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107 調査訪問

 寂れた県境への道を走る一台のワゴン車。


 社内には運転手と中年の男性が4人と一人の女性。年のころは20代後半で短めの黒髪と鋭い目のしたにほくろが一つ。すらりとした手足に服の上からでもわかる豊満なバストと一見すれば、モデルと間違いそうな容姿の女性は『探検者協会・調査部』書調 綴李(かきしらべ つづり)は、揺れる車内の中思いにふけっていた。本日の調査は新たに発足した『龍天武院』の本拠地及びクランマスター『竹田龍雄』に関する調査。


(資料を見たけど、随分と若いわよね……偶然にも建物型のアーティファクトを手に入れた)


 事前に受け取った資料を目を通しながら、まわりの面々を見る。


(『我田引水』の『水沼健吾』に『清塾』の『清田修平』そして『ロックスター』の『岩岸誡拿(かいな)』ですか。Cランクのクランマスターが3人も判定委員とは妥当ですね)


 内心そう思いながら、長い道中を車に揺られて山道へと進む。探検者協会の車は様々な場所にポータルがあるために足回りを良くしている為に、悪路をものともせずに進む。


 こういった技術が提供されているのも、探検者協会は半官半民の組織であるためであり、日ノ本の最先端の技術と富が集る組織である。


 そうしてたどり着いた一行を出迎えたのは、立派な門であった。


(凄く立派な門。こんな立派な門は実家以外だと中々ないですね。兄さまから竹田龍雄の名は聞いてましたけど……ちょっと楽しみになってきましたね)


 小さく微笑みながら手に持ったタブレットで顔を隠す。


「ちっ、随分といいとこに住んでやがる」


「ほんとほんとこの敷地で、自分の塾がいくつはいるのやら」


「うちのクランなんて築30年のビル2階っスよ」


 悪態をつく三人。特に岩岸はどんどんと不機嫌になっていく。その三人をなだめる様に瀬見所長が汗をかきながら、ペコペコ頭を下げる。


(面倒ですね……)


 そうこうしていると門が開き、ショートカットの銀色の髪と透き通るような、まるで新雪のような肌の少女が姿を現した。


「探索者協会の方々か?」


「は、はい。探索者協会埼玉支所、所長の瀬見と申します。こちらは調査部の書調さんです」


 所長の瀬見が代表してあいさつをして綴李を紹介し、次いで実力を測る為に対戦相手として連れてきた岩岸、清田、水沼を紹介した。


「よくぞ参られた。我は案内役を賜ったカンナである。門主がお待ちだ」


 カンナと名乗った少女はどんどんとした立ち振る舞いで一行を案内した。


 一行が目にしたのは見事なまでの庭園だった。


(凄い庭園ですね。けど、既視感を覚える点がありますね。どこで見たのでしょうか?)


 綴李は内心そう思いながら庭園を見回し、手元のタブレットに情報を書き込んでいく。


(建物型アーティファクトと記載がありましたが、これはもう異篋といっていいものですね)


 このレベルとなると最早、世界中を探しても数えるほどしか存在しないレベルのアーティファクト。


(確実に、三種の神器を始めとした国宝八十八宝にも匹敵しますね。もっともどれも戦闘用なので比較が難しいですし……それに、どれも完全開放を見たことがありませんから比較は難しいですね。『箱庭』系のアーティファクトでも精々屋敷一つがいいところですが、ここは都市レベルとはスケールが違い過ぎますね)


「どんだけラッキーな野郎なんだよ。こんなもん持ってるなんてよ」


「いやいや本当に、どれだけの富になるのか」


「凄く丁寧にしてるっスね。いいっスねこの庭園」


 それぞれの感想を抱きつつ、軽く庭園をあるき奥へと案内する。


「主殿。客人を案内してまいった」


 一行が案内されたのは闘技場。


 そして、中央の闘技台の上には、銀髪が良く似合う美丈夫がたっており、その姿だけでも一枚の絵画のようであった。


「お待ちしていました。わたしが『龍天武院』門主の竹田龍雄です」


 軽くお辞儀をして出迎える龍雄であった。

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