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102 四聖乱舞

 統率を失ったゴブリンの群れの中、龍雄は大暴れをしていた。その様は、まるで濁流に呑まれる木の葉の如く、ゴブリンたちをなぎ倒していく。


「このまま一気にいきますよ! 【鎖陣法・螺旋星雲陣】」


 『玄武球』が勢いよく龍雄を中心に回転する。鉄球だけでなく、鎖の部分が触れたゴブリンたちを両断していく。


「さらにいきますよ!」


 高く跳びあがると『玄武球』を手元に引き寄せる。


「【八岐大蛇】」


 『玄武球』が八つに分割すると巨大化すると、まるで伝説の八岐大蛇の如く、ゴブリンたちを蹂躙する。


「さらに行きますよ『白虎牌』」


――白! 白! 白!――

――BAN! BAN! 白! 虎!――

――モード・白虎――


 白を基調とした虎の意匠の鎧へと切り替える。


「今度は白虎の力でいきます【獅哮】」


 近くにいたゴブリンたちを大きな掌があらわれ吹き飛ばす。


「【鹿昇】」


 今度は地面から掌が次々にゴブリンが宙へと吹き飛ばし空に舞う。


「【熊解】」


 更に、合掌するとゴブリンの群れを巨大な手が左右から圧縮する。


「やはり、力が上がってますね。くっきりと具現化してます」


 半数を片付けたころ、ゴブリンたちの混乱が落ち着き、隊列を組み始める。



「ここから、厳しくなりそうですね……うん? 『朱雀牌』が光ってますね。では、『朱雀牌』」


――朱! 朱! 朱!――

――火闘(ヒート)! 朱! 雀!――

――モード・朱雀――


 朱を基調に鳥の意匠の鎧へと変わる。


『暴れさせろよ。なぁ?』


「わかりました【武魂顕現】」


 黒い炎が巻き起こり、黒を基調にした鳥の鎧の戦士――鵬天――が姿を現す。


『久々にあばれられるゼ』


「炎双剣『鳳凰』」


 二振りの剣を構えると一本を鵬天へと、投げ渡す。


『遅れるなよ』


「あなたこそ」


 二人は背中合わせに剣を振るう。


『オラオラ!』


 鵬天は力任せに剣を振るい。


「【飛鷹】」


 龍雄が斬撃を飛ばし迎撃していく。


『ちっ、きりがねぇな。こうなりゃ一気にきめるぞ』


「そうですね。【鳳凰鳴破】」


 二人の剣が共振し広がった波紋が、ゴブリンたちを爆ぜさせていく。


『はぁ、すっきりしたゼ。また暴れさせろよな』


 それだけ言い残すと鵬天は『朱雀牌』に戻る。


「ちょっ……うん?」


 龍雄は軽く後方に跳ぶと、龍雄が今までいた空間に斧が通り過ぎる。


「ガルゥゥゥゥゥ」


 ポールアックスを構えた大柄なゴブリンは血走った眼を龍雄に向ける。


「ホブゴブリンバーサーカーですか……では『青龍牌』」


――青! 青! 青!――

――GO! 青! 龍!――

――モード・青龍――


 青い色調に龍の意匠の鎧へと変わり、その手には,これまた龍の意匠が施された槍が握られる。


 ホブゴブリンバーサーカーは、周りのゴブリンを巻き込むのもお構いなしにポールアックスを振り回す。


「【伏柢(しんてい)芽天(がてん)】」


 石突で、ポールアックスを払い、そのまま踏み込み突く。突きはホブゴブリンバーサーカーの肩に突き刺さる。


「【精幹(せいかん)連理(れんり)】」


 もう一歩踏み込み、ゴブリンバーサーカーの肩がはじけ飛び、振るった槍で斬り刻む。


 あたりは、ゴブリンの屍山血河で埋め尽くされる。


「大体、片付きましたけど……まだ、攻略完了ではないですね」


 青龍モードを解除してあたりを警戒する。


「上ですか!?」


――ドォォォォン――


『グフフフフ。ウマソウナ、匂イ』


 醜悪な顔をニンマリとゆがめて豚のように鼻をヒクヒクさせながらあたりを見回す。


「大きいですね。さっきのホブゴブリンバーサーカーですら小さく見えます。おまけに山城の天守からここまで跳んでくるとは、見かけによらず俊敏ですね」


 そんな龍雄を気にすることなく、大岩のようなゴブリンは、周りのゴブリンたちの死体を握るとそのまま口に放り込み呑み込んでいく。


「ゴブリンの死体を喰っている? シンさんあのモンスターは」


――解――

――吞喰(どんじき)のゴブリンキング――

――戦闘力29544――


「Aランクのモンスターですか……これは気を引き締めないといけませんね」


 貪り喰らうゴブリンキングを前に闘志を燃やすのであった。

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