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29 繁栄日常

 事件に巻き込まれましたが、正直いいまして、わたしには調査権などはない、一般的な探索者ですからね。調査は本職の人に任せるとして、生活基盤の構築に励みましょう。


 探索者の仕事は、基本的に『素材』を集めるですね。モンスター由来のものは高額で取引されますが、薬草に分類される採取素材は基本的に安価です。ただ、霊物と呼ばれる特殊な霊草などは高額になります。ちなみに効果が高いけど、毒性や呪いなどがあるものは妖物などとも呼ばれます。


 これらは相場を見ながら、狩るのがフリーの探索者の鉄則です。ソロ狩だと実入りもいいのですが、リスクも上がります。また、二人組のコンビや三人組のトリオなどの少数の場合は信頼関係が成り立つので、急造はムリです。パーティーやレイドだと、実入りは減りますが安定は一番いいですね。


 すこしリスクはありますが、わたし的にはソロ狩りですね。Cクラスのダンジョンなら稼げるでしょう。


 狙うなら、浸水神殿遺跡ダンジョンがいいですね。特に鮫系の魔物はいろいろと高値で売れますし……肉はあまり高くうれませんけど……


――∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬――


 広がる海に、白い砂浜。そして岬に見える崩れた神殿。幻想的ではあるが、多くを海に占められるこのダンジョンは、不人気である。だが、このダンジョンで手に入る資源にも需要があるために実入りは大きい。


 なので、ほとんどの探索者は浜辺にある岩場か岬からいける浸水した神殿で狩りをする。


「ここは相変わらず浸水してますね」


 通路は水に満たされ、葦も生えているために歩くのは困難。普通ならそうであり、以前何度かきた時は龍雄も苦労したことを思い出す。


 ただし、今は違う。龍雄は水面をあるていた。正確にいうのなら葦の上を歩ていた。軽功【一葦渡江】水面に浮かぶものを足場にして移動できる武功を身に着けたいまでは楽に進めており、他の探索者の気配は周りにはない。


 すなわち水中に潜むソレにとって、龍雄は久々のエサである。


 もっとも常に腹をすかして共食いをするソレでは、このエリアのすべてがエサなのである。


「きましたね。ハングリーシャーク」


 水中から飛び出してきた、赤い鮫を軽く飛び越えると【剣指】を首に突き立てて絶命させる。そしてそのまま【ストレージ】へと収納する。座標を指定しないといけない『ストレージアプリ』ではこうはいかない。


 狩りと討伐の違いには明確な差がある。倒せばいいだけの討伐と違い狩りの場合は、対象を綺麗な状態で倒したほど実入りは大きい。ハングリーシャーク自体の戦闘力は914と低い。ただ、フィールドと奇襲能力によって1200程度の戦闘力にはなるが、それでも龍雄の戦闘力の半分にもみたない。つまり、ここは龍雄にとっては、美味しい狩場でもあり、さらに気配探知と軽功の修行場と一石二鳥になる。


「ほどほどに狩らせていただきます」


 探検者の鉄則に、乱獲はしないというのもある。それをしてしまうと相場が荒れて値崩れにつながり他の探索者から恨みも買ってしまう。たとえそれが、市場にあまり出回らないハングリーシャークなどであっても、いや、逆に希少なものほどあまり狩らないのが暗黙のルールなのである。


 なので龍雄が狩ったのは、一日でもせいぜい3匹程度と抑えたはずが、あまりの状態の良さに高値が付き、即日オークションで一匹あたり1200万の高値がつき、龍雄は一日で3000万以上の収入を得て、改めて探索者が高収入なのだと理解するのであった。

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