36 熱烈歓迎
引っ越し祝いに人を呼ぶとは初めての行為ですね。というか、人を自宅に呼ぶのは……あれ? 呼んだことってありましったけ? あれ……涙が?
秤さんは、沖縄・台湾に出張中。満足さんはお店の仕込みがあるからと……お祝いの言葉と、大吟醸をいただきました。
本日のゲストは燕慈さんに真守さん、朱里さん、菜桜さん、それに、こないだお会いした薬師寺さんまで来てくれるそうです。
「主殿、こられたみたいやで?」
では出迎えにいきましょう。
ようこそみなんさかお越しいただきました。
「お招きいただきありがとございまひゅ」
……えっと……
「あ、あの先日は……その……ありがとうごひゃいまひた」
……この天使はどなたでしょうか?
「あのぉ~」
つい見とれてしまいました。先日お会いした時と印象が違い過ぎてわかりませんでしたが、薬師寺准教授でしたね。
「ひゃい。あの覚えていただけたんですね」
いえ、こちらこそ。本日はよくお越しくださいました。
(なんかラブい感じ?)
(恋バナですか? これば恋バナというものなのですか?)
(自分、そっち方面はちょっと分からないであります)
(というか、龍雄さんの新居てマジでここか? めっちゃ広くないか?)
なにやら4人で話していますが……
「主殿、そろそろ中に案内された方がいいんちゃうか? 客人を外に待たせるはあかんやろ」
おぉ、そうですね。アヤカさん。
「あ、あのこちらの方は?」
「ウチは、アヤカや。この龍天武院の管理人やな」
まぁ、親戚の子みたいな感じですね。
「そうなんですね」
ふむ、なにやら落ち込んだ気もしました。可愛らしいとはこういうことをいうのでしょうか? おっと、いけませんね。わたしのような、おじさんには分不相応な方ですし……
「もしかして、ここって建物型のアーティファクトなんですか?」
はい。偶然手に入りまして。
そう説明したら、みなさん、めちゃくちゃ盛り上がりました。
なにせ建物型アーティファクトは市場にまず出回らない、希少中の希少ですからね。というかダンジョンから手に入る特殊な効果をもつアイテム、アーティファクト自体が最低ランクのEランクですら10万はしますからね。ランクが上がるほど倍々で増えていきますし……多分、この建物なら1兆でも安いくらいでしょうね……日ノ本の国家予算クラスの建物て凄いですね。
とりあえず中を案内しましょう。
鍛錬所で、真守さんと燕慈さんが目、キラキラさせてますね。
薬草園にも案内しますかね。
「薬草園ですか? ふぁぁぁ、なにこのかわいい子たちは」
あぁ、ちょうど傀儡ちゃんたちが、手入れをしている時間でしたか。あっ、柚恵さん。綺麗な服が泥が付きますよ?
「育てているのは……ふぉぉぉ陽霊草に、寒霊大根、八連金花まで!?
栽培が難しいはずの霊草が植えられてます。あっ、向こうの水池には那多睡蓮!?」
凄く喜んでますね。
「竹田さん! ここに住み込みさせてください!」
えっ、えっ……あの妙齢の女性が一つ屋根の下に住むのは……
「ええんちゃう? うちはかまはへんで? というか、むしろ推奨やな」
ちょっアヤカさん!?
「この薬草園はわたしたち錬丹術師にとっては理想なんです! どうか、どうかお願いします!」
深々と頭下げられました……えっと……これは……とりあえず、引っ越し祝いを終えてからということで……
「ヘタレぇ~」
ちょっ、朱里さん!?
評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。




