シリアルキラーの誕生06
どれくらいって、もう半年かそれ以上経ってしまったわね、
作者のスピードは亀にも負ける程だけど、それでも読んでくれているのならそれは物好きね、とだけ。
……正直前書きって、前回の続きをあらすじで書いた方がいいのか、何なのか。分からないわね。
さて、お待ちかねの続きよ、
いきなりその場所に着くと、牢屋に放り込まれた。
しばらく私は死んだように宙を見て倒れ込んだ。
兄に会うまでのあの部屋はすべて夢で、あの時薬を盛られてから場所を移され、今現在この牢屋に居るのだと考える方が最善だった。
男と同じ格好をした奴らは何やら話し合っている。私に時々目線を向け何を企んでいるのだろうか……いや、もうどうでもいい、消えてしまいたい。
「立て、、」
そう言われ強引に腕を捕まれ立たされた、、何が始まるのだろう、もう恐怖を感じることなんて無くなった、無感情と言えるものに陥っているかもしれない。
「君は素晴らしい適合者だっ、成功予測によるときっと物凄い動体視力や身体能力を得ているはず、、あぁ楽しみだっ。」
楽しげに話すソレの後ろ姿に連れられ、前に進むと硬く冷たい床が凹凸の多い固く黒い地面に変わるのを素足から感じる。
目だけを前に向けると大きな洞穴の中のような、ドーム状の空間が広がっていた。
さぁさぁと背中を押され私だけが前に出る。その拍子に鈍い金属音が金切り声をあげ下へ下がる。
振り返ると、鉄柵がありその向こう側に白い服装の男、この広い空間に私が取り残され た。
広い空間の暗闇には何者かも知れぬ恐怖が漂っているようで、私は本能的に身構え辺りを見渡す。
Boo〜!!Boo〜!!
突然響いたサイレンとともに何処からから錆び付いた鉄格子が開く音がした。
さっき私から恐怖心が無くなったと言ったけど、あれは嘘だったわ、とても恐ろしくて震えが止まらなかったわ。
生き物だろうか?荒い息付きと前に進ごとに地面に爪が当っているかのような音、それはゆっくりと着実に迫って来くる、
Grrrrr!!
喉を鳴らし暗闇から顔を出したのは私より数段大きくて、4本足の頭の大きな獣……。涎を垂らしながら私を見て喉を鳴らし唸り続ける。
何度とも歯ぎしりをして今にも襲いかかってきそうで、私は姿を見た時からとうとう恐怖で膝が崩れ座り込んでしまい、もう身体中の筋力が失われたかのように動く事ができなかった。
不思議よね、目の前に迫る恐怖はこうした形で具現化されると返って目が離せない そしてそれはとても遅くゆっくりと見える。
瞬きをすれば殺される……。
ゆっくりと向かってくる獣は私目掛けて、辺り一帯を飲み込むかのような口を開き、ゆっくりと、ゆっくりと、、飛びかかってくる……。
でもさすがにスローペースすぎる事に疑問を持った。飛びかかる獣の毛並み一本一本が泳いでいるのだって確認できる。
意を決して横にずれて見れば何か変わるかもしれない……。だから震えて木のように根を生やした脚を叩き何とか動かし獣が迫ってくる目の前で横にずれると、緊張状態だった体から一気に力が抜けた感覚と共に獣は大きな音をたて私の真横に飛びついていた。
ここで私は理解した、確かに時は止まっていたんだと、そしてその空間に私は何の作用もなく入り込めた。
GRrrrr!!!
そんな事を考えている間もなく、獣は私を睨み牙を剥く、だから、もう一度集中して観察するように獣を見つめる。
GOWW!!!!
獣が高く腕を上げ爪をむき出しにした時、再び時は減速して、その隙に逃げ回れば良いと駆け出し獣の真後ろへと進むも、その瞬間に獣が振り向いてきた、
私は突然正常に動き出した獣に恐怖し必死に逃げた。
とにかく何処か隠れられる場所がないかと真っ黒な洞窟をひたすらに駆け回った。
どうやらあいつ(獣)を凝視して居ないとあの瞬間は訪れないらしい。避ける時にしか使えないんじゃ逃げられそうにないじゃないって、笑い捨てる事も出来ず獣の足音が近づく度に私は振り返り、速度が下がった時に私は真後ろへ移動する。
でもそんなことは長くは続かず、3度目には息が上がり、洞窟の端の壁に背をつき倒れそうな身体を必死に抑えてた。ほんと貧弱な体よね、獣は牙を剥き出しにし、荒い鼻息に喉を鳴らし、、再び突進してきそうな勢いで居るし……。
Grrrrr……
……何とか逃れられないものか、使えそうなもの、何か、なにか、、ただただ必死に当たりを見渡した。
この頃を振り返ると、結局私は弱いんだと実感した。わかる?この様、あれほど絶望を感じていたのに、今では必死に生き長らえようとしてる。ほんと笑える……。
……死にたがりこそ生きたがりなのね。
死にものぐるいで当たりを見渡すと、3メートルか4メートル先に、小さな穴が、それも自分なら通り抜けられそうなくらいの小さな穴だっ、迷っている暇などない、私は飢えて食べ物に喰らいつくまさにそれこそ獣のように走った。
結果何とかその穴に潜り、狭くも私の体なら座ることのできる余白のある所で端に背を付けるも、安堵の吐息をする余裕なんて1秒もなかった。
ガンッ!ガリッ!!
獣は前足の爪を使って穴を削り始めたのだ……ほんと、どこまで飢えてるのかしらね、
私は頭を抱え丸くなり、いくらあの力を使ったとしてももう出られない、今度こ最後だと悟った……。
岩を削る音、獣の咆哮、獣は確実に私に近づいてきているのに私は動こうとしなかった、もう結末が分かっていたから。
せっかく兄が助けにきてくれたのに、結果また捕まって、為す術もない、結局私は……。
と、俯いた目の先に、崩れる岩盤のなから、光っている、細長い何かを見つける。
こんな状況で不思議に思ったから手に取るなんて事は普通しないだろうけど、私はそれに手を伸ばした。
それが結果命綱になった訳だけれど、正直この時に死んでいれば……。
なんて思ったこともあるの……この先といま現在を思えば。
もう遅いんだけどね。
長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。
ペース良くとはよく言ったもです。口だけした。
ですが、決して途中で終わるなんて事は絶対ございませんので、それだけは安心してください。
約束します。