115 戦力分析
さて、いよいよ出発ですね。
「はい。けど、カンナちゃんもアヤカさんも来れないのですね」
大丈夫です。『分霊牌』を預かってきましたから。
「分霊牌? なんですかそれ」
『うちらの魂を分けたもんや。通信とかくらいならできるで』
『解説などは任されよ』
「わぁぁぁ可愛いですね」
そうですね。さて、目的地までは時間もありますから、主だった勢力から解説をしましょう。
まずは『武林盟九大門派』とされる九大派閥ですね。
やはり武当派。拳法それも柔拳と呼ばれる経絡や内臓を攻撃することを主体の門派であり、武林盟の義侠を重んじる性質はこの門派の影響を多大に受けているという。
次は少林寺。仏門でありながらも武をもって悟り求める門派といっていい。その武術は無手に限らず棍などの武芸もありますね。
崋山派。たぶん知名度なら、かなり高いでしょうね。とくに剣法、梅花二十四剣は代名詞といっていいほど華麗でありながらもその中にある鋭い刃には高い誇りを持っています。
峨嵋派。女性主体の門派。ほぼ全員が女性といっていい門派です。だからといって侮れるはずもない実力者揃いだそうです。
崑崙派。軽功なら武林随一といわれるほど。そして、それを用いた剣術が得意と伝え聞いてます。
崆峒派。少林寺の分派ですね。体術を主体の武功の道を求道したとされていますね。
青城派。刀を主体の門派ですね。刀といっても日ノ本の刀とことなり向こうの刀は大ぶりで青龍刀を用いた流派ですね。
點蒼派。数少ない槍の流派ですね。けど、剣も用いてます。わりと知名度が低いですが求道者が多く修練に励んでいるそうです。
雪山派。氷雪のように鋭く冷たい剣の使い手でしたね。武林盟にありながらも、距離を置いている秘密主義の門派なんですよね……エルフ族との交友もあるそうですが……
「龍雄さんて本当にいろいろ知ってるでありますな」
ありがとう。けど、知っていることだけですけどね。
「エルフってやっぱり美形なのかなぁ~」
美形ですね。けど、性格は最悪です。
「そうなんですね。同級生とかは憧れてる子とか多いのですけど」
まぁ菜桜さんの年代ならそうでしょうけど、正直、エルフは傲慢だし偏屈です。ダークエルフのほうが付き合い易いですね。一番厄介なのは針葉樹林に住むアイスエルフですね。
「アイスエルフでありますか? あまり聞きませんね」
滅多に表に出てきませんが、縄張り意識が強いうえに、冷酷で残忍で獲物を嬲りますからね。肌も青白く銀髪なのが特徴なので見かけたら下手に戦わない方がいいです。普通のエルフなら交渉できる可能性があるのですが、それでも下手に関わらない方が得策です。
「ほぇ~さすが龍雄さんですね」
年の功という奴です。さてと、次はやはり、あの勢力が参戦しているという情報ですね。
「警戒する勢力ですか?」
えぇ、調べたら邪派と呼ばれる。黒道、血魔、そして天魔神教までもが参加しているとのことなので、特に天魔神教は小教主『紅骸慈』が参戦するとの噂もあるくらいですからね。
黒道は参加するとはいえ、あそこは混沌としていて下位の勢力図は直ぐかわりますけど、狂魔がトップなのは変わりません。
そして、最悪なのが血魔ですね。あそこは残酷さや思想のヤバいですし、さらに殺傷によって力を増す傾向が強いです。
「犯罪者も参加するのかよ」
はい。燕慈さん。それがこの祭典なんですよ。ある程度の実力を証明することで可能な限り衝突をさける。そんな目的だから五大世家も参加してますからね。それに有名なクランも参加していますからね。
「けど、有名クランも何故参加するんでしょう?」
武功書が手に入るからですよ。高ランクになるほど、戦闘技術は身につきますけど、その先のマナコントロールを学ぶのに武功書があれば、能力を何倍にもできますからね。それに成長への限界を感じてというのもあります。
後は、有名クランを倒すことで、武林盟の名が更に広がりますし、門下に迎え入れることで更に勢力が増しています。ですので、外部にも招待状を送るのです。
「有名クランを確実に倒せる自信があるんですね」
えぇ、有名クランといっても対モンスター専門ですからね。対人戦の経験は少ないですから、たいして武功は対人のメインですらね。むろんモンスター相手にも有効ですけど。
「わりと卑怯じゃね?」
そうですね。わりと武林盟て性格悪いんですよ。特に長老職とかだと、中にはいいひともいますけど、傲慢で不遜なんですよ。まぁ、俺が俺で我が強い集団なので……五大世家もそんな感じでしたし……
「ふむ……それは十家と変わらんですな」
「ですね」
あぁ、やはり十家もそんな感じなんですね。
「面倒くさいのであります」
「新年会とか本当にそうですね」
お二人とも苦労されているのですね。
とはいえ、強者揃いの祭です。どんな方との縁があるのやらです。
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