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101 小鬼山城

 龍雄がくぐったポータルからたどり着いたのは、広葉樹林が広がる森だった。


「では、ドローンを飛ばして、撮影をしますかね。なんでも編集した動画は人気コンテンツらしいですから。可能なら派手な技も使って欲しいとまでいわれましたね『武着』そして『玄武牌』」


――玄! 玄! 玄!――

――GAN! GAN! 玄! 武!――

――モード・玄武――


 身に纏う鎧が黒く亀のような意匠と手に持った『玄武球』には蛇の意匠が浮かび上がる。


「【天鵬龍王聖魔体】が覚醒してから感覚もだいぶ鋭くなりました。……感覚を解き放てば、数キロメートル先まで感じ取ることができます。名付けて【天網万象】」


 【天網万象】は超感覚で得たと情報を【神識】により立体的にとらえる絶技である。


「3匹一組で巡回していますね……ゴブリンがこんな行動をとっているということは上位種が確実にいますね。歩法【蛇陰走走】」


 歩法【蛇陰走走】は気配を消して高速で移動する歩法である。龍雄は感じ取った気配の方向へと走る。そして、森の入り口付近へと近づくと視界に槍をもったゴブリンを捕らえる。


「あれは……たしかゴブリン偵察兵。やはり上位種がいますね」


 そういいながら、『玄武球』を構えると振り回し、そして、ゴブリンたちへ向けて振った。


 ゴブリンは慌てて、迫る鉄塊に槍を投げるが勢いのついた鉄球は止まることなく一匹の頭を潰し、二匹目の胴をえぐり、三体目のゴブリンは身を低くして躱し、這う這うの体で森の奥へと進んだ。


「これで良しと、【天網万象】で位置などは把握できますが、ある程度の集中が必要ですから案内してもらいましょう」


 逃げ出したゴブリンの後を追う。この時点で上位種の存在を確信させる。通常のゴブリンなら場にとどまるから出鱈目に暴れだす。だが、一直線に逃げ出すのは上位種が存在するときに見られる行動。ゴブリンは弱いという先入観から、経験の浅い探検者はうかつな追跡で、返り討ちにあう事例は少なくない。


 軽く距離をとりネグラへと追跡を開始する。


「うん? 【鎖陣法・亀甲壁】」


 森の半ばに足を止め、目の前に鎖で盾を作りだし、飛来した矢を弾き飛ばす。


「伏兵ですか……数は8匹ですね【蛇頭走撃】」


 『玄武球』は獲物を狙う蛇のように弓兵ゴブリンの頭を次々へと潰していく。


「狙撃できるように潜伏された配置されてましたね」


 枝から枝へと飛び移りながら、逃走した偵察兵を追う。やがて森が開けた先で目に入ったのは……


「砦というよりも、これは山城ですね。それに空堀までありますし……ここまでくると、レイドでないと無理ですね。しかし、低級ダンジョンだと予算がでませんし……」


 レイドとは複数のクランが合同でダンジョンをクリアーすることを指す。この規模ならそうなのだが、低級ダンジョンだと予算があまり出ない為に難易度設定とは裏腹に実入りが少ない。


「とりあえず、破壊しますか【破城落星槌】」


『玄武球』を鎖を振り回し天高く投げられた『玄武球』は、その大きさをどんどんと膨らみ直径100mのサイズまで達し、ゴブリンの山城に落下し破壊する。


「まだまだいきますよ」


 巨大になった鉄球を振り回し、どんどんと山城を廃墟へと変えていき、城からゴブリンたちが逃げ出し慌てふためく。


「では、第二ラウンドといきますか」


『玄武球』を元の大きさに戻すと、龍雄はゴブリンたちの群れへと駆け出すのであった。

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