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138 炎駆降臨

 二刀のチェーンソーのような剣をもつ妖艶な女性――血禽(ちどり)――が楽しそうに対峙する龍雄へと微笑みかける。


「まさか、まさかですね。貴方がそうなのですね。これは僥倖。神に感謝して、たくさん人を殺さなければ」


 そう言って、チェーンソーを投げ放つ。


「なっ……炎双剣『鳳凰』」


 双剣を取り出し、チェーンソーを弾き飛ばすが、その隙に距離を詰めた血禽が蹴りを放つ。それを龍雄は何とか脛で受け止めるが、大きく吹き飛ばされる。


「なんてパワーです」


 膝をつきながら素早く立ち上がってみせる。


「あぁぁ素敵、素敵、素敵ですわぁぁぁ。股座が濡れてしまいます。もうもう我慢できませんわ『解人』」


 赤黒い不気味な烏の頭に女の体があわさった不気味な姿へと変貌する。


「この姿になれるなんてとっても感謝です。それにしても……隔絶系の結界を一瞬で張るとはやりますね。これでは皆殺しに参加できません」


 血教のものと思われる面々が殺戮を開始している。だが、観客も武当派、無抵抗にやられるわけもなく激しい抵抗が死闘を生み出している。


「あなたに無差別に暴れられると困りますラかね」

「見る目は確かなようで」


 軽口を叩きながらも、その間にも剣とチェーンソーがぶつかり火花を散らす。


「これはいかが? 【千羽烏間(センバカラスノマ)】」


 血禽の羽が舞うと、それが血塗られた烏へと変わり襲い掛かってくる。


「【飛鷹群烏(ひようぐんう)】」


 それを夥しい斬撃を飛ばし撃ち落とすが、数発が龍雄の脇腹にぶつかり、吐血する。


「まぁまぁ、凄いですわね。もしかして【金剛不壊】ですか? 本来なら大岩でも粉砕しますのに、体が残っているなんて、とってもとっても素敵ですわぁぁあ」


 龍雄は、口を拭いながら患部確認する。


(拙いですね……思ったよりも威力が高いです……功力を消費しますが……このままいけばじり貧です。なら使うしかないですね)


 小さく一呼吸置き、手には一つの赤い板が――朱雀牌――を手にしていた。


「『武着朱雀』!!」


――朱! 朱! 朱!――

――火闘(ヒート)! 朱! 雀!――

――モード・朱雀――


 赤い炎が水墨画を描き、赤い鳥の意匠の鎧を身に纏う。


「素敵なお召し物ですわね」


 血禽はそういいながら二本のチェーンソーを振り回し打ち合わせると、不快な不協和音を奏でる。


「これはいかがですか【金鳴矢(かなりや)】」


 金属片が飛び散り襲い掛かる。


「ふぅ……【幻燕梟威(げんえんきょうい)】」


 龍雄に金属片が命中した瞬間、その姿が陽炎のように立ち消える。


「あららぁ? これは…」


 咄嗟に、血禽は背後を振り返ると、そこには双剣を構える龍雄の姿があった。


「はぁぁぁぁ」

「これは、防ぐのは厳しいかしらかしら?」


 双剣から繰り出される変幻自在の剣路を、見切るのは至難の業であり、その体躯にいくつもの剣閃が刻まれ、鮮血が舞う。


「はぁぁぁいいぃぃいいいですわ。思わず逝ってしまうところでしたが……素晴らしい方ですね」


 体をくねらせながらも愉悦の声をあげながら、傷が治っていく。


「ふふふふ、血魔教において血流の操作は初歩の武功ですのよ」


 そういって、垂れた血液でチェーンソーの刃を再構築していく。


「あなたを倒すにはもう一段階必要なようですね」


 そういって、黄色の金属板――麒麟牌――を手にしていた。


「いきますよ……これが『麒麟』の力です」


 麒麟牌を武龍の帯のバックルへとセットする。


――覇ッ! 覇ッ!――

――YO()! YO()!――

――(えん)! ()!――

――(こう)! (りん)!――


 炎を纏った麒麟の水墨画と一体となると、そこには赤い麒麟を思わせる意匠の鎧へと変わっていた。


「あまり長時間は、まだ使えないので申し訳ありませんが一気に行かせてもらいます」


 龍雄の全力が今、開放されるのであった。

 

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