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銀髪の殺人鬼(シリアルキラー)   作者: もときち
12/16

殺人鬼と暗殺者01

あれから結局太陽が顔を出し始めた頃には睡魔に負け俺は眠っていたらしい。

目が覚めた頃にはとっくに朝陽がとうに上がり、近所の住民達は昼食の買い出しに出かける位の時間で、俺も昼飯を買いに行こうかと立ち上がりタンスの棚を引いていた所だった。


「私も行くわ。」


突然背後から聞こえた愚妹な質問に思わず振り返ってしまった。


「は?」


「駄目かしら?」


「いや目立つだろう?、見つかりでもしたらどうするつもりだよ。」


「別に、逃げれば良いわ。それに、簡単に地上には降りてこられないのよ、アイツらは。」


「そうかよ、、まあ俺には分からないから、お前がそう言うなら、信じるが。でも少しは隠した方がいい。ちょっと待ってろ。」


半袖のワイシャツに黒の膝丈程のスカートでは上半身にかけてまず目立ちやすい銀髪にその白い肌が露出し注目を集める為、俺がいつかの好きなアーティストのライブで手に入れた黒い大きなパーカーを着せて尚且つ黒いマスクを付けさせる。それにフードを被せたと有ればもう完璧だろう、俗に言う地雷系の完成だ。


「(こりゃ最高だ…)」


「……まだなにか必要?」


「いいや何も、行こうか……言っても飯の買い出し行くだけだぞ?」


「良いよ、外の空気が吸いたいから。」


「そうか、」


無言で玄関の扉を開け、外に出る。


出るその1歩目からもう視線は自然とテイルに釘付けだったのを、軽く流されてしまうまで気づくことはなかった。


「いつまで見てるのよ……」


「いや、、これこそ俺の理想のかの…ングッ!!!?」


と開き直って答えて、いや、言い終わる前に強烈かつ的確に溝打ちならぬ溝蹴りをかまされ簡単に俺は恐らく10分間その場に突っ伏しダウンした。


気を取り直して腹部を抑えながらただでさえ目つきの悪い目を余計に歪めて歩き、10分程度防風林の間の歩行者専用道を歩くと、丁度スーパーの裏手が見えてくる。


なおも懲りていない俺は横目にテイルを覗き見る。フードを被っていても分かる。はみ出る浮世離れしたその細く繊細なアートの様に靡く銀髪を、そしてそこから見え隠れする大理石から削り上げた様な白い肌に、髪色同様に、そして真上に伸びる長いまつ毛に、その瞬く瞼、はめ込まれた紫色の水晶は瞳孔に向かうにつれ濃く、吸い込まれていくようだ。

その鼻先だって、高すぎす低すぎず、幼子のようで、っと、ここで正面を向かれ、目を合わせられればたちまち………


なんて所で強い衝撃と共にアスファルトに後頭部を打ち付け脳が揺れ、その景色は真上、、曇天を見上げる。


「んグッ!!!」


「しつこいわ……急に発情しないで。」


「はぁ、、無理だろ…今更だけど、お前は綺麗すぎんだよ……。」


「……。」


と俺は思いを吐き出した。今となってはもう取り返しのつかない、人生で最初で最後の黒歴史と言えよう。こんな告白は。はやく死にたい。今すぐ俺を殺したい。


「助けた時も手当した時もバカ真面目に焦ってたから気にもとめなかったが、昨夜から意識しちまったんだよっ…仕方ないだろっ!この状況!、だいたいリアルにありえないだろうがっ!」


「……頭、強く打ちすぎたかしら?」


何故だが妙な冷たい風に当てられた俺は固唾を飲んでこれ以上の愚言を吐かぬよう押し殺す。


「そうかもな、あはは……。」


「悪いけど、何もしてあげられないわね。」


などと死ぬよりも辛そうな軽蔑の眼差しを剥けられプライドが引き裂かれ散々になった所で立ち上がり、何も無かった時のように歩き出す……。


「着いたぞ。」


とあえて声をかけ、一応平常に戻った風に見せ店内に入る。


(あぁ、、マジで気まずくなってきた……、早く済ませて帰ろう。)


「ねぇ、あなたは料理、するの?」


「…え?あぁ、たまにな。」


完全に自分に退いて居たかと思ったのに、普通に話題を振って来たことに驚きつつもその急な質問に少々戸惑うも答えた。


「まぁ、気が向いた時だけどな、殆は面倒だから適当に弁当買ってるけど。」


「……そう。」


「なんだ、手料理がいいのか?」


「聞いただけよ。何でも良いわ。」


ときた。なんか釣れないと言うか、ほんと何を考えて居るのか分からない。接点を持ちたいのか、そうじゃないのか。話が独り言のように、軽く一言程度で終わるものばかり。


一体何を求めているのか何一つ理解もできないが、別に理解しようとは実は微塵も思わない。


俺自身も一匹狼のようなものだからだ。他人にそこまで深入りしたい訳でもない。極端に綺麗なものと極端に醜いもの程、類を見ない故に孤独なんだ…恐らくは。


そしてテイルはきっと普段の俺みたく感情が欠損しているに違いない……。


テイルは何に興味を持つでもなく後ろをただ着いてくる。


(でも、自分語りの時だけはやけに感情が出てる気がする。)


結果、料理はしたくなかったので、適当にカッブ麺と缶コーヒーを2人分買い帰路に着く。 その間にもう会話はなかった。


結論づけると、俺の一目惚れとやらはたまたまま自分の趣味に合う腕時計を発見した時と大差ないのだろう。この後の結末を迎えるまでは。少なくとも、そう思っていたに違いないはずで、そうありたいとも思っていた。


お礼と題して一度くらいは寝たいってくらいか。それ以外ではもう関わりたくないのも本音だったのかもしれない。


_____だがこれは全て過去形で、過去で、もうどうしようもない事だ。








昼食後。趵渾は気まぐれにテレビを付け横になる。


(なんだ、また殺人事件か。)


……何となく事件内容を聞き流していると、テイルがテレビから趵渾に視線を移す。


「ねぇ、私はいつも殺す側の方だったから、よく分かるんだけど、、そうね、貴方くらいの歳頃の人が喚き散らかして怯えてるのって、割と面白いわよ?」


などと軽くほくそ笑んで話す。


「へぇ、そうかよ。」


趵渾はテレビを見ながら軽返事で答える。


「まぁ殺すって始めに付けちゃえば笑い話では無くなるわね、」


「全く、その通りだな。(お前にとって人間ってのはそこまで軽い存在なのかよ。)」


趵渾はテレビから視線を移せずにいた。

そう、ここでもまた、自分が誰を助けたを自覚し始めていたのだ。


彼女は初めこそ悲劇ではあったものの、偶然適応し、超能力を得て、殺害を経験した。例えそれが自分の命を奪われる1秒前であったとしても。


そしてその瞬間、心まで壊れたのだ。


だからテイルがこの後話す殺し話はさぞ楽しく遊んできたように語るのだろう。まるで家族に今日1日の出来事を語るようにな。


ただ俺は怯えていた訳じゃない、自分の中で認めたくは無い感情があるから、あえてその話は聞き流そうと思っただけだ。


俺も、、殺しまではしなくても、それに近いモノを知った事があるからだ……。



第5刻 「殺人鬼と暗殺者」(前編)



蒸し暑い夏も夜には少しは涼しくなるのかと思ったけど、そう生易しくは無い様ね。せいぜい虫の音が静かなものに変わるだけなのが唯一の救いとも言えるかしら?いや何でもうるさい。


でも熱いのは変わりなくて、風呂の桶に水を貯めて浸かりながらただぼーっと天井を見上げるのが至福ね


「(手首が痛い…刀の振りすぎね。)」


人間の世界に来てからもう2ヶ月が経った。簡単な一般常識は自然と身についた。人間を斬るのは人目につかない方が良い事、真夜中が良い事も。


通貨を覚えるのは早かった、でも四角いカードというものの役割がよく分からない。みんな色んなものを使っているから、時より使えたり、使えなかったりと、財布から出すのさえ面倒なのでもう使わない事にした。


大概、高級感のある外装の家は広くて無駄によけいなものが多いのだけれど、着るものには困らないのかもしれない。でも魔界のどの建物よりも高い、高層マンションという場所ならそれなりに身分の高い人間が暮らして居る故、働きにでることも多く最小限のスペースと家具、そして金が手に入る。まぁ家具は1級品だと思うけど。


なんて、ここまで聞けば私が何をしているのか検討が着くでしょう?


全てを語ることもないでしょうし、ここは切らせて貰うわ。


そうそう、実は人間から見て死後の世界で生きてる私達は、この地上界、つまりこの人間世界に来るに当たって自然と肉体を持たされるの。


私では説明がでないけど、住む世界によって別の体を持っているらしいわ。姿形は変わらないのだけれど、確か霊体と肉体だったかしらね?

……まあ確認できる相手も居ないか。


ここで本題に入りたい所だけど、1つ私なりに、人間界に来てまだ疑問があるのよ。正確に言えば疑問だらけね。


あの剣道や柔道、空手と言った護身術の道場とやらは本当に必要なのかしら?


この人間界において魔物なる獣は存在しないし、私程の殺人鬼なんている筈が無いのに……。


あぁ、同族同士が故に殺し合いをするからか。


強い人は弱いものいじめが好きよね。


私?あぁ、あまりそういう感情は持ち合わせて居ないわね、例えるなら食事に近いわ。


……いや、楽しんでたかも。



さて、その護身術も私の前では本当に呆気なかったのよ、現に抵抗しようと構えてきたから、そのまま切っただけなのだけれど。その場所が餌場だとしか思っていなかったから、全て斬り殺した後に気づいたのよ、そこがその護身術の学び舎だったなんてね。


だからそう思っただけの事。


そして今、こうして奪った高層マンションの一室に寛いでいる。


「はぁ、、、なんか退屈ね。」


こんな語り口調では私の恐ろしさが全く伝わらないと思うし、正直何を伝えようなんてことも思ってない。これはそもそもそういう話しよ。


改めて見れば、ただの、というか、最悪。最低で最強な殺人鬼の、救いようのない、救う気も起きない。そして救われたいとも思わない。


…………悲劇のヒロインが闇に堕ちして、堕ちて、落ちて、朽ちる。











__丑三つ時。草木は眠り、虫の鳴き声さえも小さく、とうに聞こえなくなる頃。


_現代では排気音を撒き散らしながらクルマやバイクが公道を走り抜ける。過ぎてしまえばまた深く広い無音状態だ。


それこそ24時間営業の店くらいで、路地を外れればもう闇しかない。


時より猫が通り過ぎるくらい。


街灯では何も助けにならないだろう。


偶然にも酒屋から出てきた若者が3人、ふらふらと、騒々しく笑いながら路地を曲がり闇に向かって歩いてくる。


内二人は男で、真ん中に若い女を挟んで、談笑し合う。


_この静けさの恐怖も知らずに、だから当然、危機感はまるでない。


テイルは彼らの進行方向から見て正面の小道を抜け歩行者信号の先、右横の公衆電話の外側に背を向けただ待つ。街灯が照らすこの小さな枠の箱のちょうど陰に位置する。


談笑し合う声がゆっくりとテイルという恐怖に近づく。


「いやぁ今日は楽しかったわー、」


「それなー、特に中西のヤツがはしゃいでたなっ」


「そうそうっ、ミクちゃんも楽しかったっしょ?」


「うんっ!とても〜っ」


「明日もバイトないっしょ?この後俺んちで朝までど?」


「遠慮しときますよー、さすがに迷惑でしょう?」


「いやいやそんなことないって!」


「ふられてやんのーっ」


「うるせっ!」


_不意に若い女が立ち止まる。


「ん、ミクちゃん?」


「おい、、あれ、、」


そこで片方の男もその対象に気づき、立ち止まり、口裏合わせでもするように小声で呼びかけ、もう一人の男の腕を叩く。


無理もない。目の当たりにしたその対象は、如何にも現実離れしたような存在だった。


150センチ位のその頭上から真っ直ぐしなやかに腰丈まで伸びた白銀の細かな髪に、白大理石を削り磨きあげたような整った小顔、光の照らされ方で変わるような紫水晶の瞳、無駄のないその造形に、更に白いワイシャツと、黒いロングスカートを着せて、見事な西洋像が目の前に存在する。



「「「……………。」」」


3人は思わず立ち止まり見つめてしまうのだった。


「ふふっ、」


一方でその美しい西洋像は柔らかな表情で微笑んで見せたではないか。


空いた口が塞がらない。


「……ぁ、あはは、、こんばんは、、」


呆気に取られながらも1人が挨拶する。


「ふふ、何だが楽しそうね。」

銀髪の少女が明るく話をふ振る。


「あぁ、はい!ね?」


「うんうん!君は1人なの?」


「そうよ。」


片方の男がいきなり調子ずいて声を掛ける


「じゃあこれから俺たちと飲まない?ちょうど一人女子の数が足りてなくってさ、どうかな?」


「ねぇそれナンパと変わらないんじゃ……」


とミクが言うが1つ返事でテイルは返した。


「うん、良いよ…丁度さっき友達と別れて暇してた所だから、ふふっ。お兄さん達優しそうだし、お姉さんもいるし、」


「え、そう?それは嬉しいなー、じゃあ少し歩いて、コンビニで買おうよ、」


「じゃあそうね、、行こっか。」


「ふふ、うん。」


こうして3人はテイルを連れて、コンビニへと向かう。


手前に男子2人、後ろにテイルとミクが並ぶ。


「あ、自己紹介まだったね、、俺は翔貴、よろしく。」


と、テイルから見て前方右側の茶髪パーマの現代風な外見の男が手を挙げて言う。


続いてその隣、左側のやや長髪で、前髪をヘアゴムで纏めた微妙で変なヘアスタイルの男が振り向く。


「俺は啓太デース、よろしくしゃーす。」


「私はミク、よろしくね?」


と微笑みかけるのが、今テイルの横を歩いているミクだ。比較的に大人しめな外装で、髪も肩までで伸ばしたセミロングで、黒くしなやかなと言える。



「うん、、私はテイル。宜しく。」


「宜しくっ!それでっ、テイルちゃんはどこから来たの?フランス?オランダ?」


と、啓太が尋ねる。異国からきたとなれば当然、お決まりと言っていい問いかけだ。


「うん、、内緒。」


「えー、ナイショですかっ。じっ、実ははスパイ的なっ?」


「いやいや、厨二かよ…。」


と啓太のボケに翔太が冷めた言葉を刺す。


「なんだよっ、冗談だからっ、つか乗れしっ。」


「ふふっ。」


…などと談笑しながら足を進め、コンビニへ到着する。


「えっと、テイルちゃんは何飲む?」


横にいたミクが尋ねる。


「そうね、正直まだよく知らないから、ミクの選んだものにするわ。」



「そっか。じゃあ比較的アルコール低いのにしよっか。」

と、ミクはテイルに優しくほほ笑みかける。


「ありがとう。」



ある程度周り、適当にカゴに缶や菓子を入れた所で翔貴が全体に声をかける。


「もういいか?じゃ、啓太以外のは俺払うからっ、先に出て待ってていいよ〜」


「ありがとう翔貴君っ、行こっかテイルちゃん。」


「あ、、うん。ありがとう…。」


「ちょっ、なんで俺だけ省かれんだよっ!」


「割り勘だよボケッ、男衆が払うのがマナーだろッ」


_4人は啓太の家に到着する。ごく普通の貸アパートだ。


「やっぱ嫌だな、お前の家汚そう。」


「なんだその偏見っ、ちゃんとしとるわ!」

などと談笑し合う啓太と翔貴。


その後ろをテイルとミクが続き部屋に入る。

四畳半の極普通の部屋だ。ただ翔貴の偏見とは別に、部屋の中は整っていた。


「お邪魔しまーす。わぁ、、ほんとに綺麗ね、」


「ミクちゃんまでそれ言う?親が家の整理には厳しかったんだよ。」


「……。」


テイルはただ辺りを見回す。


「適当に座ってよ、今コップ出すから〜」


と、啓太が台所に向かう。それに合わせて翔貴とミクがリビングのテーブルを向かい合うように座る。


啓太にテイルはついて行く。


「……あれ、テイルちゃん?どうかした?」


「…ふふ、手伝うよ。」


テイルは少し微笑んで台所にある水のボトルを持つ。


「え、ありがとう、これくらい良いのに、」


「だってお兄さん、好きだもの。」


急に突拍子もなく啓太に言い放ち、テイルは先に行きリビングのテーブルに水のボトルを置く、


「(じょ、冗談だ…冗談。)」





互いに酒も周り、話題はテイルに集中する。


「そうそう、テイルちゃんは何処から来たの?」


「その白い髪って地毛なの?すごくキレイだけど。 」


「……知りたい?」


と、正面に座るミクと翔貴に静かに聞き返す。


「う、うん。」


「教えて?」


「じゃあ、ここまで招いてくれたお礼に……」


テイルは隣にいる啓太に寄り添い、その右肩に左手を添え頭を近づけ、耳打ちする。


「……え?」


「……ッ。」


啓太の顔が一瞬にして真っ赤になり、身震いを起こす。


「えっ、なになに、啓太にだけっ?ずるいな〜。」


なおもテイルはひそひそと、啓太に囁き続ける。


だが不思議と、啓太の高揚に満ちた表情や態度は一変にして固まり、笑顔が引きつったまま徐々に青ざめていく。


「……啓太?」


「…ごめんっ!、ちょっ、トイレ行ってくる!」


翔貴が話しかけた事で我に返った様に、しかし酷く動揺して慌ただしく立ち上がり、駆け出す。


「は?、なんだアイツ…」


「なんか啓太君すごく怖がってたけど、どんな冗談言ったの?」


と、テイルがイタズラをしたようにしか見えなかった2人を前に、テイルは立ち上がり軽く服のシワを伸ばし整える。


そして何処から取り出したかも分からない。背後から胸丈の長さの刀を表に出してくると、その場で自分の腰に鞘の鍔の下を左手で握り、右脚を少し前に出すと同時に刀の持ち手、鍔の縁を握る。



「「……?」」


2人が呆けているのも束の間、瞬きと同時にその刀はいつの間にか刃を出していて、左から翔貴、ミクの右隣に並んでいる。



「……え、、何してるの?……うっ!?、、ごはっ!!」


少し間が開き、翔貴が突然テーブルに血を吐き真横に倒れる。ミクの肩に肩が当たると同時にまるで積み重ねた積み木を横にたおし、上から崩れるようにスライドして翔貴の頭が床に転がる。


「……ッ?!ガハッ!」


それに習うように吐血したミクも同様に、頭が落ちて、胴体から崩れ落ちるように倒れる。そう、まるで__


「ドミノみたいっ!ふふっ!あはは!!!」


刀を収め、テイルは甲高い声で笑いだした。


「ふふっ、ふふふ、、ああ、、またやっちゃった……でもこれでお兄さんと2人きりだね。もう出てきていいよ?」


そう一人明るく呼びかける声を前に、個室からは応答がない。


「あれ、、お兄さん?おにーさん、」


ゆっくりと、小さな足音が啓太の隠れる個室へと近づく。それは啓太にとっては自分の命のカウントダウンと同じだ。


「っ!!」


震えが止まらない、その場を目撃していなくとも、啓太には2人がたった今、この可憐で大人しげで清楚だった女性に殺されたという事実を知っている。


耳打ちをされた時、そう宣言されると同時に、突如にして自身の身体が全身で恐怖を覚えたからだ。


「ほら、終わったら出てきてって、お兄さんは殺さないよって私そう言ったんだけど……ちゃんと聞いてたのかな?返事くらいしてよー?」


「……い、、嫌だ、、、俺も、、殺される…ッ!」


扉越しでも伝わるほど、痙攣を起こしたように震えている、その気の弱わり様にテイルは笑いをこらえ扉にもたれかかる。


「ふふ、ふふふふ、あっはははっ!お兄さん怖がりね?」


テイルはドンッと軽く扉に拳を当てる。


「ヒィッ!!」


それを合図に悲鳴をあげる啓太。


「ふふっ、ほんと怖がりね。じゃあお兄さんっ、私が3つ数える前に出てきてよ、でないと飽きて殺しちゃうよ?」


そして否応もなしにテイルは数を数え出す。


「いーち、にーぃっ!」


「あっ、!うわあああッ!!」


途端に啓太は内扉の鍵を外し腰を抜かしながらも扉にしがみつき、半身の体重を掛けて扉を開け、前のめりになりながら床に突っ伏す形で出てくる。


その目の前には、確かに、テイルが立っている。


長いスカートから伸び、立っているその色白い足首は今や身の毛もよだつ恐ろしさだ。


「ふふ、偉いねお兄さん、すぐ出てきた。」


だが啓太の全身は恐怖で震え、上手く立ち上がる事ができなければ、呂律も回らない。



「あぁ!、、あぁッ、えぇぅ!」


「なぁに?」


そんな啓太の目の前で、膝を曲げ腰を落として座り込み、見下ろす。


「……きっとお兄さんは今思考が追いついてないのよね?どうしてふたりが殺されてるのかも、今何が起こっているのかも。」


などと現状を俯瞰して、啓太に語りながら、リビングに戻りソファに腰掛け、まだ入っているハイボール缶を手にして一口呷る。


「はぁ……苦いわね。魔界でも人間界でも、どうしてこんなものが好きなのかしら?」


啓太は未だに腰を抜かしたまま、震え続けている。


「いつまでもその調子じゃお話にならないよ、お兄ちゃん。」


テイルはなおも、無表情に近い表情で続ける


「こうして誰かの家を転々としてるとね、お巡りさんに見つかりやすくなるの。なんだろ、人間界にも宿屋、なんかあったりするのかな?」


「うぅ!!あぁ……ッ!」


少し落ち着いたかと思った啓太だったが、テイルに目を向ける前に床を覆い尽くす火の如く広がっている赤、倒れている二人の身体、床に転がった頭……それを見た途端に寒気と、胃の中身が逆流してくるのを感じ、すぐさまシンクの流し台に顔を伏せは吐き出す。


「ふふ、飲みすぎ?」


「はぁ、はぁ、、んんっ!おぇぇっ!!」


テイルはなんの躊躇いもなく2人を跨ぎ、血に濡れた足で啓太に近づく。


「く、来るなっ!あ、あんた、、い、一体何者なんだよ!!」


「何者って、、何だろうね?、見た目は意外と似てるけど、、でも、そうね。殺人鬼って感じかな?もうここへ来て何人も斬り殺してきたし……。」


「なな、、なんで、、そんな、事。」


啓太は徐々に冷静さを取り戻し、片手を後ろへやり、ジーパンのポケットからそっとスマホを取り出す。


「そうね、、単なる食事みたいなものよ、斬らないと、頭が痛くなるから?」


テイルは啓太の行動に気付いていない。


「………(く、、狂ってる、早く警察に…まだ、気づいてない、、)」


電話のアイコンを押し、ダイアルを表示する…。


だが突如として、目の前に居たはずの悪魔が姿を消す……。


「ッ!??」


「ここだよ?」


真後ろから恐怖が啓太を覗き込む。その瞳は薄暗い紫で、見つめられただけで首を絞められたように苦しくなり、呼吸が上手くできない。


「……あ…ぁぁ…。」


俺は生きていて何か悪い事をしたのか?いや何もしてない、なのに何故こんな事に巻き込まれているのだろうか、あの時誘っていなければなんて、今更どうにもならない。2人は帰ってこない、それどころか今こうして自分も……。


嫌だ!死にたくない、啓太の頭の中で最終的に浮かんだのは単純かつ純粋で、本能的な考えだ。


「やめて!殺さないで!、嫌だァ!!!お願いっ!、お願いします!僕だけは見逃してください!誰にも言いません!、だからッ!殺さないでくださいッ!」


殺人鬼を前に啓太は土下座をし懇願して、泣き喚く子供の様だ。


「……へぇ、対話さえできればこうやって命乞いするんだね、、また1ついいものが見れたわ。」


「ぁぁ…うぅ?」


これではどちらなのか分からない…自分は助かるのか、それとも……。


「はぁ、はぁ。お願い…しま…す!、お願いだがらぁ!。死にたくないよお!まだ、20年しか、、生きてないんだよぉおお!」


「ふふふっ!」


「うあああ!!嫌だ!いやだああ!誰かああ!!」


啓太ら頭を抑え叫ぶ。もうなす術が無い、せめてこれくらいしか。恐怖し、泣き喚くかしか。


「…自分でいうのもあれなんだけど、ある意味人間だけを襲う獣を前にして、その場で見逃してなんて言って、助かると思う?」


テイルは再び刀を握り、鞘から刃を出す。


「私はこんな時間すらなかったから、この幸運がなきゃ、、でもまだ貴方の方がマシかもよ?だって痛みを感じることも無いから、ふふふっ!!いや、死ぬんだからマシとかいう問題じゃないわねっ」


「嫌だっ!やめてっ!!殺さないでぇ!!!」


啓太は瞬時に立ち上がり逃げようとするも、足や腰を上げることができず、這いつくばって壁に張り付くように縋り、こっちを見下ろし再び恐怖する。


「じゃあ、1つ教えて欲しいなお兄さん。こうやって家を襲撃して今日寝る場所を探すの疲れるの。もっと簡単な方法、教えてくれる?」


「ぁあ、、あえっ?、」


「それを教えてくれるなら、見逃してあげる。」


「何でも教えます!、見逃してくれるならッ!」


「うん、いいよ。」


啓太は慌ただしく張って歩き、再びスマホに取る、さすがにもうここで警察に電話するなどという馬鹿な真似はしない。


「あ、あの、、お金、ありますか?」


震えた声で口を開く。


「あぁ、これならあるけど?」


と、無造作にポケットを漁り取り出したのは1枚のブラックカードだ。


「そ、それなら充分足りると思います…えっと、街に行けばその、ホテルがあるので、、その方が良いと、思います。」


「へぇ、そうなの。物を買う以外にも使い道あったのね…便利だわ、いいこと聞いた。」


「えと、、それ、じゃあ、、僕は……」


「ふふ、お掃除大変ね、お兄さん。」


粛然とした空間に、唖然とする啓太を横目にその元凶である悪魔はそのまま玄関へ向かい、扉を開けて出ていく。


外に出た後で、土を踏む音は一歩、二歩程した後からはもう小さくて聞こえない…、。


その後啓太と、彼等の詳細は分からない。




明けまして、申し訳ありませんでした。m(_ _)m



待って居た方には非常に申し訳ない限りです。



内容薄ッ!て思ってるでしょう。


言い訳をさせてください、現本職が忙しかったんです!!!!(泣)


ちゃんと生きてますよって伝えたかったレベルなんです。


ただ前回と同じ事を申しますと、途中で終わることはありません。

このサイトが無くならない限りは…。


もう少し、いや必ず、ペースを上げて行きたいなー。

年内に3回は更新したい…。


という訳で、顔も知らない方々……今回もここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

もう感想も評価もいりません、読まれたという数値だけで充分です。(いやもともと無いか。)

モチベになります。


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