存書房には、東西南北に大きな門がありましたね。


 なんか鎧武者がいますね。


「東門は槍術。まずは槍で門番を倒されよ」


 ……入る前からこれですか。


 槍の基本は突きと払い。


 いわゆる、槍のチュートリアル。


 基本に忠実な見取り稽古。


 多くの人は基本を軽視します。けど、何事も基本こそが最適解。


 奇抜で奇天烈な技は奇襲ですが、それは、あくまでも基本がなければなりません。


 誰もがやらなかった事をなそうとする事と、誰もができなかった事をやろうとする事は似て非なる物なのです。


 シンプルな突きと払いから、繰り出される多岐にわたる連携。


 不思議なものです。シンプルだからこそ可能な接続。


 持ち手の長さを変えることで、接近戦にも対応可能。


 さらに、曲芸のように移動の補助に使う。


 なるほど……


 理解できてきました。


 ――悟性【槍術・入門】を獲得しました――

 ――歩法【武星流歩】から【天猛兵林(てんもうへいりん)】が派生しました――


 いきます!


 突きから、更に一歩を踏み出し。体を巻き込むようにしながら払う!


「お見事」


 最後は無我夢中でしたが、なんとか形になったのでしょうか?


「では、まいりましょう」


 門を抜けると……


 そこには(すもも)の木が道の両端にならんでいました。


 奥には大きな李の木ですね。


「あの木は『天恵銀李』という神樹です」


 その神樹の根本で犬と老人が酒盛りしてるんですが?


「彼がこの青龍宿房の管理者」


「堅苦しい挨拶はなしじゃ美髯老仙じゃ」


 すごく長いひげですし、見た目も古参の老兵という雰囲気が伝わってきます。


「また、呑んでるんですか?」


「かぁっかぁっかぁっ、春の陽気で呑まぬ理由はあるまい。良き肴もあるしな」


 肴て……塩ですか?


「良い酒は一つまみの塩を肴にするので十分じゃからな。お主も呑むか?」


 ……いただきます。


 ふぅ……なかなかに強い酒ですね。


「今回の主殿はなかなか見事な飲みっぷりじゃな」


 美味しいお酒ですけど、なんのお酒でしょうか?


「銘はないが銀李を漬け込んだ特性の酒じゃ」


「……貴重な李で何をしてるんですか貴方は……」


「怒るな。怒るな。どうせ地に落ちて朽ちるんじゃから酒にしてもよいじゃろう」


 えっ……腐る?


「酒瓶を置いてその中に落ちる分は好きにしてよいといわれておるが、それ以外は全ては主殿の物じゃからな」


 そうなのですか? もったいないですね。


「それもまた天命じゃろうて……さてとでは、主殿これより青龍宿房を巡っていただこうかの」


 お、お手柔らかにお願いします。

評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。


美髯老仙……どこかの関雲長の空にです。

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