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124 天血激突

 歓喜郷。そこが走破を突破した参加者たちがたどり着いた街である。

 

 中央の本殿に向かって東西南北に太い本道が続いている。


 そんな東の本道の客桟(かくさん)(宿と食堂が一体になった施設)の二階で龍雄を始めとする面々は飲茶を楽しみながら東門を見つめていた。


「しっかし、なんでこんな施設があるんだ?」


 燕慈の質問に菜桜が答える。


「ここは武林盟の武威を見せる場でもありますから、修行を行う本殿以外は商業や観光としても門戸は開かれていまし、直通のゲートもあります。丹薬や丹薬の材料、黄級の武功書や外典などの取引もされてますし」


「そうですね。昔から噂はありましけど、金銭だけでなくコネクションも必要という話でした。えっと、そうそう20年前から中華連盟で天魔神教の活動が活発になって、その頃から、主力以外は日ノ本へ移住を進めていたそうですし」


「おじいちゃんも言ってましたね。有名な錬丹術師が日本に来日して仕事が大変だって」


「柚恵さんのおじいさんは、魔法医学の権威ですからね」


「はい。錬金術や錬丹術で作られた薬をいち早く医療現場に導入に尽力してましたから」


 柚恵の祖父にあたる唐沢玄米は、現場たたき上げの重鎮であり、発言力なら医学界でなら十家にも匹敵するほどである。


「それにしてもぉー。龍雄さんて本当に物知りだよね」


「うむ。そういった事情は十家でも知らぬものも多い話でありますよ」


「まぁ、年の功ですよ。その頃から先輩から情報収集の大切さを叩き込まれましたからね」


 そういって、運ばれてきた蟹シュウマイを口にする。


「いやぁ美味しいですね。上海ガニにも似た風味ですが味はもっと濃厚ですね」


 楽しいひと時を過ごしている中、声を掛けられる。


「あらぁ、菜桜じゃない。久しぶり、一昨年の新年会の時以来かしら?」


 少し菜桜に似た美人が声をかけてきた。なお、スタイルに関しては圧倒しているが。その隣には真守にも負けないいやそれ以上にガタイの良く威圧感のある男が一歩引いて立っていた。


「ナミさん。お久しぶりです」


 席を立ちお辞儀をする。


「本当にね。ところであなたも見学かしら?」


「いえ、わたしは参加しておりまして」


 その答えに眉がピクリと動く。


「あなたが? 冗談ですわよね? 武林館にも所属していないのに……まぁ運よく突破した来たのでしょうけど……いえ、明日には結果がでますわね」


 そういって踵を返すと外から突如ドラがなり、さらに


「「「「天魔千歳! 万魔抑伏」」」」

「「「「天魔千歳! 万魔抑伏」」」」

「「「「天魔千歳! 万魔抑伏」」」」


 といった大唱和とともに黒衣を纏った一人の美丈夫が先頭を悠然と歩き、それに続く仮面の男そして、大量の獲物をのせた神輿を担ぐ四人。そして積み上げられた獲物の上に置かれた玉座に黒地に赤と金の刺繍がされた装束を纏い傲岸不遜に笑い、その傍らに二人の美女が寄り添っていた。


「あれはまさか……天魔神教……それにしても凄い獲物数ですわね」


 ナミが外を見るとそこには天魔信徒たちが大唱和を上げる中を悠然と王者のように進んでいた。


 そんな様子を見ながら、柚恵は


「もしかして、これを予測してたんですか龍雄さん」


 その問いに対して龍雄は答える。


「はい。今日なら本選出場者は歓喜郷にいますからね。威圧をかけに来ると思っていましたから、もっともこれほどの獲物をしとめてくるとは思いませんでしたが」


 そう答えている中、異変が起きた。ガシャーンという音ともに天魔一行の行く手を阻むように洋風の棺桶が直立に落ち、ふたが開き中から大量の玉牌があふれ出す。


 そして、一人の男が棺桶に座る。浅田厄雲である。


「よう、てめェが紅骸慈だろ。丁度いいからちょっと遊ぼうぜ!」


 そういって蛇骨刀を振るう。


「面白い」


 振るわれた蛇骨刀を素手で受け止めると手には赫い剣が握られており、蛇骨刀を跳ね上げた。


 周りの制止も聞かず、厄雲と激突する。


「ハハハハハァァァァいいねェ。流石だぜェ」


「ふん」


 火花飛び散る戦い。


「【天魔炎戟】」


 黒炎を纏った一撃を放つ。


「【一合一重】」


 それに合わせてカウンターを放つが、その一撃を更に踏み込み距離をつめてから蹴りを放つ。それを片手で受けながら横に飛ぶ。


「ならこいつはどうかな【死法八崩……」


「【哭天……」


 二人の気が高まり双方最大の奥義が炸裂すると思われた瞬間――


「【鎖陣法・銀河縛鎖陣】」


 鎖が二人を縛り上げ。


「ぐっ…こいつは」


「くっ」


「お二人とも盛り上がるのは構いませんが、その技は危険すぎると思いますので止めさせてもらいました」


 悠然と二人の間に降り立った龍雄が止めるのであった。

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