117 狩猟開始
門を抜けた龍雄たちの前には巻物と法陣があった。
「どうやら、ルールが書かれていますね」
巻物には次のことが書かれていた。
一つ、八つのチェックポイントを巡りゴールへたどり着くべし。
一つ、ゴールにたどり着いた時間によって点数が与えられる。
一つ、狩猟対象は一級から四級の妖獣を仕留めよ。点数は一級は1点、二級は2点、三級は4点、四級は8点となる。
一つ、他者の牌は3点。狩猟対象の牌は5点となる。
一つ、上位36組のみが次の試練へと進める。
「なるほど、参加者同士の争奪戦もあるということですか…」
「なぁ、これって参加者を36組以下にできれば進めるんじゃね?」
燕慈の言葉に全員が確かにとは思った。が、
「そう上手くいくとは限りませんね。そもそもこの試練に何組参加しているかわかりません。コールにたどり着いたときに貰える得点は予想は尽きますが、それも確実ではありません。なので、それを踏まえて狩りをしながらチェックポイントを巡りましょう」
そういって法陣へと足を進めると、転移させられる。
「さて、チェックポイントのヒントも書かれていますね。けど」
そういって、龍雄は足元の石を拾い茂みへと投げるとキュゥゥという悲鳴が響き、確認する。
「……この兎は『流星兎』ですね。えっと、一級の獲物ですが、以前戦ったことがありますが、戦闘力も629と大分弱いですね。しかし、丁度良いのでとりあえずこれで食事にしましょう」
「じゃー自分が」
燕慈は手早く捌くと、軽く香辛料を振りかけ焼く。
「いい香りです」
「結構柔らかいですね」
串焼きで小腹を満たすと、森を進むこと数分で第一のチェックポイントが見つかった。それは高い高い見上げても上が見えないほどの岩の柱。
「『軽身行』。二人でより高いところまで登ればいいようですね」
「なら、あぁしだね」
「じゃ,オレもいきます」
そういって、真っ先に名乗りを上げたのは朱里、それに続いて燕慈も手を挙げた。
「気を付けてくださいね」
柚恵に見送られ、二人は岩の柱を駆け上がり始める。
「おぉ、凄いですね」
「はっ。あの二人は軽功ならば随一かと」
「そうですね。とくに朱里さんは元々のスキルと併せれば……」
龍雄の予想通り、見上げても上が見えない岩の柱の頂に朱里がたどり着いた。
「上にこれがありましたぁ」
地図の切れ端を手渡してきた。
「なるほど、次のチェックポイントのヒントですね」
龍天武院の一行は、順調にスタートを切った。
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