再開のレイス
すいません!実は今頃になって気付いたのですが、オラリアの街に入る前に出会った男の名前がジークになっていました!おかしいですよね!何せもう1人ジークが登場してしまったのですから!その為修正を入れました!スフィアの夫はジークではなくレイスです!本当にすいませんでした!
「やぁ、やぁやぁやぁ!君達久しぶりだね!」
街を歩いていると、ふと声をかけられる。
誰だ?何処かで聞いたような…
いや、嘘はやめよう。本当は分かっている、だからこそ後ろは振り返らない。
「待っておくれ!君達2人に声をかけているんだ!まさか僕の事を忘れたのかい?レイスだよ!覚えているだろう!?」
絶対に振り返るわけにはいかない。振り返ってしまえばどんな目に合うか分からない。
俺達はイケメンホモを振り切る為に歩く速度を上げる。だが後ろからの声は小さくなっていくどころか徐々に大きくなっていく。
追いかけて来やがった!
早歩きの速度はとうに超え、遂には走り出す。だがそれでも尚イケメンホモの声は聞こえて来た。
「く、くそったれ!なんであいつまだ追いかけて来んだよ!?」
「僕が分かる訳無いだろ!海斗なんとかしてよ!」
「出来るか!翔太がやれよ!透明化で俺ごと消すとかさ!」
「知ってんだろ!?僕の周囲30センチ以内じゃ無いと消せないの!あそうだ!僕だけなら透明化で逃げられるじゃん!」
やべぇ!俺が余計な事に気付かせちまった!
そんな事を考えている間に翔太は透明化で姿を消してしまった。となれば当然イケメンホモが狙うのは俺だけとなる。……どうしよう?
「あれ?なんて事だ…1人消えてしまった…仕方がない、君だけでも!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!?」
イケメンホモは更に速度を上げて俺を追ってくる。後ろを振り返って見れば引き離していた筈の距離が徐々に詰められる様が目に飛び込んできた。
あいつはそれ程早くない、俺が全力で走れば直ぐに引き離せるだろう。だけどそれは出来ない。何故ならここは道だ、人が多く行き交い買い物をする場所なのだ、もしも行き交う人に全力で走ってぶつかれば怪我をさせてしまう可能性がある。
「だからってこのままじゃあ…くそっ!覚悟決めろ俺!」
足を止める、地面を滑りながらも後ろを振り返った。
近づいてくるイケメンホモを見据えて拳を構え、タイミングを見計らう。
「ここだ!もっぺん気絶してろ!」
両手を広げて飛びかかってくるイケメンホモの動きに合わせて振りかぶった拳を当てーー
『封印を解け』
「っ!?この声は!?」
そんな!?この声は悪魔デルタ!?いや、封印を解けって言っていた。なら大丈夫な筈だ、それよりも今は目の前のイケメンホモをって…しまった!
そこでようやく気づく、今の声で少し動きが止まった一瞬でタイミングが完全にズレた。俺の拳が当たるよりも早くイケメンホモが懐に入ってくる方が早い。抱き着いて来るだけならまだ良いが、ヤツの顔は俺の顔へと向かっていた。
ゾワリと背筋に冷たいものが走る、炎魔人の時の死の恐怖とは違う種類の恐怖が俺を襲った。
「あぁ!嬉しいよ!受け入れてくれたんだね!なら先ずはその唇を頂こう!」
なわけねぇだろ!そもそもダッシュして来てキスとか歯が当たるに決まってんだろ!
どうする!どうする!どうする!?ファーストキスを男に奪われるとか冗談じゃねぇ!避けろ俺!今すぐ避けろ!避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろ避けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
「それじゃあいっただきまぁーー」
「スラディア」
ドゴォン!
イケメンホモが突如横から飛んできた水球によって弾き飛ばされ壁に衝突する。俺には何が起こったのか分からなかった。
「あらあら、ごめんなさいね。夫がまたご迷惑をおかけしました。」
「ス、スフィアさん!良かった…助かった〜、スフィアさん、ありがとうございます!」
どうやら今の水球を飛ばしたのはスフィアさんだったようだ、そういえば前も突然後ろに現れたし、もしかしたらスフィアさんは強いのかもしれない。
「いえいえ、私の夫のせいですから。それに、その様子なら助けなんて必要無かったでしょう?凄い身体能力ですね。」
「へ?」
「まさかあそこまで早く動くなんてビックリしましたよ。」
何言って…あれ?俺こんなに離れてたっけ?
不思議な事が起きた、さっきまで居た場所と今いる場所が全然違う。確かに一瞬前まではもう5歩ほど前に居た筈だが、いつのまにかこんな場所まで離れている。スフィアさんの口振りから俺が自分で動いたらしいのだが、そんなに早くは動ける筈が無い。どうなっているんだ?
そんな俺の疑問を他所にスフィアさんは倒れて動かないイケメンホモを引きずりながらこっちに歩いて来る。
「色々ごめんなさいね。お詫びをしたいのだけれど、家まで来てもらえないかしら?」
「あ、いやお詫びなんていいですよ。」
「そうもいかないわ、とても迷惑をかけましたし。」
そうは言うが正直言ってあのイケメンホモの家に行きたくは無い、勿論言えるはずもないが…
『封印を解け!聞いているのか!』
あぁしまった…悪魔デルタの事もあった…
次から次へと問題ばかり起きて本当にめんどくさい。
『フハハハハ!私の声が聞こえているのだろう!さぁ封印を解きたまえ!今すぐに!』
非常に煩いが無視を続ける。ていうか封印されている立場で頼む態度かよこれ。
尚も喚く声が聞こえてくるが努めて無視を続け、困った顔をしているスフィアさんへと意識を向けた。
「迷惑なら仲間にだってよくかけられますしかけますよ、人間持ちつ持たれつでしょう?」
「えぇ、ですからお詫びを。憑かれている事を黙っておきます。」
「……え?い、嫌だなぁ疲れてるなんて、まだまだ元気いっぱいですよ!」
顔を近づけ囁くように言われた言葉は余りにも衝撃的で、誤魔化そうとして言葉を発するも顔が引きつっているのが分かった。
「そ、それに一体何を根拠にそんな事ーー」
「その腕の布、封印布でしょう?最初に会った時はそんな物付けていませんでしたよね?」
引きつった顔が固まる。この人は全て分かった上で俺と接している。
「大丈夫ですよ、誰にも言うつもりはありません、それに家に良いものがありますから。どうです?お詫びの品を受け取って貰えませんか?」
「…………はい、ありがたく頂きます…」
それは最早脅し以外の何者でも無かった。




