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37 入家九拝

 引っ越し祝いのパーティーは、つつがなく終わりました。


 さて、柚恵さんのことですが……正直、入ってもらえば助かるのですが……年若い女性と一緒というのは……けど、涙目で頼まれると……


 負けました。


「なら、入家礼拝をしてもらわんと」


 そんな事しなくても……


「けど、せぇへんと、龍天武院の機能使えへんよ?」


 ……なぜですか?


「そういう仕様や」


 えっと……いいでしょうか柚恵さん。


「ひゃいっ! それでいいのなら」


 それで手順は?


「まずは、本殿の大広間に主殿が座って下さい」


 あぁ、あのちょっと高い位置にある椅子ですね。


「主殿が座ったら、まずは、柚恵はんは、東南西北の四方に膝をついて一度ずつ拝礼をする」


「はい」


「そして、跪いて、さっき教えたとおりに宣誓をするんや」


「この薬師寺柚恵。竹田龍雄を門主としてお仕えいたします。

 報恩に対して智で報いさせていただきます。

 もし、この誓い破らばいかなる天罰が下っても構いません」


 えっと、わたしは忠節と智に対し門主としてそれに見合うものを与えんでいいんですよね?


「あとは、九拝や」


「はい」


 九拝。つまり九回も拝まれると……なんとも不思議な気分ですね。


 バチバチバチ――


 な、なんですか? 雷が!?


「天網万雷や。これにて入門が認められたで」


 銀色の板ですか?


「これは、この龍天武院の一員を現す命牌や。これで正式にうちらの身内てことやね」


「ふぁぁ。ありがとうございます」


 よかったのでしょうか?


「もしも死んだりしたら、その命牌が割れて死亡した事を知らせてくれるんやで。他にもいろんな機能があるさかいおいおい説明するで」


「ありがとうございます」


 なにはともあれ歓迎ですね。


「さてと、主殿。これで丹薬殿を解放されたわけやけど」


 そういえば、そうですね。


「少し位置を組み替えたほうがええで」


 そうなのですか?


「せや、西に商殿、北西に鏢局殿、東に丹薬殿、南東に薬草園が吉方やで」


 あぁ、なるほど風水ですね。


 では、その様に調整してと……


 ┌────┬─────┬────┐

 │ 鏢局殿 │ 傀儡房 │    │

 │ ・一級 │ ・一級 │ │

 ├────┼─────┼────┤

 │ 商 殿 │ 本 殿 │ 丹薬殿 │

 │ ・一級 │ ・一級 │ ・一級 │

 ├────┼─────┼────┤

 │ │ 鍛錬所 │ 薬草園 │

 │ │ ・一級 │ ・一級 │

 └────┴┤正 門├┴────┘


 これでどうでしょうか?


「ええ感じやで」


「えっ!? 一瞬で建物が入れ替わりました!?」


 凄く便利ですよね。これ…


「入門させていただいたのはうれしいのですけど……その……」


 あぁ、手続きですよね。急にやめることはできないですし、引継ぎとかも必要ですし……


「はい、なので二ヵ月、二ヵ月したら必ず、きますので」


 構いませんよ。社会人となるといろいろと、しがらみもありますからね。


「ありがとうございます」


 可愛らしい笑顔です。年甲斐もなくときめいてしまいます。


 おっと、いけません。


 彼女は錬丹術師として、薬草園に興味をもったのです。邪な思いを抱くなど不誠実、極まりませんね。


 こうして、わたしの引っ越し祝いも無事に終了しました。


 そして、その夜。


 『四神宿房の鍵』が光はじめました。

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