13 暗闘模索
武曲感房『武曲暗堂』の第二の試練……
カンナさん、もう少し難易度をですね。わたし、攻撃技てそういえばないんですよ?
「……それは失念していた主殿」
闘法は、破軍闘房に入ってから、とのことでしたからね。
「予備知識は大丈夫でしょうか?」
なんとなくは……
「今までは功力を何となく使っていましたが、それを意識して制御されよ」
意識しての制御ですか?
「主殿の内功は非常に多くなっている。故に力任せに放出している状態であると断言する」
なるほど。そういうことですか……
「そこで、これなどいかがか?」
人差し指と中指を伸ばして他の指は握る?
「これに功力を込めると」
おっ、なにか見えますね。
「行きます【剣指】」
見事に木が輪切りにされましたね。
「功力を高めれば、長さを伸ばしたりもできますが、消費が増えますので、気を付けられよ」
結構、難しいですね。コレ。一定量を一か所に固定するというのはなかなか難易度が高いです。それに切れ味もそこまでないですし……
「主殿はまだ『剣意』に得ていない故」
とりあえず修練あるのみですね。
【武星流歩】と組み合わせはかなりいいですね。ただ、【硬気功体】と合わせて使うと、【硬気功体】の効果が薄まるみたいですね。いえ、これは【硬気功体】の功力が剣指に集まっている感じですね。
意識と制御。意識と制御。意識と制御……
イメージをしっかりと固めながら、無意識でも制御できるほどに……
日々の訓練でも意識していたら、いままでできていた、貪狼流房では、何度も、川で落ちたりしたりすること十日。
なんとか少しは、出来るようになってきた。そのおかげで、漸く第二の試練を突破できた。
「最後の試練ですぞ、主殿」
少しは、休ませて欲しいですが、弱音を吐いている時間はありませんね。
「飛んでくる石を、避けられよ」
えっ?
「この円から出ることなく、100回連続で避ければ完了となります」
この真っ暗な中で? 無茶ぶりもいいところ……へぷっ!? もう始まってるんですか!?
「励まれよ」
鬼ですか!?
「仙女ですが?」
そうでした。この子はそういう子でした。
それにしても、どこから飛んでくるなんて、わかりません。そうだ神眼モードなら……
――視認できない状況なので効果はありません――
デスヨネー
……ふむ、冷静に考えましょう。機械的な動作なので気配を察するのはムリです。
うん?
シュッ――
いま音が。つっ……なるほど、わずかな音ですか……
そうだ。ならこれならどうですかね?
シュッ――
来ます!
カラン――
避けれました。功力を薄い膜にして張り巡らせば、感知はできるみたいですね。けど、長時間の維持となると難しいですね。
ですが、それを出来るようにならなくていけません。
ここにきて、修行してたら<やっぱり目指したいじゃないですか。最強を!
わたしの中にそんな情熱があったなんて不思議な気分ですが、悪くないどころか、心がざわめきますね。
さぁ! どんどん来てください。
シュッシュッ――
はぐっ……二連射もあるのですね……この技を完成させれば何とかなりそうですが……
はい、無理でした。一日やそこらじゃ無理ですね。というか全身が痛いです。功力の操作を誤って【硬気功体】が機能しないときがありますね。たぶん、わたしの功力の少なさもあるのでしょう。
十全に効果を発揮するには、今は同時に二つの武功が限度ですね。
15日後――
この最終試練。おもったよりも厄介でした。変化球に跳弾、さらには石を弾いて軌道を変えるとか、凄く底意地が悪いしかけでした。
「突破おめでとうこざいます」
ありがとうございます。カンナさん。
「残すは破軍武房ですが、こちらの房での修練は、もう一段ありますが?」
最終試練だったのでは?
「試練は試練です。鍛錬用の高度なものもあります」
ちなみにどんなものですか?
「こちらの弾球を用います」
弾球? 野球ボールのようなサイズですが、これはスーパーボールみたいですね。
「一定の間隔で射出するのを避ける修行となります」
石となにが違うんですか?
「弾球は、止めない限り、刎ね続けて、どんどん加速していきます」
つまり、ずっとバウンドしつづけるということですか……一回ためしても?
「では、開始する」
…
……
…………
結果ですか? 聞かないでください。酷い目にあいました。
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