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111 逢引後嵐

 本日は、柚恵さんと植物園へとやってきました。


「いや、龍雄さん。オレも菜桜さんもいますからね?」


 今日の装いはゆるふわっとした愛らしいファッションです。たしか森ガールという奴ですね。アイボリーのワンピースの裾のレースも素敵です。まさに妖精という感じですね。


「あの……そんなに見つめられと……」


 す、すみません。とっても可愛らしくてつい見惚れてしまいました。


「あの……燕慈さん。わたしたちは何を見せられてるのでしょうか?」


「完全に二人の世界だな。とりあえず植物学の課題のすましちまおうぜ」


「そうですね。毒草の十種類のスケッチと見分けるポイントを確認しないと」


「だなぁ。じゃぁ俺らは毒草園を見てくるからぁ。先生はデートたのしんでぇ~」


「は~い」


 ここはエスコートしたほうがいいのでしょうか? けど、わたし植物とかは詳しくないのですよね。ここは専門家の柚恵さんに任せしたほうがいいのてじょうか?


「あ、あの龍雄さん。ここの植物園は……そのダンジョン植物の展示がされているのですが……その見にいきませんか?」


 それは興味深いですね。ぜひ、いきましょう。その手を繋ぎたいのですがいいでしょうか?


「は、はい。よろしくお願いしまふ」


 可愛い。


 凄く、柔らかい手です。


 緊張します。


「エヘヘヘ……」


 あぁ、もうカワイイすぎます。天使です。いえ、女神ですね。


「あっ、ディープ・ウィードです」


 これ、見た目植物ですけど、一応、モンスターなんですよね。


「そうですね。大人しいのでマスコットになってるみたいですけど」


 まぁ、絡まった動物を束縛して動けなくするというだけですからね。人だったら足を取られたからといって近くに他のモンスターがいなければ、簡単に抜けれますし。新人の初見殺しとは言われてましたが、今では引っかかる人はいませんが。


「そ、そうですね……(いえない、今でもたまに引っかかるなんて…)」


 凶暴な植物系以外なら展示もできますね。実際、ダンジョンから持ち帰られた植物が食用として利用されてますよね?


「はい、丹薬やポーションの材料だけでなく食材としても使われてますね」


 そのおかげで、中東やアフリカの食糧問題がだいぶ改善されたほどですからね。


「そうです。それに生命力が強いので肥料として使われたり、建材や家具にも使われますね。とくにトレント製の机は最高級品とされてますね」


 トレント自体は強くはありませんけど、見つけるのが困難なのと、厄介な特殊能力もありますね。それになにより、傷なく倒さないといけませんからね。


「強さとしてはC級ですね。上位種のハイトレントだとB級でしたよね」


 そうです。けど、それは特殊能力の【招集】が主な評価基準です。モンスターを呼び寄せて自分を守らせるスキルですので。ブラントモンスターは基本的に【擬態】や【隠蔽】のスキルを所持しているのが特徴なので奇襲でそれをやられるとAランクパーティーですら、損害を受けてしまうので、低ランクではトレントはかなり危険なモンスターという認識ですね。


「そうなんですね。トレントの実とかは見たことがあるのですが実物はないので凄く興味深いです」


 なるほど。確かに錬丹術師だと素材は見ても、危険な討伐系には向かうことは少ないですね。


「なので教えていただいた武功は助かります。能力的にはB級の探検者ですけど、実戦経験は少ないのでぜひモンスターのことは知っておきたいのですね。師父」


 そのいたずらっ子みたいな笑顔は反則です。ブラント系だと、Aランクならいるプラント・ドラゴン。このモンスターはドラゴンとは名前がついてますが、知性ある植物であり、ドラゴンに近い能力をもった植物です。なので、対ドラゴン用の武器は効果を発揮しませんね。ほかにはドライアドは女性の姿で誘惑してくるモンスターとして有名です。


 他にも植物に擬態する系の昆虫系モンスターも厄介です。呼吸をほとんどしないので奇襲には注意ですね。


「対策とかはないんですか?」


 そうですね。【生命探知】【マナ探知】【直観】【危機察知】【看破】などの、探知系のスキルや察知系のスキルがあれば見つけやすいので、パーティーに二人は必要ですね。


「なるほど」


 ちなみにこのダンジョン・リリーに擬態したフラワー・マンティスというモンスターもいるんですよ。


「この百合。私よりも大きいですよ?」


 えぇ、大きいですし、ダンジョンだと臭いが凄くて気づきにくいんですよ。このダンジョン・リリーは品種改良して臭いが抑えられているそうですけど……


「あっ、本当ですね。品種改良したのは……あぁ、大林教授ですか、なるほど」


 お知合いですか?


「敵です。わたしたち錬丹学科の予算を狙う敵です。錬丹術で収益をあげているのだからと、予算を削ろうとしてくる敵です。収益はそうですが材料費や研究費で簡単に消し飛ぶんですよ! いまは龍雄さんのおかげで好きなだけ研究できますけど……」


 なるほど。だから合同採取などにもでられるんですね。


「はい。実は中間材の材料などが一番、予算を圧迫するんですよ。そこまで高くないといっても他の材料と比べて数も使うので、中間材の錬成だけでも予算を食いつぶされるんですよ」 


 意外と世知辛いですね。


「おまけに品質を安定させるのは大変なんです」


 そうなのですね。


 この後、いろいろと話をしました。わたしの生い立ちや、彼女の生い立ち、まさか毒親という奴だったとは思いませんでしたが……


「実は、今日は親父の知り合いの店を予約してあるんす」


 そうなんですか燕慈さん?


「龍雄さんのおかげで妹の薬が安定して確保できるようになったので……」


 なるほど。では、そのお店にしましょう。けど、予約が必要なお店て高いのでは大丈夫でか?


「ダンジョンをいくつか攻略してますから、大丈夫だと思いますよ」


 菜桜さんもいってたんですか?


「週3回はいってました」


 そんな恥ずかしそうに言わなくても。


「50万までならいけるっす」


 そんなに稼いでたんですね。


「二人とも、課題は大丈夫ですか?」


「大丈夫です」


「一応、俺も優等生なんですけど?」


 燕慈さん、本当に見た目に反して本当に優秀なんですよね。


「覚醒したときに髪色が赤くなったせいで喧嘩売られてたりしてこんな感じですけどね。あと目つきも悪い自覚はありますよ」


 ははは、すみません。では予約してもらったお店に行きましょう。ちなみにどこですか?


「吟座の『鳳凰楼』です」


 そこは、超高級中華店じゃないですか!? よく、予約とれましたね。


「親父が昔、勤めていたそうなんです。今回はそのコネで予約をとれました」


 なるほど、それは楽しみ……アレ? けど、なんで今日、予約を? 柚恵さんから昨日、誘われたのですが…?


「それは……」


「わぁわぁ、もう少しでつきそうですね」


 おや、本当ですね。どんな料理が食べれるんでしょうね。


 車も止めたことですし、では、行きましょう。


「すみません。予約をしていた赤坂ですけど」


「はい、赤坂さまですね」


 さすが高級店ですね。サービススタッフがしっかりしてます。


「おい、ここは選ばれた者だけが利用できる店ではなかったのか?」


 うん? なにやら奥から人が来たみたいですが……


「あ、あの何か不手際でもありましたでしょうか?」


「この『皇甫 張(こうほ ちょう)』が利用する店になぜこのような下民が客としてきている」


 顔は整っていますが、なんというか傲慢な人ですね。


「うん? よし、お前たち、その女二人を献上するなら、無礼を許してやる。下等なものが高貴なるオレに献上できることを末代までの誉れにすることも寛大なオレが許してやる。うれしかろう」


 はっ? いまこの人は何を言いました?


「嬉しくて言葉もでないか、ならば更にオレ達の食事代を払わせてやるありがたく思って、女を置いて立ち去れ」


 どうやら聞き間違いではないようですね……

新年あけましておめでとうございます。

投稿が遅くなり申し訳ございません。年末年始と多忙で予定を大きく遅らせる形となりました。

本年も本作をよろしくお願いいたします。


評価や感想、ご意見など時間がありましたらどうかお願いいたします。

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