保健室
どうやら俺は1時間ほど寝ていたらしい。しかし、あの人影は誰だったのだろう。凄く気になる。ぼんやりとしか見えなかったから。くそっ。
「あら、起きたのね」
「はい。今起きました。」
保健室の先生。だいたい二十代前半。綺麗な人だが未だに独身。
「もう大丈夫??」
「はい、大丈夫です!ありがとうございます。」
「御礼しなくてもいいのよ。貴方の看病手伝ってくれた人に言いなさい。」
やはり。見間違えではなかったみたいだ。記憶も曖昧だったので夢かと思っていた。
「誰だったんですか?俺全然覚えてなくて……」
「えーっと、確か霧……崎……さんって言う人だったわね。」
「本当ですか!」
正直ビックリしている。なぜ俺の看病をしてくれたのか……。
ガラガラガラ
ドアが開く音がした。
「大翔、大丈夫かー」
この声は……麻美だな。
「大丈夫だ…」
「治ったんだったら一緒に帰ろー!」
「もう学校終わってたんだ…」
まぁここの学校は六時間までで、体育は5時間目。1時間近く寝ていたから流石に終わっているだろう。
「帰ろうか」
――――
帰り道。
麻美と一緒に帰ることになった。色んな事がありもうクタクタ……まじで疲れたよ…。自転車だけど押しながら帰ってる。
「ねぇ大翔ー、ほんとに大丈夫??」
「大丈夫大丈夫、心配ナッシング」
「うわぁ。」
「うわぁ言うな。それでさー、なんか霧崎先輩が看病してくれたらしいんだよね」
ピクっ。
ん?今ピクっってしたか、気のせいか。
「へ、へーそーなんだー。」
「そうそう、目がぼやけてて分からなかったんだけど、あの人影は霧崎先輩だったのかなー」
「それはーよかったねーーー。」
あれ?こいつちょっと怒ってね。段々と顔が怖くなってきているのだが。これ以上話すのは危険か……。まぁ大丈夫だろう。
「やっぱ綺麗だよなー、霧崎先輩は。」
「そうかなー、ただのメス豚にしか見えないかもー私的に」
メス豚とか言いだしたよ。こぇーよ……。よし辞めよう。うん。今後控えよう麻美の前での霧崎先輩の話は。でもなんでこんなに麻美は霧崎先輩のことを嫌うのだろう…。聞いてみようかな。
「麻美って霧崎先輩の事嫌いなのか??」
「嫌いって言うか……知らない!!」
麻美は自転車に乗って凄いスピードで帰っていった。怒らせてしまったのかな……。怒らせたら怖いしなぁ。明日謝ろう。
霧崎先輩には明日御礼しに行こう。よし。
―それから何事もなく、大翔は家に帰った。