story6.覚悟
story6.覚悟
:登場人物:
・早乙女 ありす
・カイリ
恋心を確信しひとつの想いが浮き上がって来る
(結婚……結婚したい…幸せな家庭を築きたい…って…何考えているんでしょう私は…!カイリさんはアイドルの方ですし、カイリさんと結婚したいとか思ってる人は多いはずです…!それに私達はまだお付き合いもしていないのですから…!)
結局自分の気持ちを誤魔化す様に想いをなかった事にしてしまう
そして女性が居なくなってからカイリに近付きいつも通りの挨拶をする
「おはようございます。」
「ありすさんおはようございます。」
「先程の女性は?」
「あの方ですか?道を教えていたんですよ。そしたら世間話で盛り上がってしまったって感じです。」
「…そうなんですね。とてもお綺麗な方でしたね。」
「そうですか?俺的にはありすさんの方が綺麗な女性に見えますが」
「え?あ…ありがとうございます…」
予想外の返答に顔が赤くなってしまいバレないように顔を隠す。
そんなありすの顔をカイリは覗いてくる
「風邪ですか?風邪でしたら無理に連れ出して申し訳なかったですよね。ご帰宅なされます?」
「ふぇっ!?ぁ…だ、大丈夫です!」
「そうですか?もし体調が優れない場合はすぐに言ってくださいね。」
「はい…分かりました。」
「それではお話してたお店に行きましょうか」
そう言ってニコッと微笑みありすに手を差し出す
「!……はい…」
「今日は人が多いので手を離さないようお気をつけくださいね。」
「分かりました」
「2度目でしつこいと思いますが…体調が優れない場合は言ってくださいね。」
「はい、お気遣い頂きありがとうございます」
そう答え笑むが心の中では色々な思いが飛び交い、自分の体調がどうとかどころではない。
先程の綺麗な女性と話している所を見たからが原因なのか…自分がカイリへと向けている感情に気付いたからなのか…それも分からずただ同じ想いを考え巡らせているだけ
(こんなに…会っちゃって良いの?私と隣に歩いていて良いの?…私と居てカイリさんは楽しいの?…もし…もし…カイリさんが一般の人と密かに会ってるとか手繋いでる…とかなったら…真っ先に世に流れる情報は…密会…もしくは熱愛……つまりスキャンダル、仕事に影響出るのは見えてる。それにサングラスだけじゃすぐバレるに決まってる…私と会ってたら仕事クビになっちゃうかも……きっと引退ってなったら…カイリさんのファンの方々は…)「あの…」
「はい、なんでしょうか?」
「…っ……今日以降は…私達会わない事にしませんか…?」
ぎこちない作りに見えてもおかしくない苦笑い、明らかにバレそうな突然の発言、分かってはいた事でずっと心の隅で抱えていた問題いざ発言し終わったら顔を見るのが少し怖く俯いてしまう。
心の中では密かにカイリと会ってると知られたりして琳寧に嫌われるのが怖いのもあるが…一番の問題はスキャンダル。
知り合いなら1発で誰か分かる綺麗で艶のある美しい金髪ロング、可愛いフリフリの服…スキャンダルのスケールが大きくなる可能性が高い
「……」
(顔…見るのが怖い……なんで…なんで黙っているんですか……返事を早くください……私達はこれ以上会っては…ダメに決まってる……こんな普通の私と人気アイドルグループのメンバーとじゃ……)
「ここではダメなので一旦…2人っきりになれるお店か場所に行きましょうか。」
「は、はい……」(声が…声がいつもと違う…軽く冷たく……軽く怒ってる…そんな感じの声…カイリさんの…こんな声…聞いた事ない……)
そしてカイリの言った通り2人っきりになれる店へと移動。
座ってしばらくは沈黙の時間だったが10分程経ってカイリが話しかけて来た
「もう会わない事にしませんかって言う発言の理由は…スキャンダル……ですか?」
「……はい…」(バレてたんだ…それだけ顔に出てたんだ)
「私はスキャンダルをされ例え今の仕事…ヴィネルイのカイリを辞める事になっても、それはそれで良いです。確かにスキャンダルをしてしまうと当分の間、私はステージに立ってもいくらファンサしても……流れた情報は消えませんので信頼か好意…それと一緒にファンを取り戻すのは難しいでしょう。もしかしたら一生戻らないのかもしれない。応援してくれるファンは居なくなるかもしれない…だけど、あの時貴女を見て一目惚れをした時色々考えました。スキャンダルの件もそうです。」
「!…」(最初から覚悟の上の誘いだったって事…?)
「覚悟を決めて、メールアドレスと電話番号を紙に書いてスタッフに頼み渡してもらった…ちゃんといつどうなっても良い様に覚悟の上で今もこうやって一緒に居るんです。ですが貴女が好きな人それか彼氏が居てもう二度と私と会えないようでしたら、受け入れましょう。私が連れ出して居るんですからね。」
「好きな人も彼氏もいません……私は…覚悟なんて出来てないんです…覚悟なんて……決めずここに居るんです…」
次回につづく・・・