story2.出会いは新しい会社
story2.出会いは新しい会社
:登場人物:
・鈴原 琳寧 [主人公]
・カイリ [アイドル]
・早乙女 ありす[同僚]
・ユキト [アイドル]
・面接官
・上司
ーーー列に並んで時間が経った
列には並び始めた時よりももっと人が並び最終列が分からないぐらい迄となり会場に全員入るのか…そんな思いが出て来た。
「それでは開館します。押さず走らず他の方のご迷惑にならぬ様お気をつけください。急がなくても席は逃げません。押さず走らず他の方のご迷惑にならぬ様お気をつけください。急がなくても席は逃げません。」
(大変だろうなぁ……メガホンで喋ってても聞こえてない可能性あるから何回も言うのかな…都会でのライブって何気に初めて来たし緊張変にしちゃうな)
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(人いっぱい…凄いなぁあの時の小さいライブハウスでの観客3人と大違い。)
ヴィネルイとの出会った時は多分デビューしたての卵みたいな存在だったグループ。
試しに初ライブ的な感じだろう…その日からちょこちょこと小さい場所で活動してた6人、あの時は欠かさず全部見に行っていた。
そしてある日波に乗ったと言わんばかりに急激に売れ出した、ファンも増え月日が経つに連れて大きなライブステージに立って行く。
人気沸騰となってからライブ会場は当然の如く今までと違って無料で入れなくなりライブチケット形式で当選型だったり指定人数の数だけでの予約制だったり行きたくても行けず惜しむ日々が多々出て来た。
だけど今日はどうしてもこのライブだけは行きたかった来たかった。当選型だった為神に祈り応募したが見事当選。
無事何事もなく来れた、そして今日のライブは何なのかと言うと
(ヴィネルイの2周年記念ライブ!1周年記念ライブも当選して何とか見に行けたから2周年記念も見に来たかった……見に来れて本当にラッキー!何周年記念のライブだけは何としても今後も来たいなぁ)
「…あ、あ、みんな聞こえてるかな?」
「「聞こえてる〜!」」
「ヴィネルイリーダー。ユキトだよ今日はみんなヴィネルイ2周年記念ライブ来てくれてありがとう!お陰様で2周年記念を迎えて今日この日をメンバー…そしてみんなと迎えれて凄く嬉しいよ。僕達がこうしてこのステージに立ててるのも2周年迎えられたのも応援してくれてるみんなが居てくれたからだよ。本当にありがとうございます。これからも応援してくれると僕達の活力に繋がります。」
「「応援する〜っ!!!」」
(ああ〜……本当に私…2周年記念ライブ来れたんだ……嬉し過ぎる…)
「それじゃぁ次はサブリーダーのカイリから一言でももらおうか」
「……ええ…変わりました。サブリーダーカイリです。この度はお陰様でヴィネルイ2周年記念ライブが決定し今現在開始して、あっという間に1周年…2周年…早いものだなぁとしみじみ感じます。これからは3周年4周年…このグループが無くならない限り続く俺達の活動を皆様に見守って頂き応援して頂きたいです。実を言うとこのグループは半月で終わるかもなんて考えていたのですが、2年も続くとは思ってませんでした。応援してくださってるファンの皆様スタッフの皆様のお陰だなと…本当にありがとうございます。これからもヴィネルイをどうか宜しくお願い致します。以上です。」
(推しが今日もかっこいい…!)
「カイリありがとう。次はメンバーみんなに一言聞いていこうか。まずは…」
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「最高…最高だった……あぁ〜っ…一緒に語れる友達欲しいなぁ…だけど私友達って言う友達が居ないし…一緒にライブ行って、一緒にライブ終わりにカフェとか行って今日の感想を語り合って、美味しいスイーツ食べたりショッピングしたりして、疲れて家に帰ってみたい。陰キャ社畜は辛いよ…しくしく…」
切実な想いをぶつぶつ呟きながら街の探索中、ある物件に目が止まってしまう
「わ!なにこれ!すっごい綺麗な家!それに一軒家でおっきい!えっと駅があっちでライブ会場はあっち…距離的にこの家からライブ会場となると徒歩…15分か20分…私の急ぎ足で良いとこ10分ぐらい……駅からだと25分ぐらい…なにこれ〜っ!優良物件!?でもお値段は大事!不動産屋行ってみなきゃ。」
看板にある不動産屋の場所を把握して目的地に向かって行く、しかし急に頭によぎるのが家のある場所からここに来ると言う事は会社は退職してこの街で新しく見つける必要がある。
ライブ会場はともかく駅近は求めて問題はないが1番今考えなくては行けないのは仕事場、そして家と仕事場の距離的問題である。
「どうしよう……私今入ってる会社辞めた時にまた新しい会社決めて面接しに行ったりしなきゃいけないんだ……コミュ障と言うか人前で喋るの苦手過ぎて今の会社は面接に居てくれた方の1人が良い人で無事入社出来たけど都会となると面接官の目とか圧攻めとか痛いよね…ああ〜っ…私は…一体どうすれば良いの…神様…」
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そして覚悟を決めて家を確保し、引越しも完了した後日働きがいのありそうな自分好みの会社に入社希望を出し面接となった。
「ドキドキする……ちゃんと喋れるかな…噛んじゃったらどうしよう…」
静かさが逆に緊張を誘うこの空間はいつ来ても落ち着かない。不安で昨日はなかなか寝れなかった程だ、もう少しで自分の番そう考えてしまい余計に緊張する。
「次の方お入りください。」
(やばい……後隣にいる2人の男性が終わったら私の番…緊張する…緊張する……上手く喋れますように…!)
同じ様な事を考えていたら自分の番が来た部屋に呼ばれる。
「次の方お入りください。」
「!…は、はい!」
心地のないカタカタした動きで扉の前まで行く手をドアノブに伸ばし深呼吸をする。
「失礼します。」
少し勢いのある早さで扉を開ける。5人の男の人が各自少し怖い顔をしてこちらを見る。面接の審査はとても厳しいものであるのが一瞬にして分かった、きっと自分は受からないだろう。そう考えた瞬間何故か心が軽くなった感じがし緊張も消えた、席に着き名前と入社したい理由…聞かれた事を今までよりスラスラハキハキ言え自分でも驚いている。だが受からないだろう。そんな思いでずっと居た
そして不思議…いや奇跡的に1発で合格発表が届いた。正直夢見てるんだと思い頬つねって見ても痛い。
「嘘…本当に受かったの!?確かに今までよりスラスラハキハキと質問に答えれたからそこは自分でも自画自賛しちゃう程だけど…その聞かれた内容の答え内容が悪いとかそう言うのって無いの?あるよね?1発で合格とか初めて!早速明日から仕事だぁ〜っ!!頑張らなきゃ!おーっ!」
初出社日。
「新しくここで働く事になった鈴原琳寧さんだ。」
「す…鈴原琳寧です!宜しくお願いします!」
「教育担当はそうだな…早乙女が教育担当として今日から鈴原さんが仕事を覚えれる迄傍に居てやってくれ」
「はい、承知しました。」
紹介も終わり仕事開始となった。私はその前に教育担当をしてくれる早乙女さんに挨拶そして会社の会議室等と部屋の場所を教えてもらうのが先らしい。
「こ、これからも宜しくお願いします!」
「鈴原琳寧さん。宜しくお願いします。私早乙女ありすと言います。今日から鈴原さんの教育担当をさせて頂きますね。」
(綺麗な人……笑顔が凄く素敵…女の私でも惚れそう)
早乙女さんはとても綺麗な金髪ロングでハーフアップの三つ編みの編み込み…そして1箇所に青のメッシュがある。ハート型のあほ毛がすごく可愛い。瞳は両方とも緑とピンクが入ってて可愛い綺麗以外の言葉が出て来ない。スタイルもすごく良くて誰もが羨ましいと思うだろう…それに比べて私は今はコンタクトだが日常は眼鏡にラフな格好でアレンジなども何も無いただ解いただけの髪…女子力の差が出ている気がする
「早乙女さん…綺麗ですね。あの初対面でいきなり失礼な質問なんですが…彼氏さんとか居るんですか?」
「居ませんよ。好きな人もまだ居ないんです。初恋もまだで…笑っちゃいますよね。両親に孫はまだかーってよく言われちゃうんです」
そう言ってクスッと笑う姿も仕草も凄く可愛い…こんなに良い女性に目がいかない男性がいる訳ない。きっと運命の人が見つからなくて今に至るのだろう
「早乙女さん綺麗ですし彼氏さんが居られないのが信じられないです。」
「そうですか?褒めて頂けるのはとても嬉しいです。ありがとうございます」
「それともう1つ…その青のメッシュは推しの髪色〜とかだったりしますか?」
「あ、これですか?違いますよ。ただ青が好きなので…この金髪と青って合うのでメッシュ入れてるんです。エクステですけどね、最近はよくヴィネルイ?って言うアイドルグループのカイリ推しなの?って聞かれる事が多いんですが…まずそのヴィネルイ?を知らないんですよ。鈴原さん御存知ですか?」
「え、あ、はい。」
「本当ですか!?あの是非とも教えて頂きたいです!私ずっとモヤモヤしてて」
「分かりました。私で良ければ教えさせて頂きます!」
そんなこんな会話しながら社内の案内を早乙女さんにしてもらっている内に早乙女さんは超がつくほどおっちょこちょいな方なのが分かった。何も無い所で転ぶ事もありガチのドジっ子だと言うのも判明した。今度から転びそうになったら支えて助けてあげようと心の底から思った日だった。
次回につづく・・・