再開!クロルとルナ
今、俺の目の前には巨大かつお高そうな屋敷があった。
この屋敷はこの街、アウリアの中心部に位置する貴族の屋敷だ。
俺達はここに居るらしいルナという子に会いに行くのだが、ある問題があった。
「んで、門前払いされたぜ?」
そう、メイアねぇさんの言う通り俺達は屋敷に入れてもらう前に門前払いされてしまったのだ。
とはいえそれは当然の事、今の俺達はいわば突然家に訪ねて来た知らない人が突然話がしたいと言ってきた様なもの。
そりゃあ誰でも家に上げたくはない。
「くそう、やっぱ粗品ぐらい持ってくるべきだったか…」
「いや、そうじゃねぇだろ…」
しかしどうするか、なんとかして中に入れれば良いのだが…
呆れるメイアねぇさんを横目に考える。
「おい貴様ら!いつまでそこに居るんだ!いい加減失せろ!」
屋敷の警備に怒られた。慌ててクロルを連れてその場を離れる。
しばらく走り、屋敷から少しばかり離れた所で一息ついた。
「ふぅ…。参ったな、これじゃあ中に入れない。」
何か、何か方法は無いのか?
屋敷に目を向ける。
手掛かりを探すんだ、この状況を打開する何かを見つけろ。
窓から侵入したらどうだ?いや、周りから丸見えの状況だ、どうしたってバレるだろう。
翔太が居ればルナって子を連れ出すことは出来るかもしれないが、その様子をイメージしてみると絵面が危なすぎる、却下だ。
と、なると…
「よし!正面突破だ!」
「もう少し考えろよ…」
「あ、メイアねぇさんはここで待ってて。」
「はぁ!?」
「俺が戻って来なかったらヨロシク!」
俺はそう言い残し、クロルを肩に乗せて走り出す。
「クロル!しっかり掴まってろよ!」
「え?兄ちゃんなんだよ突ぜーー」
距離は50メートル先、俺の震脚なら二歩で辿り着ける!
地面に強く足を振り下ろし、叩きつける。
結果、身体の中の至る所に衝撃が発生。
その衝撃を筋肉の収縮を利用して流し、踏み出した右足へと集中させる、集中させられた衝撃は足の裏から放出され靴を通して地面に伝わった。
地面と俺の足には反発力が生まれ、結果、地面よりも軽い俺の体はまるで矢の様にその場を離れたのだった。
僅か二秒、その間に俺は25メートルの距離を跳ぶ。
そこで体は重力に引かれ、足が地面に着いた。
二歩目ッ!
もう一度地面を踏み込みもう半分の距離を跳ぶ。
ここに至ってようやく警備兵達が屋敷に突っ込んでくる俺達に気付いた。
警備兵達は慌てて屋敷の入り口を塞ごうをする。
だが遅い!これなら俺が辿り着く方が速い!
通行人が道を横切るも空衝を使って軌道を曲げ、すり抜ける様に突き進む。
屋敷まで後、10メートル!
風を切り突き進む俺達は門へと辿りつこうとしていた。
だがーー
「兄ちゃん止まって!」
「何!?」
ザザザザザ!
足を地に付け、地面を削るようにして止まる。
必然、警備兵達は俺を取り押さえる。
「この不審者め!貴様等何をする気だった!?」
「牢屋にぶち込んでやる!」
「へぶっ!?」
そして俺にその金属鎧を纏った腕や足を叩きつけてくる。
流衝で流しはしているのだが、頰を潰されて上手く喋れない。
「フ、フロルふぉまれっへまみがあっふぁ!?」
「ルナが…ルナが居るんだ!」
「まひか!?」
だったら抑えられてる場合じゃねぇ!
「お、おぉぉぉぉぉ!!テメェ等どきやがれ!」
「な!?こいつどんなパワーしてやがる!?」
纏わりつく警備兵達を無理矢理振りほどく、幸い力は俺の方が上だったので何とか引き剥がす事が出来た。
「ルナァァァ!」
クロルが叫ぶ。
しばらくすると屋敷の扉が開き、中から一人の少女が出てきた。
「ルナッ!」
「え…!ク、クロル!?何でここに…」
どうやら彼女がルナちゃんらしい。
クロルは俺の肩に乗りながら尚も声を上げる。
「オイラは君に伝えなきゃいけない事があるんだ!」
「え!?も、もしかしてそれって…こ、こく、こくは…いや、でもまだ私達には速いというか何というか…」
何やらモジモジし始めた。そういう勘違いは小説読んでる時はニヤニヤするが、今は真面目にやめてほしい。
何故ならば今、俺は警備兵達の猛攻を凌ぎ続けているからだ。
何人かはクロルとルナちゃんとのやり取りを見てどうすればいいのか分からなくなっているようなのだが、一部の奴らは俺が気にくわないのか武器を持って殺そうとしてくる始末。
クロルも狙ってくる為非常に辛い現状だ。
くそッ!こいつ等一旦ぶん殴って静かにさせてやろうか!
余りにも鬱陶しく命を狙ってくる警備兵を気絶させようかと思案する。
勿論殴れば捕まるのは眼に見えているのだが、このままではあの世の鎖に繋がれる事は間違いない、なら殺られる前に殺るしか無いだろう。
「そこまでだ!兵達よ、武器を収めよ!」
カウンターを狙って拳を握った時、響いた声に警備兵達のピタリと猛攻が止まる。
「君はルナに何があるのかね?」
警備兵達の列を掻き分けて一人の男が現れる。妙なちょび髭をした少し太り気味の男だ。
その男は俺達に、いや、クロルに話しかけてくる。
先程響いた声と同じ声だった。
「オ、オイラはクロル。大切な話があるんだ。」
「ほう?クロル君か…ルナとはどこで知り合った?」
「街の外、こっから東の森の中だ。」
「東の森…。あぁそうか、分かった。君達、入りなさい。」
何かに納得したようにちょび髭の男はそう言って、兵士達を掻き分け屋敷の門を開ける。
恐らくこのちょび髭の男は貴族なのだろう。
だが何故今の会話で俺達を家に招く気になった?
分かるはずもないが招かれるままに屋敷に入る。
勿論警戒はしたままだ。
俺の肩からクロルを下ろす。
地面に足を付けたクロルは玄関にいるルナちゃんの下まで走って行った。
俺の横にはちょび髭貴族が並び歩く。
さて、鬼が出るか蛇が出るか…
クロルをルナちゃんに合わせたい一心でここまで来てしまったが、今更になって緊張が俺を取り囲んでいた。
大分遅いですが、明けましておめでとう御座います!
いやぁ、年末の投稿を最後に新年となりましたね!今年も元気に頑張っていきましょう!
さて、突然のお知らせなのですが、1つの話をチマチマと投稿するのは読者様方が愛想を尽かしてしまう現状の為に、書き溜めをして投稿といった形式に変更します!
大体1ヶ月に数話の頻度で連日投稿していくと思いますので、今年一年もどうぞよろしくお願いします!コケー!




