16 実力證明
探検者の衣装は様々です。というか様々になりました。それが可能になったのが、インナー技術の発達。スイラムインナーの開発。全身を覆うタイツですが、耐衝撃、防刃を始め各種防御に優れています。なによりも安価と人気なのですが、見た目が、タイト過ぎて不評でもあるんですよね。
そこで生まれたのが探検者のコスプレにも近い衣装文化。一目で特異と分かる衣装を身に着けることで周りにも、探検者とわかりますしね。
探検者という仕事は、大きく二つ、素材を採取をメインに請け負う業種。モンスターの討伐を請け負う業種の二分されます。ショービジネスとしても最近は、探索者としての活動をドローンで撮影して配信をしているビジネスもありますがそういった面でも衣装というのは、わりと大事だったりします。なので、探検者スカウト業に目を付けてもらう為にも、傾いた格好が横行してるんですよね……海外メディアに報道されるレベルで。
そんなわけで、ここ覚醒者試験会場では、そんな人でごったがえしてます。
データ採取にはうってつけですね。シンさん。
――是――
これから探索者活動をするにも、ハンター適正試験とスカウト適正試験は受けておかないといけませんからね。それに覚醒者としてのランクも測定が必要ですしね。
覚醒ランクは基本的に体内の魔力量で決まります。功力と魔力を同じとして測定しましょう。
――算出――
――サンプルからの推定魔力基準――
――魔力基準量未覚醒者を平均量を10として算出――
――F =30~50未満――
――E-=100未満――
――E =200未満――
――E+=300未満――
――D-=400未満――
――D =600未満――
――D+=800未満――
――C-=1000未満――
――C =1500未満――
――C+=2000未満――
――B-=3000未満――
――B =サンプルが少ない為に推定不可能(T_T)――
――主殿の功力を魔力に換算…――
――測定――
――……
――……………――
――…計算中…――
――……………――
――魔力量=3594――
そうなると、功力を抑えてみましょう。どうでしょうか? シンさん。
――測定――
――……
――……………――
――…計算中…――
――……………――
――魔力量=1981――
これでいいですね。
そもそもBランクの覚醒者でも一万人に一人、Aランクは十万人に一人。Sランクになると一千万人に一人の割合です。
さて、試験ですが、圧倒的に実力を見せて、とはなりません。下手に注目されるわけにはいきません。なので手を抜いてうけました。
評価は数値を基準にした絶対評価方式。数値として表示されています。あとは中央値を算出して、その範囲内に収まるようにすればいいです。
なので各試験はだいたい中央値からちょっと上のラインでクリアーしました。必要なのはライセンスだけですからね。
けど、最後にあるのが受験生同士の試合です。この試合は8人から12人の組に分けられ、その中でランダムに5試合させられます。合否にはあまり関係ないのですが、一応、公式記録に残りますからね。
一戦目。ランクはC-の若い男の子ですね。これくらいなら圧倒できないわけでは、ないですが、それだと彼によくありません。1分程度攻めさせましょう。模擬刀を振り回してますが、重心が定まっていません。それと、足元がお留守ですよっと、足払いをして倒して、右腕の関節を極めて地面に押しつけてお終いですね。
二戦目はC+ですか、ただ、槍スキルもちなのでしょうか? 槍の攻撃は鋭いですね。歩法を使えばいけるのでしょうが、このような場で披露すると面倒なことになりそうですから……しかたありません。仕方ありません……負けておきましょう。
三戦目はD+。負けるのは不自然になりますし軽く流して、けがをさせない程度で勝ちました。
四回戦はB-。力を抑えた状態では勝ち目がないですね。ムリをしないといけな時ではないので負けておきまょう。いや、しかし、格上と戦う感覚というのがわかるのはいい経験になりますね。
五回戦は……魔力量3201、推定でBランクですね。しかし、態度が悪いというか、横柄すぎますね。高ランクになると多いんですよね。ただ、戦い方は力任せの一辺倒。体格もいいですし……痛いのは嫌なんですけどね……このやり方でいきますか……【神眼・未来予測】で未来の動きを予想して……つぎは大ぶりのアッパーカット、これです! 【硬気功体】で脇腹をガードしつつ【龍硬拳】を顎に叩き込む。
くっ……吹き飛ばされましたね……このままダウンしておけば負けですが、あちらも倒れましたね。ということは引き分けですか……
――∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬――
探検者管理事務所では、集められた受験生のデータの集計確認作業で職員は残業、残業である。特にゴールデンウィーク明けてからの一ヶ月間は受験者が増える繁忙期である。
「はぁ……今年も多いな」
「そりゃ、一攫千金にもつながるし、それなりの成績とかあれば好待遇が望めるからって…この会話去年もしたな」
「したな。まぁ、でも探検者同士の戦いを見れるのは役得だよな」
ライセンス発行は、その日のうちに行われるが、集計されたデータのビックアップ作業などやらないといけない業務は多々ある。
「今年はAランクはいないだけマシかな?」
「あぁ…Aランクでると問い合わせ対応とかが大変だからな」
「それでも、今回はB+が1人にBが5人とB-が7人もいたから、問い合わせ用に資料作っておかなきゃな」
個人情報以外の公表情報のまとめ。国に報告するほための資料などと、単純だが膨大な仕事である。
「そういや、C+にBランクが引き分けたみたいだぜ?」
「へぇ、珍しいな。このデーターか?」
動画を再生してみる。
「おっ、結構な対戦相手はイケメンだな。もう少しランク高かったら引く手も数多だったかもな」
「他の試合もみたけど、どれも礼儀正しいし落ち着いてたな」
「へー、で試合は……うわっ、すげぇな。よく避けてるよ。だいぶ苛立って雑な攻撃になってるな」
「でっ、こっからよ」
そういってスローモーションにする。
「うわっ……痛そう」
「幸い、折れてなかったみたいだけど…」
「けど、このタイミングで放った右拳が顎に入ってたのか」
「高ランクが自分よりも低いランクに負けるときって、だいたいこんな感じだよな。窮鼠猫を噛むみたいな」
うんうんと腕組をしながら頷く。
「面白い試合だったな。こんなの中々見れないよアメリアの格闘リーグでも見れないベストバウトかもな」
「さすが、格闘マニア」
「戦うのはからっきしですけどね」
そういって笑いながら、職員は仕事へと戻るのであった。
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