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sin-心-  作者: 小城
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sin-心-

 この物語は、フィクションであり、実在の人物、団体、事件等とは、一切、関係ありません。

 某タイムスリップ漫画とは、関係ありません。

 先に、拙著『戦国ラブコメ』を一読して頂けると、内容が、より理解しやすいかもしれません。

 自称、精神療法家の倉橋心は、勤務先の病院の階段から落ちると、そこは、戦国時代の日本だった。


三河

 藪の中に、転げ落ちた。地面は、湿っていた。心棚橋メンタルクリニックの心理療法士の倉橋くらはしこころは、勤務を終えた夕方、6時頃、同僚と別れて、クリニックの裏手の階段を降りる所だった。

「うわあ…!?」

 本来、濡れているはずのない、階段が、何故か、そこだけ濡れていた。足を踏み外した心の視界は、突然、真っ暗になった。

「ここは、どこだ…?」

 気が付くと、湿地帯の葦が沢山生えている沼地の近くで、空は暗く、八割程顔を出した月明かりが、心を照らしていた。周囲の空間には、小さな蛙の声が聞こえた。

「んだらあ!」

 大声が響いた。見ると、月明かりの中で、人影が、数人、見えた。

「けんか…?」

 夜風に吹かれて、金属音が聞こえる。ばしゃばしゃと音がして、それが大きくなってきた。

「おい、そこな人…!」

 心の所に、人が飛んで来た。その人を追って、また、2人。人が走って来た。彼らは、皆、一様に、明らかな日本刀を持っていた。

「(なんか、どこかの漫画で見たような光景だな…。)」

 ということが、頭の片隅によぎりながら、心が、思ったことは、彼らは、おそらく、ヤクザだと思った。

「なんだあ?おんしは。」

 言葉遣いも荒い。

「えっと、私、心棚橋メンタルクリニックのカウンセラーをやってる者です。」

「はあ?」

 思わず、心は自己紹介をしてしまったが、内心は、穏やかではなかった。

「都人か?」

 そんなことをしているうちに、心の傍らにいた人が逃げて行ってしまった。

「待て、こんたわけが!!」

 2人も、叫き声を上げながら、走って行った。

「助かった…。」

 とりあえず、心は、家に帰ろうと思い、立ち上がった。幸い、怪我はなかった。

「どこ…?ここ…。」

 歩いても、見えて来るのは森と田んぼだけであった。道には、街灯も道路もなく、車はおろか通行人もいない。さすがに、心はおかしいと思った。

「待てやあ!!」

 後ろから叫き声がした。

「お助け下され。」

 先ほどの人たちだった。

「また、おんしか。そこをどけや。」

「待って下さい。ここは、どこ何ですか?」

「何と言っている?」

 その人たちは、心の話している言葉が聞こえてはいるのだが、理解ができていないようだった。心も、また、彼らの言葉は、どこか理解しづらい。

「(聴覚情報処理障害『APD』みたいだな…。)」

 漠然と心は、そう思った。

「ここ、どこ、ですか。」

 心は、単語に区切って、はっきりと伝えた。

「どこ…?岡崎じゃあ。」

「岡崎?愛知県の?」

「三河の岡崎じゃあ。」

 会話が成り立ったのは、偶然だった。心が、おかしいと思っていたのは、言葉だけでなく、彼らの服装もそうであった。辺りは、寒いのに、彼らは、貧相な和服を着ていたし、髪型もぼさぼさであった。

「(山奥なのか…?)」

 心は、うすうす、今の状況の、本当の予想が、し始めていたが、まだ、それを、信じることはできなかった。

「お助け下され。御人。」

 傍らの男が言った。

「どうしたのですか?」

「?」

「何事にござるか?」

 心は、もしやと思いながらも、本当は、受け入れたくなかった予想を試した。

「そやつは、謀反人に御座候。」

「(当たった…。)」

 現代の外科医が、江戸時代にタイムスリップするという漫画を、心は見たことがあった。心は鳥肌が立った。

「謀反人とは、如何なる仔細に御座候也。」

 何となく侍風の言葉で話し掛けた。それでも、彼らには、通じにくいようであるが、先ほどよりは、通じるようだった。

「次郎三郎殿に、別心致し、御命を狙われたのだ。」

「それは、あやまちじゃあ。」

「ならば、逃げずに、申し開きせい。」

 彼らは、当事者同士で話し合い始めた。

「このままだと、大殿は、三郎殿を殺してしまうわ。おれは、それを止めたいのじゃ。さらば、三郎殿の真意を聞きたく、寝所に、忍び込んだ次第じゃ。」

「かような偽り事、誰か信じるものか。」

 心は、お互いが感情的になっていると思った。これでは、話し合いには、ならないだろう。

「お手前方、まずは、刀をお納め下され。」

 心は、大きな声で言った。彼らの手には、相変わらず、白刃が下がっていた。

「御人の仰るとおりじゃ。」

 傍らの男がまず、刀を納めた。すると、他の二人も、納刀した。

「お手前方は、どのような関係に御座候也?」

「くわんけい?」

「…。間柄。仲間。家族。…。」

「某は、服部半蔵に御座る。」

 傍らの男が言った。

「服部半蔵?」

「そうじゃ。鬼の服部半蔵じゃ。」

 忍者。服部半蔵。というキーワードが浮かんだ。

「わしは、酒井左衛門じゃ。」

「某は、石川伯耆と申す。」

 その2人に、心は、聞き及びはなかった。

「某は、倉橋心。いや、心左衛門と申す。」

 咄嗟に付けた名前だった。

「江戸より、参った。」

「江戸?」

 この頃、江戸は、まださほど有名とは言えない。

「江戸。武蔵の江戸にござるか?」

 石川が言った。

「武蔵…?その通りにござる。」

 たわいない会話ではあったが、少しは、場が和んだように思えた。

「まあ。良い。半蔵。とりあえず、城へ戻るぞ。わしらも、頭に血が上っていたようじゃ。」

「それは、重畳じゃ。御人。其方も、参るが良い。なあ、左衛門殿。」

「まあ、良かろう。」

 

岡崎城

 心を含む4人は、岡崎城下の、酒井左衛門の屋敷に来た。それらの様子を見て、心は、自分がタイムスリップしたと確信した。

「(たぶん、夢とか、幻覚とかではない。)」

 それにしては、人々が生き生きとし過ぎているし、自分が既に、死んで、転生したのかとも思ったが、心の服装などは、クリニックを出たときと、何ら変わることはなかった。

「おんし、妙ななりをしておるなあ。」

「あ…。ポルトガル?南蛮のなりにござる。」

「南蛮?おんし、南蛮人か?」

「いえ。日本人にござる。」

「まあ、どちらでも、良いわ。」

 彼らは泥で汚れた足を、井戸で洗っていた。彼らは、ぼうっと突っ立っている心は、放って、さっさと先へ行くので、心も、あとから付いて行った。靴を脱いで、屋敷に上がった。

「さて、いかようにしたものかな。」

 座敷のようなところで、4人は座った。石川が、灯明に火を付けたが、明るさはほとんど変わらない。

「このままでは、三郎殿は、殺されるぞ。」

 開口一番、半蔵が述べた。

「すみません。」

 心が手を挙げた。

「何だ?」

「えっと…。今は、如何なる事態に御座候也。」

「…。」

 酒井は口をつぐんだ。それは、おそらく、何の関わりもない、旅人風情に言うことではないという意味だったのだろう。しかし、それを言うと、通りすがりの心左衛門が、この場にいること事態がおかしかった。

「左衛門殿。この御人は、他国の忍びではござらんよ。某には、わかる。」

 半蔵が言った。もし、心が日本史、それも戦国史に詳しかったならば、今が、元亀、天正の頃の徳川領三河岡崎で、岡崎次郎三郎とは、徳川家康の息子、松平信康のことであると、分かったかも知れない。

「まあ、良い。半蔵、おんしが、話してやれ。」

「承知した。心左衛門も申したか。おぬし、ここが、三河で、わしらが、徳川の者ということは分かったか。」

「はい。」

「はい?分かったということか。」

「えっ?何と言えば?」

「分かったならば、おうと申しませ。」

 石川が言った。

「おう。」

「ならば、大殿は徳川三河守殿じゃ。次郎三郎殿は、子息じゃ。」

「三河?徳川家康?」

「何故、諱を知っておるのだ?」

「いみな?」

 不便だと思った。時代が異なるだけで、こうも、通じ合わないと、心は思った。しかし、人から見たら案外、よく通じていると思う。

「続けよ。半蔵。」

 酒井左衛門が言った。

「三河では、今、大殿と三郎殿が、けんかをしておる。織田殿や御前様や大方様も巻き込んでな。」

「けんかの原因は何でござる?」

「げんゐん?仏語か。分からぬな。」

「あ…。どうしてけんかした?」

「それは、武田と織田、徳川。これからの家の行く末よ。」

「もとより、三郎殿は、武田に別心など考えてはおらぬ。先年の大岡の一件で、落着したことじゃ。」

 酒井が口を挟んだ。

「それでも、おぬしら三河衆が悪い。岡崎には、御前もおる。それは、もとより、おぬしらも承知の上じゃろう。」

 半蔵は、負けじと述べる。一座に、沈黙が走った。

「すみません。」

「何だ?」

 心が手を挙げた。この場にいる者は、何故、心左衛門が、わざわざ手を挙げるのか、分からなかったが、誰もそのことには、突っ込まなかった。

「御前とは誰でござる?」

 御前。織田信長の娘で、信康の正室。徳姫。そのことを心は知らなかったが、この場で、彼女が、重要な役割を果たしているだろうということは、一堂の物言いなどから、勘で分かった。

「織田の姫君。三郎殿の奥方。」

「織田…信長。の娘。」

「信長…?か。織田殿の諱は。」

「左様にござる。」

 石川伯耆が付け加えた。


徳姫

 一堂は、冷たい板の間の上で、灯明の薄暗がりの中、話しを続けていた。襖からは、夜の冷たい風が吹いていた。

「御前様が、何をされたのでござる?」

「御前様は…。」

 半蔵は口を濁らせた。

「御前様は、もとより、我々の内を探られるものとして、岡崎にいたのは、皆が承知のこと。その上で、城内が騒げば、織田殿の耳に入るのは、必定にござった。」

 そう言ったのは、石川伯耆であった。石川の言葉で、心は、一堂が秘めていることが分かった。彼は、皆、責任の追及を避けているように感じた。おそらく、先ほど、酒井左衛門が、落着したという一件は、実は、落着しておらず、半蔵が三河衆と言った酒井や石川も、それらに、関わっていたのだろう。そして、彼らは、暗にというより、このまま、何もしなければ、おそらく、三郎殿が家康に殺されることにより、落着する。それは、つまり、酒井や石川は、三郎殿を犠牲にして、自らの保身を図るということである。それを、半蔵は、何とか止めたいのだろう。

「(どうしたものかな…。)」

 カウンセラーは、クライアントの課題に、積極的に介入することはない。その課題はあくまで、クライアントのものであり、カウンセラーは、支援者に他ならない。しかし、ここが、本当に戦国時代ならば、命のやりとりは、現在よりも、軽んじられているだろう。先ほども、もしかしたら、酒井たちは、半蔵を殺していたかも知れないし、心の一言で、三郎殿や酒井たちの命が断たれることはあるだろう。

「…。」

 一堂は、相変わらず、沈黙していた。酒井や石川たちも、三郎殿のことを思っている。しかし、その片方の天秤には、自分たちの命が掛かっている。

 余計な説明をするのであれば、今は、天正7年。1579。徳川家は、信康の三河衆と家康の遠江衆に派閥ができていた。家康は信長に仕えて、反武田を貫いていたが、家康の目の届かない三河の方では、武田と友好的関係を築くことも視野に入れるべきであるという意見も、家中にあった。信長の娘の徳姫は、そのことを信長に、信康とその母、築山殿の武田への内通として、報告したのである。信長は、それを聞き、事情の究明を家康に求めた。それに怒ったのは、家康であった。家康からしたら、信長の勘気を蒙ることは、自身の命や御家の存亡を意味した。そして、それは信康の命も、同じであった。このときの徳川家は、皆が皆、御家と自己保身の内に揺れ動いていたといえる。

「もはや、これは、大殿と三郎殿の決めるじゃ。わしらの成すことはない。」

 座談会の終結を告げるかのように、酒井が述べた。

「…。」

「…。」

 半蔵も石川も黙っていた。

「三郎殿はどう思っているのでしょうか?」

 心は、ふと思ったことを口に出した。

「そうじゃ!三郎殿のお気持ちを問いただすのじゃ。」

 半蔵が叫いた。

「三郎殿と大殿は、今般、お二人でお話しされたようにござる。」

 石川が付け加えた。

「余り、芳しくはなかったようだがな…。」

 酒井左衛門も述べた。

「それでも、やはり、親子だからこそ、言えない真意があると思います。」

 いつの間にか、心は侍口調から脱していたが、一堂は、何故か、心の言っている意味が通じていた。

「おんしも、不可思議なやつじゃな。」

 しばしの沈黙の後、酒井が口を開いた。

「然れど、今は、夜ふけじゃ。今宵は、もう、休め。三郎殿に次第を聞くのは、また、後じゃ。」


信康

 その夜は、酒井の屋敷に心と半蔵は泊めてもらった。

「某からも三郎殿に口利きしてみよう。」

 石川伯耆もそう言って、自分の屋敷に帰って行った。戦国の夜は、静かだった。板の間に、筵を引いただけの上に、毛皮を纏って、心は寝た。

「(眠れない…。)」

 孤独になると、不安や焦りが湧いてくる。

「(この先、どうなるのだろうか…。)」

 心は、リュックサックを開けた。中には、睡眠導入剤が入っていた。心は、それを1錠、唾液と一緒に飲み込むと、再び、毛皮に包まって、眠りに就いた。

「御人。起きよ。」

 立っていたのは、酒井であった。まだ、明け方前で、辺りは薄暗かった。

「急だが、城へ参るぞ。」

 酒井が言った。

「半蔵め。早まりおって…。」

 伴を連れた道中、酒井は言った。

「どうかしたのでござるか?」

「半蔵よ。あやつ、消えておったわ。おおかた、城へ参ったのだろう。それにしても…。」

 朝日が昇り、辺りは明るくなって来た。

「おんし、まことに、変わっておるなあ…。」

 酒井は、心の全体像を眺めた。その姿は、現代人からしたら、標準的な服装であったが、戦国時代人から見たら奇抜であった。

「まるで、風流者だな。」

「ありがとうございます。」

 酒井は、褒めた訳ではなかった。そんなことをしている内に、城へ着いた。

「酒井殿。」

「伯耆か。良い。半蔵めを見なかったか。」

「一足、遅かったようで…。」

 建物の陰から、半蔵が現れた。

「半蔵。おのれ!」

「待て。事は済んだ。若殿の命じゃ。今日の昼過ぎ、大樹寺に来られませ。」

「ふん…。御人。ご足労かけたが、其方は、半蔵と伴に、屋敷へ帰られよ。今さらながらじゃが、その風体では、登城はなるまい。おい。」

 酒井は傍らの下人に向かって、声を発した。

「御人に、衣装を整えて遣わせ。」

 半蔵と伴に、心は酒井の屋敷に帰った。

「南蛮の衣装とは、不思議な物だな。」

 心の脱いだ服を、半蔵が見ていた。代わりに心は、小袖に袴姿になった。

 昼過ぎに大樹寺へ行くと、酒井と石川が先にいた。

「家臣たちが集い、おれを殺める算段か?」

 心と半蔵たちが座っていると、間もなく、小姓を連れた若者がやって来た。岡崎三郎こと、松平信康である。信康は、まだ、二十歳前後の若者であった。

「そのようなことは、けして…。」

 酒井が畏まった。

「戯れ言じゃ。左衛門。」

 信康が心の方をちらっと見た気がした。

「して、話とは何だ?」

「三郎様の心根を伺いたく。」

 半蔵が畏まって、言った。

「おれの心根だと?」

「は。」

「そのようなこと、今さらながらに尋ねて、如何にするつもりじゃ。いずれ、父上は、おれに切腹を告げることは、目に見えておろう。おれも、もはや、覚悟はしておる。さても、このようなところで、集っていては、謀叛の企みとて、其方らも、同罪じゃ。おれは、もう行くぞ。」

 信康は、凛々しく、立派な若武者であった。彼は、自分の命の価値を分かっていた。家康が彼に粛清を告げることで、徳川家中は、一枚岩となる。そうすることで、初めて、徳川家は、武田家や織田家と渡り合える。その布石になることが、信康の最期の役目である。彼はそう認識していた。

「三郎様。某は心左衛門と申します。」

 行こうとする信康を心が引き止めた。

「この場に集う方たちは、皆、三郎様のことを心配しております。とりあえず、某の話を聞いては下さいませんか。」

「見ぬ顔だが…?」

 信康は、酒井の顔を見た。

「半蔵の遠縁の者にございます。」

 酒井はそう説明した。

「話とは何か。手短に申せ。心左衛門とやら。」

 信康は、その場にどかっと座った。

「三郎様は、今回の件をどう思ってございますか?」

「こんくわゐ?」

「えっと、武田家と徳川家のこと。御前様のこと。」

「半蔵。この者は、何者だ?まことのことを申せ。」

「は。」

 半蔵は口をつぐんだ。本当のこと。心は未来から戦国時代にやって来たということ。それを言ったら、事態は悪い方向に行くだろう。

「某は、南蛮から来ました。」

「南蛮?」

 心は、袖口を捲った。そこには、腕時計が、虚しく時を刻んでいた。

「時計にございます。」

「とけゐ?」

 皆が、心の腕時計をのぞき込んだ。

「時計。ときはかりのことにござるか?」

 石川伯耆が言った。

時計ときはかり。そうです。これが、時を刻んでござる。」

 心は腕時計を外して、信康に渡すと、彼は、それをじっと見つめていた。

「このような小さなからくり仕掛けなど、初めて見るわ。」

 一通り、信康は、時計を見た後、心に返した。

「その南蛮人が、何故、徳川家のことを探られるのじゃ。」

「三郎様やみなさまの命を救いたいのでござる。」

「命を救う?」

「おう。」

「ふっ。」

 信康は鼻を鳴らして、笑った。

「どう救おうというのか?心左衛門。」

「三郎様は、どうされたいのでござるか?」

「おれか、どうしたいとは?」

「三郎様の頭の中での、理想の状態は何でござるか?」

「なんじゃ…?りそう、じょうたい?」

「ええと…。一番よいと思うこと。どのようになれば、一番よいと思いますか?できなくてもいい。思うだけです。」

「それが、りそうとやらか?」

「おう。」

「ふっ。」

 信康は、鼻を鳴らした後、目を閉じた。

「おれは、徳川が天下に号令を掛けているところを見てみたい。」

「そこには、誰がいますか?」

「おれだ。父上も、左衛門も、伯耆も、半蔵も。皆がおる。」

「ならば、三郎様は、生きねばなりません。」

 信康は、ゆっくりと目を開けた。他の者たちは、小さく、うついていた。彼らの姿を信康は、静かに眺めた。

「左様だな。死ぬことだけではなく、生きることも思わねばなるまいな。」

「殿!」

 半蔵が畏まった。

「この半蔵。微力ながら、お伴致したく存ずる。」

「某も。」

 石川が言った。

「わしも、同心じゃ。」

 酒井もそう言った。


家康

 とはいえ、事態は緊迫していた。

「おれは、もう一度、父上と話してみようかと思う。」

 信康が言った。

「すみません。」

「何だ?」

 心は手を挙げた。

「三郎様と、お父上様は、どういったことを考えていられますか?」

「おれと。父上?」

「おう。お互い、考えが違う?」

「父上は、あくまで織田殿に従うつもりだ。」

「三郎様は?」

「おれも同様よ。」

「それでは、何を?」

「ふむ。仔細を述べたほうがよいか。左衛門ら、其方たちもよく聞くのだ。」

「は。」

「そもそも、おれも、母上も、父上に背いて武田に付こうなどということは、断じてない。然れど、おれは、それだけではならぬと思うておる。」

「と言うと?」

「父上は、織田殿にへつらっておいでだ。本来、織田と徳川は盟友のはず。だが、今は、徳川は、織田の家臣同然じゃ。父上は、それが最良じゃと申しておるが、おれは違う。そもそも、織田が、京へ向かえたのは、徳川が武田を抑えていたからじゃ。そのことを、おれは織田殿に物申したい。然れど、父上は、織田殿を恐れておられる。卑屈になっておるのだ。」

「それは、父上には?」

「言うた。だが、叱られた。織田殿は、もはや天下を取った身。数年の内に武田を滅ぼすだろう。その次は、北条かもしれぬし、われら徳川やもしれぬ。然ればこそ、このようなことになってはならぬのだと。あいにく、おれの考えは、織田殿や父上からしたら、謀叛でしかない。それ故、御前は、織田殿に告げ口したのだろう。然れど、おれは、そのことで、御前を咎めてはおらぬ。御前は、己の役目を果たしただけじゃ。ならば、罪はおれが、着なければなるまいと。そう言うと、父上は、『このたわけ!!』と言い、行ってしまわれた。」

 戦国の世は、食うか食われるか、であるが、明日は我が身である。心は、日本史に詳しくはないとは言っても、織田信長が本能寺で、明智光秀に殺されるのは知っている。しかし、それを言うことはない。それは、介入になる。彼らは、あくまで、彼ら自身が時代を作って行く。

「今ので分かりました。父上様は、お優しいお方にござる。」

「ほう。父上が優しいとな。」

「おう。父上様は、三郎様に死んでは、欲しくないのでしょう。それ故、自ら死を覚悟した三郎様を、怒って行ってしまわれた。」

「某も、そう思いますぞ。」

 半蔵が言った。

「かつて、大井川原で、武田と戦に及びましたとき、若殿は、自ら殿しんがりを買って出られました。」

「そのようなこともあったな。」

「あのとき、大殿は、皆の前では、若殿のことを天晴れ、大儀であると申されながら、密かに、某を呼び、仰られたのでござる。『もし、三郎に何かあったら、半蔵よ。まことにすまぬが、おぬしが代わりを果たしてくれ。』と。『おぬしが討ち死にし、三郎が命を繋げば、わしは、お前に、足を向けて眠ることは、終生ないだろう。』と。」

「父上が、かようなことを申されたのか。」

「まこと。」

 家康はこのとき、自分の息子の命と徳川家を天秤に掛けていたのだろう。信康を取れば、徳川家は傾き、徳川家を取れば、信康の命はない。本当は、その両者を取りたいはずである。

「半蔵。偽りを申すな。」

 いつの間にか、一堂の後ろに人物が立っていた。信康の小姓は、平服していた。

「大殿。」

「(徳川家康…。)」

 現代人からしたらやや小柄のその男性は、まさしく家康だった。

「主に、断りもなく、談合とは、解せぬな。左衛門。伯耆。」

「父上。彼らは、おれが呼んだのでございます。」

「おぬしは、黙っておれ。三郎。」

 家康は、心の方をちらっと見た。それは信康が、入って来たときと同じであり、彼らは親子なのだと思った。

「その方は、我が家臣ではないな?」

「心左衛門と申します。」

「どこの家中だ?」

「南蛮から参りました。」

「南蛮?」

「おう。」

「…?何者だ。左衛門。」

「半蔵の遠縁の者で、船で南蛮に渡っておった者にございます。この度は、彼の者の目通しに、一堂、集まりましてございます。」

「それは、違います。」

 酒井の弁明を心が制した。

「ここに集いし者たちは、皆、大殿様と三郎様のことを、まことに、思っておる忠義の侍にございます。」

「忠義だと?」

 この時代では、忠義という言葉は、未だ珍しいものであった。しかし、家康は、その意味を知っている。

「おう。」

 家康が笑った気がした。

「彼らは、三郎様のお命をお救いしたく集まりました。そして、大殿様のことも、お救いなさいたいと。」

「わしは、巧言の士は、信ぜぬ。」

「こうげん…?」

「忠義は知り、巧言は知らぬか。まことの智者か愚者のどちらであろうかの。」

 家康は、静かに腰を降ろした。


瀬名

「一廉の士であるならば、その方の策を申してみるがよい。」

 いつから家康がこの場にいたのかは分からない。しかし、彼は、全てお見通しであるかのようだった。

「大殿様は、どうされたいのでございますか?」

「ふっ。まず、わしに尋ねるか…。わしの望むは、安寧よ。天下の、家の、家臣の、民の。それで良いか?南蛮人よ。」

「それは三郎様の安寧もでございますか?」

「無論。」

「然れば…。」

「然れば、三郎の命を助けよか。それは無論だ。然れど、織田殿はどうする?姫は?瀬名は?」

「瀬名とは?」

「おれの母上のことだ。」

 信康が言った。家康の正室で、信康の母である瀬名姫こと築山殿も、また、徳姫から、武田内通の容疑で弾劾を受けていた。

「わしが納得しても、彼らが納得せぬ。特に織田殿はな。うやむやにしたところで、後に、火の粉を被るのは、目に見えておる。」

「大殿様は、それに納得をしているのでございますか?」

「納得は、しておらぬのだろうな。しておれば、かような難題にはならぬ。」

「ならば、そのことを織田殿に話すのでございます。」

「…。」

 一堂は沈黙した。

「織田殿を裏切れと申すのか?」

「裏切れとは言っていません。真実。まことのことを、正直に話すのです。」

「…。」

「父上。」

 信康が言葉を発した。

「おれを織田殿の所に行かせてはもらえませぬか?」

「愚かな。殺されに行くようなものだ。ならぬ。」

「然れど、いずれ、このままでは、父上は、某に切腹を言い渡す他ありますまい。」

「…。」

「父上。おれは、まだ生きたい。望みができた。心左衛門。時計を。」

 信康が差し出した手に、心は、腕時計を渡した。

「南蛮では、かような細工物ができるそうな。これは、時計ときはかり。時を刻んでおる。」

時計ときはかり?」

 信康から渡された腕時計を家康は、のぞき込んだ。

「世の中は、広い。おれは、まだ世の中を見たい。時を止めたくない。」

「…。」

 家康は爪を噛んだ。何かを考えている様子であった。

「…。瀬名は、わしがどうにかする故、姫は、おぬしがどうにか致せ。あと、主計守にも、お前から言ってやれ。さもなければ、あやつは、今にも、腹を切るであろう。」

「承知仕った。」

「追って沙汰する。」

 そう言うと、家康は、行ってしまった。


徳姫

「五徳。おれは、義父上の下へ参る。」

「左様にございますか。」

 五徳。徳姫のことである。信康の問いに徳姫は冷ややかに言った。

「其方には、悪いが、おれはまだ死ねぬ。」

「…。かようなこと。わたくしが決めることでは、ありますまい。」

「そうだな…。」

 その場の空気は重い。そして、その場には、何故か、心もいた。心は、しばらく、信康の従者ということになった。それを信康が望んだのである。

「…。」

 夫婦は、相変わらず、沈黙していた。

「すみません。」

 その場の空気を壊すように心が手を挙げた。

「五徳。彼は、南蛮渡来の御人だ。心左衛門という。」

 心は、ぺこりとお辞儀した。

「五徳様は、三郎様のことをどう思っておりますか?」

「…。」

 五徳は、信康の方を見た。それは、不可思議な問いかけをする南蛮人のことを尋ねていた。信康は、こくんと頷いた。

「どう…。とはどういうことじゃ。」

「嫌っておられますか?」

「不躾な!」

「ということは、嫌ってはいない?」

「何故、わたくしが、殿のことを嫌わなければならないのですか。」

「それでは、三郎様や義母上様をお嫌いになられて、御父上にお手紙を書かれたわけではないのでございますね。」

「おてがみ?」

「手紙…。ふみ。」

「あれは…。わたくしは、三郎様方を貶めるために書いたのではありませぬ。わたくしは、父上に何とかして欲しかっただけなのに…。こんなことになってしまって。」

「どういうことだ、五徳?」

「本当ならば、わたくしは、三郎様に本心を明かすべきだったのかも知れませぬ。それよりも、夫よりも父を頼ってしまいました。わたくしは、幼子にございます。大事な者を失ってしまうのが怖いのです…。」

「五徳…。」

 徳姫は、信康と同じ歳である。彼女は、9歳のときに、信康と結婚し、岡崎へ来た。信康との間は、疎遠というわけではなく、子もいる。しかし、信康は、どちらかというと、己の身を案じない武辺者である。義母の築山殿は、元は、今川義元の娘であった。そのような中である故に、家中では、なかなか、心根を打ち明けることもなく、気丈に振る舞っていたのかも知れない。

「そうか。五徳。すまなかった。おれがもっと、おぬしのことを考えておれば、かような目にも会わなかったのだろう。これは、おれ、自らが蒔いた種だ。其方は、悪くない。」

「三郎様…。申し訳ありませぬ。」

「謝るな。やはり、おれは、生きねばなるまい。このままでは、死ねぬ。おぬしの言葉を聞いて、そう思った。」

「わたくしは、父上には、何と…?」

「案ずるな。母上のことは、父上がどうにかしてくれる。織田殿も、義父上のことも、おれに任せよ。」


岐阜

「某も、お伴、致しまする。」

 信康が傅役の平岩主計守親吉に、安土の信長のもとへ行くことを話したとき、平岩も、同行を願い出た。

「いや。主計。おぬしは、五徳のことを見ていてくれ。これは主命じゃ。おれが戻って来るまで、五徳に、もしものことがないようにせよ。」

 それは、平岩の身を案じてのことであった。信康は、伴を十数人連れて、安土へ向かった。その中には、半蔵と心もいた。

「(静かだな…。)」

 現代と比べて、戦国の空は青かった。辺り一面、山野であり、あるのは、ただ、田園風景だけだった。

「南蛮の地と比べてどうだ?」

 風景を眺めている心に、半蔵が言った。

「きれいですね。」

「そうか。」

 半蔵はどこか満足げだった。1日目の旅が終わったとき、心の足はパンパンだった。一行は、夜明け前から、夕方まで、歩く。だいたい、30~40kmは歩いた。

「南蛮人は船に乗っているから、歩むのは、苦手か。」

「すみません。」

 名主の宿で逗留中、信康が心に声を掛けた。次の日から、心は馬に乗せられた。最初は、慣れなかったが、半日もすると、だいぶ慣れた。馬は、半蔵がどこかの農夫に譲ってもらったらしい。

「着いたぞ。」

 始めに着いたのは、岐阜だった。

「これは、珍しい。」

「久しぶりでこざるな。城介殿。」

 心は、それが誰か分からなかったが、信長でないことは分かった。

「城介殿は、安土殿の嫡子だ。」

 彼は信長の息子の信忠である。信康にとっては、義兄にあたる。

「徳が、余計なことをしたのではないか?」

 その日の夕方は、信忠の屋敷で、もてなしを受けた。

「おれは、織田家の家督は継いだが、父上のやることに口は出せぬ。然れど、何かのときは、頼ると良い。」

「有難く存ずる。然れど、これは、五徳のためでもあるのでござる。」

「徳のためか。」

「どうやら、おれは、今まで、五徳に不憫な思いをさせていたようだ。それを心左衛門が、気づかせてくれた。」

「ほう。どういう謂れか気になるな。」

「彼は、南蛮渡来の者でな。家中の仲立ちをしてくれているのだ。」

「南蛮渡来?には、見えぬがな。」

「もとは武蔵江戸生まれらしい。」

「道理で、本邦の顔立ちであるわ。」

 その夜は、信忠の屋敷に泊まった。


信長

「ではな。帰りも寄ると良い。」

「ああ。では。」

 信忠は、自分の家老を一人、伴に付けてくれた。そうすれば、信康は、信忠の客分として、信長に伺候することになるので、信長も滅多なことはできないと思った。

 岐阜から安土へは、一日で到着した。

「面を上げよ。」

「(あれが織田信長か…。)」

 安土城の間で、一行は、信長と対面した。

「(まるで、テーマパークだな…。)」

 外から安土城を目にしたとき、心は、そう思ったが、それは、内部に入ってからもそうだった。

「此度は、何用だ。三河守からの遣いであるか?」

 信長も当然、徳川家の事態のことは把握しているだろう。

「恐れながら、我が室の五徳からの消息の事に御座る。」

「左様か。申せ。」

「五徳の消息に書かれていたこと。それは、紛れもないまことのことに御座る。」

「…続けよ。」

 信長は一瞬、立ち止まったが、すぐに言葉を継いだ。かくいう、信康の器量のことは、信長も承知の上である。ただ、愚かに物を申している訳ではないことは分かった。

「あれは、五徳の心の叫びにございました。」

「心の叫びとは何事か?申せ。」

「某は、今まで、五徳の思いに気が付くことができず、寂しい思いにさせていたようにございます。夫として、まことに恥じる思いにございます。」

「左様か。姫のことは良い。それは、うぬらで如何様にもせい。して、武田とのことは、どうなのだ?あれも、まことか。仔細を申せ。」

「武田とのことは、全くの偽りにございます。」

「ふむ。では、うぬは、姫が嘘を申しておると言うのか。」

「先も申したように、五徳も偽りは申しておりませぬ。」

「然らば、あの文は何だ?ああ、左様か。あれは、五徳の心の叫びとかであったな。」

「まことに。して、上様は、南蛮の国をこの目で見たことはありまするか?」

「南蛮?」

「は。」

「あるわけなかろう。」

「某もありませぬ。故に、いつかは、この目で南蛮の国を、世界を見てみたく存じまする。」

「殊勝であるな。」

「某の理想は、徳川家が天下に号令を掛けることにございまする。その傍らには、某だけでなく、三河守様も、五徳も、我が家臣らも、皆、おりまする。」

 信長は理想という言葉の意味を知っていたのだろうか。もし、知らずとも、彼は、信康の言わんとしていた言葉の意味は、読み取れた。

「もう良い。うぬの言いたいことは分かった。」

 信長は立ち上がった。

「乱。刀を寄こせ。」

 傍らにいた小姓から、信長は太刀の中身だけを受け取った。もちろん、それは真剣であった。そして、そのまま、信康の方へと、近づいて言った。

「…!?」

 思わず声を掛けようとした心を、半蔵が制した。

「信じよ…。」

 半蔵は、小さく一言だけ言った。それとほぼ、同時に、信長が刀を振った。それは、信康の肩筋の皮を衣類ごと一枚断ち切ると、つうっと、信康の赤い血が滲んだ。

「これにて、うぬらと、武田との縁は断った。」

 そう言って、信長は、刀を畳に突き刺した。

「三河守に伝えよ。そちは、よい息子を持ったとな。」

「は。」

「その刀は、くれてやる。大事にせい。三河守に過ぎたる物は、三つあり。唐の頭、本多平八。岡崎三郎。帰りに、わしの愚息に垢でも、飲ませてやれい。」

「恐れながら、義兄上も、上様には、過ぎたる物と存じまする。」

「ふっ。ほざけ。若党共が。」

 信長は去って行った。小姓が畳に突き刺さったままの刀を、鞘に納めて、差し出すと、信康は、それを丁重に受け取った。

「三河守こそ、わしには過ぎたる者ぞ。よくよく申しておけ。」

 信長は、最後にそう言って行った。


光秀

「明智日向守にござる。」

 その日、信康たちは、安土に宿泊することになり、夕のもてなしを明智日向守光秀の屋敷で受けることとなった。

「(明智って、明智光秀だよな…。)」

 夕餉の席にて、心は、戦国時代の一大事件の関係者に、一日の内で会ってしまったことを、改めて驚いた。

「もとより、上様は、岡崎殿を咎めることは思っておりませなんだ。」

 書状にも、真相の究明は、家康に任されていた。心は知らなかったが、本来、岡崎三郎信康は、天正7年に、切腹して亡くなる。信康事件の真相は、戦国の世にはびこる疑心と恐怖を、後に天下を治める家康が、一人で飲み込もうとして、起こしたことなのかも知れない。

「(余り、歴史に干渉しない方がいいかな…。)」

 もてなしの席で、そう思っていた心であるが、もはや、彼は、歴史を大きく動かしていたことは知るよしもない。

「実のところ、三河守様よりの書状が届いていたようにござる。」

「父上からにござるか?」

 光秀は、信康と話している。

「左様。それには、徳姫様よりの書状もおありだったそうでござる。」

「左様にございまするか。」

 その話を聞いたとき、信康は、胸の辺りに熱い感情が湧き上がるのを感じた。

「来年には、上様は、信濃へ御出馬なされるかと存ずる。」

「左様にこざるか。」

 その後、光秀は、昨今、終えた丹波平定の話などをしていた。

「(眠いな…。)」

 いつの間にか、心は、睡眠導入剤を飲まなくても眠れるようになっていた。その日は、一堂、光秀の屋敷に逗留した。

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