4話 友人との通信と、ドローン
「…人的被害はないみたい、撃ち込む場所は大して意識してなかったって聞いてるけど日本に落ちるのはやっぱり運命なのかな?」
【マリモノリス】これに関しては全職業のエンドコンテンツと思われるものを情報化したもの。
ハンターからは敵UEOの敵データと、全艦全兵装の戦術データ。種族における相性などの戦略データ。
サルベージャーからはオーパーツの研究結果と、エネルギー系の開発データ。太陽系とその周辺の星系の安全航路のマップデータ。
トランスポーターからは跳躍ゲートの製造設計図、及び全アイテムの詳細データ。コロニーの開発データと、テラフォーム技術。
セッションの中で特化職・先鋭職一人では不可能、汎用職たちと協力したうえで高難易度だったものたちだ。
これでガイアへの道が切り拓かれなければ、アップデートしないかぎりやりつくしたといえるレベルの濃密な情報。それが今、鳥取に落ちている。
ゲームのガイアへの道を切り拓いたと思ったら、リアルでの宇宙への道を切り拓くことになってしまったわけ。
「…まぁ、理解できればの話だけど。時間がかかるうちに、アドバンテージを取っておいた方がいい【ピリリリ】か、な?」
「艦長、通信が入っております。相手は「ハァーイ、ラナスちゅわん元気だったかしらん?」」
「スフィ、わかったわ。…相変わらずね、セーガル」
「せーちゃんでいいわよんっ」
彼はセーガル。職業はサルベージャーの中の先鋭職『リサーチャー』所謂研究者。オーパーツと食という二つの研究を行っているオネエ口調をよく使う人だ。
オネエ口調がどうとかいう初心者もいたけれど、そもそもキノコ型とか虫型、タコ型、そんな宇宙人NPCとのコンタクトがあるゲームの中でそういうのは全部ヒューマン族の偏見的な考えでしょ?という考えがゲーム内では当たり前だったのでみんなそういうことに関しては非常に大らかになっている。
「…それで、セー「せーちゃんよ」ちゃん。連絡をくれたってことはまずは同盟ってことでいいの?」
「当たり前よぉ、ラナスちゃんの船がこっちからでも確認できるもの。流通は抑えるべきところでしょう?」
「それより平気なのセー「せーちゃん、よぉ」ちゃん。貴方、確か種族は…」
「ちょっと大変ねぇ、いろいろ溢れちゃいそおだわぁ…」
彼の種族は、魚面人。人魚ではない、邪神神話やアニメにいるだろう、インスマス顔というやつだ。ただ彼はその種族の中では『ミス』・インスマスらしい。
NPCの友好度が魚面人種や、海洋に生息していたであろう種族からはトップクラスの高さを誇る。人間からしてみると、よくわからないのだけど。
溢れちゃいそうというのは、彼はマグロだから…身体を動かしていないと、いけないみたいなの。研究員なのに。
「まずは合流する?それとも、今から情報交換でもする?こっちはまだ現状把握しきれてないけど」
「でもこの姿じゃ出られないわぁ、せめて宇宙船に転送できればいいんだk…あらぁ、できたわぁ」
「…えっ、本当に?ソフィ、私も転送できる?」
「はい、艦長。当然可能です、戻られますか?」
「…今はまだいいよ、せーちゃん。研究艦にいるってことね?なら」
「わかってるわぁ、情報を集めてみるわね。ラナスちゃんはヒューマン種でしょ?地球の情報を集めてくれるかしらぁん」
「ええ、じゃあ…3日、3日後一度宇宙で話し合いましょう?」
「そうねぇ、わかったわ。緊急時はコールするわねぇん」
そうして通信を切った。そして、ネットを繋いでみる。
一面が例のマリモノリスによるものみたい、あれは宇宙人からの攻撃か!とか宇宙人を崇めよ!とかなんとか言っている。
テレビを付けても、評論家が何か言っているだけみたい。どうしよう、元トラックの運転手のぼっち人脈じゃたかが知れているんだよね。
頭の方も元男の方が起因しているのかパニック状態なのかうまく働かないし…こういう時は
「スフィ、いい方法はないかしら?」
「はい艦長、方法としては3つご提示することが可能です。」
「話してくれる?」
「はい艦長、一つ、情報収集が得意な人を頼る。一つ、私がネット上を掌握して情報を引き出す。一つ、艦にある監視用ドローンを展開する」
「監視用ドローン?そんなのあったっけ?」
「はい艦長、ガイア…いえ、地球の現兵力では傷がつけられないであろうドローンが百単位で格納されています」
「ネット上を掌握した方がいいのかな…いや、敵対されるとあれね。ドローンで行こ、展開してもらえる?」
「はい艦長、監視する地点はどちらになさいますか?」
「…そうね、先進国と呼ばれるところと国連っていうところを私の脳内から引っ張ってきて、後は武力が強い所もね」
「はい艦長、では圧縮型超大型監視ドローン「独立記念日」を展開します。」
「えっ、それって…ま、まっ」
その日、世界のあらゆる主要国、テロ多発地域、核所持国、国連本部の上空に『全長25㎞を超える巨大な円盤』が出現した。