殺人鬼と暗殺者02
蛇口を青色の枠に捻り、冷水を浴びる。
私はいつも冷水で身体を流す。殺したい衝動を抑えるのに丁度いいからだ。
実際、食欲と同じくらいの感覚で殺人欲求が溜まる。
放っておくとどんどん体が熱くなっていく、それこそ脳天から湯気が出て終いには溶けて行きそうなくらいに、、だからそうなる前に冷水を浴び、浴槽に水を溜めて浸かる。
そうしてやっと芯から冷えていく……。
こんなので収まるのだからまだ私は他の殺人鬼と違うんだって…思ってしまうのと同時に、誰かを殺したってことに罪悪感を覚える。
でも私は臆病だから、自分を殺せない…。
今更戻れないことも理解しているのに、いっそ魔獣に噛み殺されていれば良かったと、、ほんと今更過ぎるわね……。
そうそう、虫がいいにも程があるって言うわよね。
「はぁ、、」
「(何を淡々と苦労話をしているんだろう……いや、気味が悪い話かな、それとも癪に障る話かしら)」
なんて思いながら項垂れ、頭から真下へ髪を伝って流れていく水を横目に惚けたように斜め上に目を向ける。
このまま自分の生涯を懺悔して、語りきった後にはどうなるのだろうか。
私は私が理解している以上に救いようのない死に損ないだ。
自分で死ぬ事すら出来ないんだから。
だから、自分の強さに酔って、自分より強いやつに殺される事を願い、そしてこの世界に居ないことに気づいた。。でも実際、歯が立たなかった相手も居たけどね。
それでもこうして生き延びて、また死ねなかったと後悔する。理解しようのないろくでなし。
(ふふっ、何を思い詰めて居るの?また始めればいいのよ、今近くに居るその男も斬り殺して、たくさん殺すの、また殺したくって仕方ないんでしょう?ほら殺しなよ?楽になれるからさ、ほらはやくっ)
鏡に映る私が独りでに、私に向けて皮肉を言う。
「……黙って。」
(人助けなんてらしくない事するから病むのよ?、中途半端に命を救って、それでどう?まさかそれで許されるなんて思ってないでしょうね?)
「……うるさい。」
(贅沢ね?死を、誰かに殺されるのを待っているなんて。)
「黙れ!」
鏡に映る自分にそう叫ぶ。
瞳を通して見た鏡に映る私はとても怯えた目をしていた。
あの時、魔獣を前にした時の私と同じ、、幼い頃の私。
事実もう、何がしたいのか分からなかった……。
変われないのだ、もうあの頃から。
でもこうして怯えてしまったということは、今ある自分をただ認め、受け入れるしかないということに等しい。
「(何を受け入れるの?)」
ふっと真顔にもどり、その瞳の迷いを断ち切り、浴槽から出る
「(分かってる……わかってるから。)」
「ふぅ、、。」
家を出て、人気の無い路地を歩いていると、ふと背後に視線が走った。
「ッ…(殺気……何か、来る。)」
私はそのまま振り返り様に刀を抜き相手の切っ先に当てる、、
GAKN!!
響く金属音と反動で、少し力が入るけど、相手はピクリとも表情を動かさない。
「(同じ……刀だ。)」
風が吹かない、と言うより、聞こえない。
その無の空間を切る音を読めなければ死を覚悟しなきゃいけない……そんな気がする。
「………………。」
「ふふっ、、遊んでほしいの?」
私は気を散らすように言い放ったど、実際は自分を落ち着かせるための強がり、いや実際焦ってる。
訳が分からないのと内心動揺している私を知ってか、更に私の見えるギリギリの速度で奴は刀を振るう。
GAKKKEEE!!!!!
GAKEEN!!
刃同士がぶつかる、何度も、何度も。それも一方的に片方が対象に向かってあらゆる角度から素早い連撃を振るい続けて、もう片方がそれをギリギリの所で受け流しては防いでいる。
「……」
「(……腕が痛い、でも防がなきゃ死ぬ…ッ、まだ、死ねない…動きに、集中すればいい…それだけ、、)」
「……」
対して相手は何も言わず、ただ無言で打ち込んでくる。
もう震えては居られない、何者かを問うことも無く、否応なく斬り伏せる以外ない。
「ッ!」
次に向かって来る刃だけは、止まった。
「(今だ……ッ)」
刃の行く軌道から外れ真横にズレると、刀を振り上げ、切り込むだけ……のはずだった。
振りかざす手前で私の真正面に突き立てられたのは鞘だ。鞘の先端が私の溝落を狙う様に向けられている。
(読まれてた……この速度を?どうして?分からない……ここは人間界、私より優れている奴なんか居ないはず…なら何故、)
「うぐっ!!?」
ドンッと鈍い痛みと共に息ができなくなり、私は刀を落とし、その場に膝を着く。
「……かは、、(なぜ、、どうして、、)」
嗚咽とともに吐き出した胃液が地に落ちるのを
ただ眺め、そのまま意識が遠のいていく…。
まったく、笑えない程あっさりとやられたわ……。
これが私の初めての敗北。
※
目が覚めると、薄暗い何処かの部屋の床だった。まさか捕まるなんて思っても見なかったけど、、逆に生かしておく理由が分からない。
立ち上がろうにも立ち上がれない、どうやら四肢を縛られているみたい。
全く、こうもあっさりやられるなんて、案外世界は狭かったのかも。
などと落胆していると、後ろの引き戸が開き、光が刺し混む。咄嗟に向き直り起き上がろうとするも両手は後ろに縛られていて、やはり何をどうしても立つことができない。
「……ッ」
そこに光を一瞬遮り入ってきたのは初老の男だ。
その目は鋭い牙のように細く…鈍く光る赤い瞳。
狩れるはずの獲物をわざと観察している、、まるで殺しに飽きたような表情で私を凝視する。
「貴様は、、何様に人を殺める。」
「ふふっ……笑わせないで、あなただって殺してきたんでしょ。同類がお説教?」
「……答えよ…」
「(この話し方…地方なまりか何かなの?余計に老けて聞こえるわね、、)」
なんて、バカにしすぎても行けないか。現に捕まってる身だし…。
「……殺したいから、、他にある?」
「我にはそうは見えぬ。貴様の刀、拝借したが、なんとも恐ろしい魔物を宿して居している。どこで手に入れたかは知らんが、持っていて正気を保てておるとは、、」
これは意外、この黒豹が分かるのなんて。
持ち主にしか分からないのかと思っていた。
「…だって私、人間じゃないもの。」
男は驚きもせず、ただ目を伏せる。そしてゆっくりと歩き、私の後ろに回る。
「……ならば、我にとって好都合だな。」
Katya……
一瞬刀が音を立てたと同時に綱が切れ、拘束が解ける。
瞬時に振り返り男を睨みつけたが、次の一撃を構えるでもなく棒立ちしている。
「……。」
「(何がしたいの、こいつは。)」
すると男は無表情のまま、私の刀を目の前に放り投げる。
「貴様に、我を殺させてやろう…だが容易くこの命をくれてやる訳じゃない。貴様のその剣術で、我を斬る事ができればの話だ。」
全く、意味不明ね。
「何それ、逆を言えば、私も殺されるかもしれないじゃない。」
「その心配は要らん。我は貴様を斬らない。」
その発言にますます意味がわからなくなった。
「……どういう意味?」
「百も言わなきゃ分からぬか……立て、悪鬼よ。」
一方的に自分の要求を言うと
床を蹴り後ろへ下がり、男は間合いを取って、左腰に下げた木刀を構える。
「……はぁ、、」
なんとも癪に障る言い方と、木刀を構えているその余裕さに、当然私の怒りは沸点に達した。
だから刀を持ち、起き上がりざまに刀を抜いて、一気に駆け寄り、距離を詰める。
右斜め上から一振り、自分の速度について来れる者など誰もいない…。そう思っていたが、今目の前にいる奴は違う、何故か見破られ、私が刀を振るう範囲を難なく後ろに、横に、斜めに逸らす。
つまり、同じ速さを持っているという事になる。
「んぐっ!!」
払う事から突く事に変えても避けられるどころか、激痛が全身を襲う。思わず下を向くと右腹部に木刀が当たっている。
その威力からして、とても人間の力とは思えない力で、私の体は簡単に悲鳴を上げた。
その痛みが確かに残るまま、完全にリズムの崩れた私を容赦なく右鎖骨、右二の腕から、肘にかけて、1振りをくらって、等々刀すら持っていられなくなって床に転がした所で頭に強い衝撃を受け、私は床に突っ伏した……。
「話にもならなん……」
そう言い捨てられて、その男は木刀を収める。もう目でしか追えない、どうやら私が食らったと認識している以上にもう何回も滅多打ちにされているらしい。脳天からつま先まで、もう力が入らなかった。
ただ、だからこそ子供のように言い訳を言うとか、負け犬の遠吠えだとか、そういうのじゃなくて、不思議でならない事があった。
「なんで、、ころさ、ない…のよ、」
「……なぜ殺さない?貴様今そう申したか?」
睨みつける私を横目に、話し続ける。
「死す事で貴様の罪から逃れるなど、そんな甘い刑が通ずるとでも?」
「無論、生きて償えなどと、貴様を更生させる気は無い、ただ……」
初老の男はその次を言う直前で止め、吐息を1つして
「…我を殺さねば、ここを出られぬぞ?」
「……は?」
身体中の痛みも一瞬飛ぶ程、呆気にとられてしまった。
今まさに滅多打ちに近い程身体中を痛めつけ床にひれ伏せさせたこの状況で、私が奴を殺さなければ解放されないと……?
「……あなた、、私を痛ぶりたいだけでしょ?」
睨んだその眼は乾ききっていて何も映せない様に見える。真っ黒で輝きのない目。
「貴様の様な血に飢えた獣を痛ぶりなんの得がある?」
口を開けば私を罵倒する。
(私が何をしたというの、少なくともコイツに対しては何一つしていない。)
そしてその初老の男は縁側にでて、この広い空間の扉を閉める。続いてに施錠する音が響く……。
どうやら閉じ込められたらしい。
この冷たい板で作られている広い空間に窓はなく、閉じられて閉まってからはもう目を開けているのかも分からないくらい暗闇だった。
(私……また捕まったんだ。)
いっそ捕われるくらいなら死んでしまいたいと言うのに、そう上手くはいかないのだ、、だって結局私は私を殺せないのだから。
臆病者なのか、所詮は。
(腹ガヘッタゾ……飯ハマダカ……ッ)
「うぅっ!」
突発的に起こる頭痛で思考が遮られる。
禁断症状にも近い、斬り続けなければ、この刀の中に住む黒豹の威嚇が伝いこうして頭痛が、目眩が、激しい動悸が来る。
「ぁぁあああ!!!!」
もう叫ぶしかない。ほんと滑稽ね。
もう見ていられないでしょうから、この後ひたらすら叫び続ける私は端折らせてもらうわ。
まぁ元々事細かではないと思うけどね。
※
あれからどれくらいたっただろうか。
「はぁ、、はぁ、、」
スタ、スタ、、
暗闇の向こうから、徐々に足音が近づいてくる……。
「はぁ、、はぁ、、」
全身の汗が煮え滾っている。これ程までに斬りたい衝動の限界を超えたことは無かったから、もう頭では何も考えられない、タカが外れて居るのはもう何分も前の事。
刃を抜いて壁や床、あちこちを切り刻み、耐えに耐えた時間を、後悔させてやらければならない。それはもう、四肢を切り落とすだけじゃあ飽き足らず、内蔵をほじくり返し、小刻みに斬り裂いて、心臓を何度も突いてやらなくちゃ気が済まないだろう……済まない、いいやそれだけではまだ足らない、ついでにここを出たら後2、30人は同じ目に遭わせなければこの身体が冷えることは無い……。
なんてもう常軌を逸している……いいや、正気の沙汰ではないと言ったところね。
……初めからそうだった?
そしてついにその扉が開くと、即座に駆け込み斬り掛かる。
「ダァアァァアアアア!!!!」
GAKKKKKK!!!!
その刃はしっかりと、初老の男が握られた刀で抑えられてというか当てられ、その力の方向を左斜め下へなぎ払いそのまま向かってくる私の溝内に鞘を素早く突き立てた。
「くがぁあっ!!?」
そのまま反対側に勢いよく倒され、反動で後頭部と背中を強打し、視界は酷く歪み、呼吸が出来なくなる。
「がはっ!、、グッ、、、ぐぁあっ」
初老の男は無表情でゆっくりと私に向かって来る。
「ふん。その異形の能力があれば現世では敵無しと思っていた様だが、適わぬ者も居るということ、知ってどうだ?」
こんな屈辱は初めてだ、そして言われた事は事実。私では勝てない。怒りだけが私の思考を独占していても、身体が激痛で動いてくれない。
(動かない……動かせない、 、クソッ!!)
目眩が収まると、刀を再び持ち、杖代わりに立ち上がり、男を睨みつけた途端に、その男はその光沢のない眼を見開き、避けられない速さで私に向かってきて、刀ではなくその鞘を逆手持ちで下から上に突き上ける様に振る。
「……ッ!!?」
私の視界は急降下し男の足元を移し、横には音を立て情けなく転がる私の刀。
どういう訳か、両手足の力が一瞬にして抜け、糸の切れた操り人形の様には床にひれ伏した。
「(力が入らない……立てない、な、んで、、)」
「ふん、素人同然か…よくもまぁ扱えたものだな。いや、違うな…それは妖刀だからか、」
「(だめだ、、力が入らない……。)」
「無駄な足掻きだ、、いい加減諦めろ。」
「……はぁ、、はぁ、、やっぱり、ただ痛ぶりたい、だけじゃない、」
「……貴様と同等だと言いたいのか、、だがそれは大きな間違い。」
「じゃあ、なに?!何がっ、、したい訳?!」
「……もう良い、いいかよく聞け女よ、我もとっくに人間では無い……この現世を生き過ぎた武者だ、あるいは暗役を繰り返してきた。今で言うところの暗殺だ。だが時代は戦争を終えてから平穏になり、、この国はは武力抗争すらしなくなり、自然と我は必要なくなったのだ。」
「人並みの暮らしをしろとたらふく銭を持たされお役御免にされた先でどう生きれば良いかも分からぬ……ただ時が過ぎるのみ、人間の数十倍も長く生きる我にとってこの世はもはや生き地獄……そして、貴様の話を聞くまで何もする気が起きなかったわけだ。」
何とか呼吸が正常に戻った辺りで、こいつの長話も区切りが着いた。
「…貴方も臆病ね、、自分を殺すのが怖いんだ?」
(そろそろ……立てそう、身体の痺れが抜けてきた…。)
私はそう意気込んで手足に力を加え、ゆっくりと起き上がる。
「臆病などではないっ!自害を選ぶ程落ちぶれておらぬ故だ。」
「ふふっ!あはははっ!私と貴方、同類よ……。」
「何処がだ…?」
「分からない?きっかけや成り立ちは違くても、もう自殺するなんで事ができないくらいに、あんたと私は人を殺し過ぎたってことでしょ?そうよね、散々殺しておいて、いざ自分が嫌になった、目的が無くなったからって、自ら死のうなんてそんな無責任な事、、通用するわけないもの。あの世でどんな仕打ちをされ、殺され続けるか、、」
(私は死後の世界から来たから既に知っているけれど。一生地獄で死に等しい痛みを死ねずに受け続けると聞いたことがある。)
「今更そんな恐怖、とうに捨てた。我はただ強者と戦い死にたいというだけだ。」
「死にたいのは変わりないんだ?ふふっ、いや、殺されたい…だっけ?」
「何が悪い。お前にとっては特だろう?我から剣術を学び、より強くなれる訳だ、」
「そうね、でも結局貴方の考えに乗せられてるっていうのが気に入らないわ。」
(イマガ狙イ時ダゾ?カラダハ動クカ?)
黒豹が囁く……。
(うん、動く……大丈夫。)
そう応えて、ゆっくりと杖代わりにしていた刀の切っ先をゆっくり抜く。
「ふん、気に入らなくとも我と対等、いや互角に刀を交える様になるまでは解放しないぞ。お前は人間では無いからな?」
「そう、、勝手にすれば?お望み通り殺してやるから、、(大丈夫……今なら…。)」
そのまま目線は奴に剥けたまま、右足を引き、床を蹴り充分に間合いを取り構える。
「あぁ、その意気で頼む。」
「えぇ、、(今ッ!)」
この一瞬に賭けて右足で床を蹴り真っ直ぐに刀を男の心臓天目掛け突き刺しに行く。
だがその速度で、全力を、振り絞った。そう、、この上ないくらいの力を振り絞った筈だったのに、その切っ先は空を刺すのみで、寧ろ勢い余って体をぶつけけるも、この勢いでも男は全く動く気配がない。
足を間に掛けられ武器も持たぬ体術で、難なく私は床に叩きつけられた。
「ングっ!」
体と共に後頭部に衝撃が走り、脳が揺れ視界が砂嵐になる。
そして冷めきって渇いた様な声だけが耳を通る。
「あまいな……顔に、その動きに出すぎだ……それでは不意打ちにならん。まあ構えている時点でそのつもりでは無いのだろうが、それにしてもどういう方向で来るかまるで教えているも同然。」
徐々に視界が回復してくるも…これまで負ったダメージがもう限界を超え、立ち上がることができない、ただ月明かりに照らされたこの初老の顔と、夜空が天井から私を愚かだと、哀れんでいる……。
「(いいや、、馬鹿にしている…)」
でももう、何もできない。全身が痛む……頭からつま先まで、動かす事が出来ない程に疲弊しているし、何よりもう力が入らない。
この上なく為す術ができない程に叩きのめされて、その上とどめも刺されることも無く、生かされて。もう身体だけでなく心まで……
「なんて、、ふふふ、、そこまでじゃあないわね…。」
「……何がだ?」
目を細め理解できない様な表情を浮かべる男に私は指1本動かす事もできないのに、私は挑発をやめない。
「だから……大したこと…ないなって…言っているのよ…。」
「ふん、見るに堪えぬ……だが、こうまでされまだ憎まれ口を叩けるとは…何かまだ手は残っているのか?」
「……なんだと思う?」
「理解出来ぬから聞いている……何か他に、妖術でも繰り出せるというのか?」
「……ふふっ、、そんなの使えてたらとっくにやってるわよ…。」
またしても話を濁すように煽る私に、初老の男もまた少し虫の居所が悪い様子で迫る。
「貴様も、さては死にたいのか?我を苛立たせて置いて斬り伏せさせると…だが先にも言ったように、貴様は殺さぬ。」
個々でもう一つ。身体の限界に加えて、私の刀の中の黒豹も限界を迎えていた。その合図で、私の身体は熱くて、熱くて、もう炎にあぶられているかのようで、鼓動が激しくなる、それに気づくといきなり着火した様な気がして、途端に息が切れる。
「はぁ、、はぁ、、はぁ、じゃあ……もう私…貴方のものじゃない…、、(熱い…熱い…あぁ……あついあついあつい!)」
「……。」
私は何を思ったのか、思考が裂かれたその状態で、本能的なのか何なのか…自分で行動に出ておいて理解できないのだけれど、、その重い手を持ち上げ自分のシャツのボタンを外していく…。
「どうにかして……殺す以外で…。」
男の瞳孔が少し見開き、少し焦りを見せる。
「色仕掛けのつもりか?そんなもので我の不意を打つなど、無駄だ。」
そうは言うものの、少し動揺しているのは私でも分かる。このまま誘い込んで行為に及んで貰おう。どの道この状態じゃ私の精神が持たない、殺人欲求を抑えるのには割と効果的だと我ながらいい発散方法を思いついたと思ってるけど……あなたには理解できないわよね?
「ほらッ、、はやく……ここで私を放っておいたら、明日には私は口も聞けない抜け殻になるわ…脳死って言うんだっけ、、そんなのになっちゃ、貴方の目的も果たされないわよ?」
男の目が変わる。欲が勝ったのか、乾いたような目では無くなり、良くあるごく普通の茶色が見える……行ける。
「それに…貴方に嬲られて身体は自由に動かないし、、ふふふ…まさか長年生きてきて、未経験なんて言わないわよね?」
「そこまで言ってくれるとは」
……そこからはただただされるがまま身を任せるだけだ。
別に大した身体じゃない、動くのに充分なだけ、細身が好みなら良いんでしょうけど、だから特に胸が大きいわけでも、腰周りが大きいわけでも無い。あぁ強いて言えば色白さは魅力かも。現実離れしたこの銀髪とか…まあそのどれも突然変異だけど。
……って、これこんな話だっけ。設定書き換えなきゃいけないかも。
なんて、言ったのも束の間、男は部屋を変えようとどこに運ばれたかと思えば風呂場だ。そのまま抱えられ、次の瞬間。冷水の溜まった浴槽にぶ落とされた。
「ほら、体を冷やせ、、変な気を起こすでない。」
「んんっ!!!?」
高鳴っていた鼓動が一気に握り締められたかのように縮む感じと、同時に体中の熱が一気に逃げていった……。
そう、自分もよくそうしていたように、一気に煮えたぎって居たものが冷めた。
(あぁ、こうすれば治まるんだった……でも、腹が立つ。こいつにここまでされたのが……)
そのまま沈むように頭も浴槽に沈めると、奥歯をかみ締めた。
※
その後風呂を出ると、古臭い着物を着せられて屋敷内を案内された。何を思ってかこの男、外に出ること以外ではこの邸内を自由に行来しても良いと言い出した。
衣食住に困らないのはいいことなのだけれど、刀の中の黒豹にとっては生き地獄となっているだろう。ただここで分かったのは、案外私もこいつ(黒豹)を縛れると言うことだ。今みたく冷水でも浴びれば、斬りたい衝動は薄くなる。
ただそれも何処までまは通じるのか、まだ分からない。今は黙っているだけかも。
それから3日程過ぎて、朝食を終えた後、私は本当に、この男から剣術を教えられる事になった。
寧ろここからの方が私にとって生き地獄の始まりだった。
また暫くたった気がしますが、私自身、割と短いスパンで投稿できたと言えるでしょう。
私にとって読者の数が1でもいる限り恐らく書き続けますが、前回の投稿の後、ついにブックマークに登録してくださった方が居たのを僕は忘れません。
とても嬉しかったです!
しかし同時にこの物語、自分で書いていて何言ってんのってなるんですが、あまり読者ウケしないと思っております。
いや自分が1番書きたい物語なんですが、もうはなっからそうですが自己満なので、、
でも本当にありがとうございます。これでまたモチベが上がりました!
書いてはいい所で投稿というスタンスで、投稿には時間かけまくりで、まるでなってない故に内容も……etc.....
とにかくありがとうございます。




