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27 蜂改刺客

 蜂須賀だった、蜂と人間の合成されたバケモノ。


「蜂須賀だから蜂になるとは……」


 洒落にならない洒落だと龍雄は思いながら様子をうかがう。


 カチカチ――


 何かがぶつかるような音。龍雄にはその音に聞き覚えがあった。正確にいうと、似たような音の聞き覚えだが……


「スズメバチの警戒音に限りなく似てますね」


『フフフフフ、最高にいい気分だわ。ちょっと前ならこんな腕とか嫌悪したかもしれないけど、今は愛おしく感じるわ』


 そういいながら、手のひらから、白く太い針が作り出されていき、それは空中で羽音のようなブブブブブという音を鳴らしながら女王蜂を守る兵隊蜂のように整列する。


『【火蜂尖陣】』


 針が蜂のような陽炎を纏い、龍雄に見事な編隊飛行で迫る。


「航空ショーなら拍手喝采なんですがね」


 ギリギリで避けた針は近くの木に突き刺さる……どころか木が爆ぜ、穿っち風穴をあけた。


「これは出し惜しみしてる場合じゃありませんね『武着』」


 水墨画の掛け軸が龍雄の体を包み込む。


『何をする気かしらなぁいけど、いきなさい』


 兵隊蜂が突撃をしてくるが水墨画に触れると、粉々に砕ける。装着までは0.5秒。


――武着完了――

――活動限界は3分です(`・ω・´)――


『なにそれ……すごくムカつく【火蜂蜂陣】』


 針の弾幕。対戦車ライフルの威力とガトリングガンの速射性を併せ持つ【火蜂】当たれば肉片になってもおかしくないだろう。当たればだが。


 龍雄は【火蜂】の軌道を見切る。速射を優先した為に、追尾性が失われているとはいえ、必殺には変わらない。だが、臆することなく、自身を信じて突き進む。


『なんで、この弾幕を……ならこれはどう【大火蜂】』


 88mm(アハト・アハト)高射砲。大口径の針を、至近距離で放つ。


「【螺旋龍硬拳】」


 それに対して拳での正面対決。


 【大火蜂】は拳圧に押され軌道がそれて龍雄の後方へと飛んでいき、木と地面を穿ちながら地面を削る。


 威力に押され、龍雄も数歩下がらされるが、体制を立て直すのは龍雄が早かった。


「【龍硬脚】【龍尾脚】【飛翔龍尾脚】」


 下段蹴りからの中段回し蹴り、さらにダメ押しの跳び回し蹴りへとつながる三連撃。飛び上がり回避しようとした蜂須賀は最後の跳び回し蹴りは回避できずに喰らうが、浅い。


 思い衝撃はうけたがバク転をして地面に降り立ち膝をつきながらも龍雄を複眼となった全ての瞳で睨む。


『殺すコロス殺スころス殺す』


 飛び道具が効かないと判断した蜂須賀のとる行動は、超接近戦。鋭い突き。本来の戦闘スタイルといっていいその戦い方。


「【龍硬拳】」


 龍雄の拳が空を切る。


『蜂のように舞い、蜂のように刺す【虚空火蜂】』


 ゼロ距離での【火蜂】の発射。回避不能の一撃。生身であったのなら龍雄は即死だったであろう。


 だが武龍の鎧はびくともしない。


「はぁぁぁ【龍爪斬】」


 蜂須賀の左腕を切り落とす。だが、闘志は衰えることなく、むしろ憎悪を燃料に、燃え上がる。


 右手一本から【火蜂】を繰り出し、体術とのコンビネーションで攻めてくる。


「その力を正しく使えていたら……【昇龍脚】」


 しゃがむように躱してからの鳩尾目掛けての、逆立ち蹴り、蜂須賀の体が宙を舞う。


「そろそろ時間です。【龍皇脚】」


 トドメと助走してからの飛び蹴りを叩き込むと、メキメキといやな音と何かを吐き出しながら吹っ飛ぶ。


 腰のあたりが三分の二ほど消し飛び、蜂須賀は虫の息といっていいだろう。


『こんな……終わり方なんて……いやだよぉ……ママ……』


 そう言い残し、蜂須賀は絶命するのであった。

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