アツイなっつ
ドラクエ5の映画を見たんですが、あまりのショックに放心して投稿するの忘れてました
すみません
『負けだ、降参する。』耳障りな人達を下すのは心地がいい。僕の対戦相手は尽く無様な負けを晒す事を強いられた。
兄の呪縛から逃れられる場所だ、訳のわからない事をブツブツ言われたってしょうがない、僕は兄のお母さんじゃありませんからね! とかく、最後の試合を僕は終えて席に戻った。ああ、爽快な気分だ! 席の隣に兄が座っているが、流石だ程度の軽い褒め言葉なので別に気にしない。どうせこの後に試合がないので早々に帰らさせてもらうしな。
「ああ、決闘祭の件は任せてくれ、俺が邪魔をしない様に言って聞かせておくさ。」
兄が自信ありげに言った。その件について感謝はしておこう。兄は僕の靡かざるを見て、ようやく今回は干渉し過ぎない事を選んだらしい。少し判断が遅い様な気もするが、それでも綺麗さっぱり諦めて心象をよくする努力ができる事はさすが貴族と言うべきか。ところが、流石に握手会とかまでは管理できないがと続けた。握手会?
「うん? いや、アピールタイムの事さ。2日目と3日目にある。」
曰く、本戦2日目からは参加者が市民の皆んなへ応援よろしくを伝える行事があるらしい。人気投票もあるんだとか。いやさ、なんでアイドルをしなきゃならんのだ? まあイデオロギーと言うか、国内外から観光客が来るらしいし、帝国はこんなに優れた文化があって優れた人間達がいるよと言うアピールだろうが。なんて面倒だ、いや、握手会程度ならまだ良いかも知れないが……ま、どうせ優勝したら表彰される事だろうし、人目につくのは変わらない。本来だったら100の度合いで注目されるのが101注目されるだけだ。それにあまりにしつこい客ならスタッフ的な人が止めに入るだろうし、凄く現代的な風俗があるだけで、そんな事は今までにいくらでもあった。
まあ情報はありがたい、知らなかったです教えてくれてありがとうございますとだけ伝えて、僕は寮に帰る事とした。今日はフランソワーズ君の試合を観戦しない、と言うか今日は他の組も歪なパワーバランスで組まれていて早めに終わっているので、僕の参加している組が最後の組み合わせとなっている。まあ、僕の試合の観戦者が多くて、いまいち外の様子が見えないが。
僕は席を壊して帰ろうとしたが……兄から離れた途端、ちらほらと何人かの優男が観衆の中から躍り出た。凄かったねだのなんだの、公爵様と居て疲れたろうだのと囁く様に言われる。不愉快だなあ、まあいい。いい、こんな木っ端はどうせ明日明後日に潰してくれよう。僕は早く帰りたいので後にして下さいと言って、体に認識が阻害される呪いをかけた。彼らの目には僕の輪郭が乱れ、顔面がのっぺらぼうに見え始めた事だろう。更に強めて、人の目から離れる。あまりやりたかった手口ではないが、そのまま体を強化してさっと鬱陶しい男達を振り切ろうとした。
カカシの様に突っ立っている人の合間を抜けるのだから、まあ簡単な筈だった。抜ける途中で腕を捕まえられ、腕を振り解こうとするも、車は急には止まれない、車じゃないが速さがあったのでその人を引き倒しかけながら僕は群衆を抜けた。危ない、両方怪我するところだったんだぞ、一体何を考えているんだと言いたくなって、手を掴んだ人を見ると、猫耳の子だった。ヤマオカさんだ。取り敢えず、彼女の手を引っ張って二人で群衆から離れる。
「試合が終わるまで待ってたのに、置いていこうとするなんて酷くない?」
それは悪かったがね、君。そう口を開こうとすると僕が危険に言及する前に、私が転んでもどうにかしてくれるでしょうと言われた。そりゃあ信頼してくれるのは嬉しいが、それでも危ないものは危ないと言っておく。彼女がその猫の様にまん丸な瞳で、黙ってこちらの瞳を見つめてきた。それは、ズルい。僕が普段、容姿を利用して情を誘う事をしているのだから、いきなりそれをずるいと言うのは卑怯だとは思うので、ずるいと口にはしないが。
「もう、仕方ないなあ。一緒に歩いて帰ろ。友達に色々聞いてみた結果とか、話したいことはあるから。」
バートリーさんのことだ。件は、忘れている人もいる知れないが昨日のバートリーさんの怪しげなアリバイによる。予選中にふらっと消えては校舎の怪しげな一画に姿を消した。あまり深入りすべきではないかも知れないが、彼女は……現代風に言えば虐待の被害にあっている恐れがある。だから、できるだけ穏便な方法で無事なのかどうなのかを知りたいのだ。そこで僕は男の僕よりかは女生徒に交流があるであろうヤマオカさんに簡単な調査を頼んだのだ。
ヤマオカさんが語るに、別段有力な情報は得られていないと言うことだ。僕達が入学してから半年も経ってない、どうせ友人からは大した情報は得られないと踏んでいたが、カスリもしなかったそうだ。カスリもしないと言うのは流石におかしい。それと言うのは、彼女は侯爵の娘だ。人より注目され度合いが違う。魔術がうまく使えなかろうと魔力のタンクではある彼女に対して隙あらば媚を売ろうとする人は多い。流石に何かある筈だが、そこまで注目されないと言うことは、よっぽど隠したい何かがあるのだろう。これ以上探っても良いものか、僕は疑問視せざるを得ないが……。
「ヒロト君は? 何かわかった?」
「いや、メイドさんに調査を頼んでは見たけど、自分では特に。」
そう言うとこあるよねとヤマオカさんに呆れられる。そう言うところとは、何さ。まあ他人に調査を依頼しておきながら自分ではしないその態度について文句が言いたいのだろうけど。明日には教えるさと言って置いてお茶を濁し、そのまま二人で並んで帰っていった。寮に帰ればクロノアデアとの訓練や調査の報告があったが……まあ、それは明日、ヤマオカさんに語る際にまとめて語るとしよう。君達だって文として残された説明を何度も受けたくないだろうしね。
「被扶養者tokage、稼ぎに行きますよ。」
いきなり面と向かって言われると何のことか判らずに返答に困ったが、前回の僕が邪神からの説明で、ナビさんの父親面をしようとした事に対して、私が居なきゃ扉を開けることすらできないお前に父親面をされるいわれはない。私が母親でお前が赤子だと言いたい様だ。まあそう言う見方もある。そう言う見方もあるし、別に一つの見方に拘る必要はないので、幾ばくかの話し合いの時間を経て、僕達は程度の差はあれお互いに依存しあう関係にあるという事で手を打つ事になった。
「tokage、前回の貴方が参加しなかった闘技場に行きましょう。あそこで手に入る称号とトロフィーがあれば、私がパワーアップできるみたいです。」
ナビさんはインターネットを使って攻略情報を見てたみたいだ。別に惰性で攻略情報を集めていないだけで攻略サイトを絶対見ないぞと決めてるわけでもないので、ナビさんの指示に従い僕達は闘技場へ向かうこととなった。闘技場の受付を済まし、選手控え室に案内に従って進む。控え室内はあまりいい環境じゃなかった。ナビさんによると、より活躍すればするほど良い環境になって行くらしい。すこし不安になったので二人でお互いの装備を確認してみたり準備運動をしていると、マッチが決まったとすぐに声がかかった。ナビさんによると、マッチが決まるまでの時間は自分で弄くれるらしく1秒もかけなかったり逆に一時間くらい待つ事も出来るらしい。今回はナビさんが3分間の準備時間を設定していた為、そのようになったとか。
ナビさんに抱えられて闘技場の舞台へ入る。全くの無名の僕が戦う試合だが、観客はそこそこいるようだった。それと言うのは、僕だけの試合ではなく、他の試合も同時に繰り広げられるようだ。学園と同じ方式で、一つの舞台に何個もリングを設置して、たくさんの試合を一気に見れる形となっている。僕達が観客となった試合はこうではなかった気がするが……そう考えると、ナビさんが貴方の試合を見えている人は21人くらいしか居ないと伝えてきた。つまり、世界の重なりの処理で沢山の人が観戦している様に見えるが、そんな事は全然ないそうだ。
対戦相手に弓を持った男の人が入ってきた。まあ、僕達よりちょっと高いくらいのレベルだ。そこそこの装備をしている、多分適正レベルだろう、僕達は装備の更新を怠ってきているのであれだが、まあ装備の性能の差が戦力の決定的差じゃない事を教えてやろう。ところで、そういえばさっき学園と同じ方式といったが、学園よりも近未来的ではある。僕達の上にウィンドウが開き、プロフィールやオッズが表示されていた。彼のレベルについて言及したのはそれによる。オッズは1.3:2.1で僕達の方がやや高い。まあ、初めての参加だしそんなものだと思うが、それはそれとして勝てないと判断されるのは屈辱だ。そもそも、僕達はデータの処理上の問題で二人で一人と見做されている、それで勝てないんじゃないかと判断を下すはどう言う事だ。
「では挑戦者tokage、そこまで不満と言うのなら存分に戦ってください。具体的には、10連勝をお願いします。」
まあ、構わないけれど……あからさまに戦果を期待されるのはちょっと。でもまあ良い、二人で頑張ろう。手始めに僕は炎の玉を撃ち放したが、弓の人は軽くステップを踏んでそれを交わす。そこにナビさんが突撃し、剣を振った。弓の人はまたそれを避けて、矢を数本放つ。矢の一本がナビさんの肌を掠めるが、ナビさんはそれに怯まず剣で切りつける。先程装備の差が云々と言ったが、ナビさんの剣は上級プレイヤーから貰い(?)受けた物なので、話が別だ。相手にも結構な脅威である、そこで出来た隙を狙って僕はいくつかの石の槍を飛ばす。この試合に簡単な事だ、一人で二人を相手するには、まだレベルが足りない。弓使いの人の弓が僕に当たる。動き回る中で小さい的に当てるとは良い腕をしている、まあゲームなので体力が減るだけだ。痛いが、そこまでではない。無視して相手に炎の玉を投げつける。相手の処理能力が追いついていない、ナビさんの剣も僕の魔術も避けられずに彼は一気に劣勢に追い込まれていく。
数分としない内に僕達の価勝ちという形で決着はついた。続けて戦えますかとナビさんが聞いてきて、まあと答えるとナビさんが青いウィンドウを弄って、おそらく準備期間の設定を弄ったのだろう、すぐに新たなる対戦相手がリングに入ってきた。相手は肌が黒い人間だ、リアルでも黒色の人種なのだろうか? そう言えば僕の赤の世界で村を作っていた人もアフリカンアメリカン、肌が黒いアメリカ人だった。だから肌の色で国籍を判断するのは難しいかな。アフリカの人だったら、このゲームは世界進出しているんだなあと思えたのだけれど。
そもそも、今の時代はどこを探しても白人や黒人に黄色人種のいない国は見かけない。市街レベルだったら単一民族でできているのはざらにあるけれども、大抵の国は様々な人種が入っている。人種の坩堝はアメリカだけの特権では無くなってきているという訳だ。まあアメリカの混合度合いに勝てる場所は知らないけれども。とは言え、世界中に様々な人種が広がっている事は確かだ。だから、別に肌の色が国籍の指標になると考えることは非合理だ。黄色人種をアフリカで見ても現地の人かな?とは思わないけれども、南北のアメリカ大陸で見かけたら普通にそう思う。黒色人種や白色人種ははその国の言葉さえ流暢に喋れてれば二世かと思うし、ぶっちゃけ黄色も黄色で中国や韓国の人は自国が暮らしづらくなって国外へ移住とかも普通にしてるので、黄色もどこでもみる。ナンセンスだ、肌の色で国籍やらを計ろうとするのは。
そもそもアメリカや日本みたいな少なくとも百年前から列強に名を連ねている国はともかく、そうでない国はかなり貧富の差が激しい。日本を列強として数えあげるのは清が頼りなくてアジアの盟主が居ないから俺が立候補したろみたいな、隙間産業的な地域大国だったので、どうもあれだけれど。まあともかく西欧の文化に自国の文化が侵略されるムーブメントに乗り遅れた国は、孫正義やビルゲイツみたいに桁違いに裕福な人は居ないのだけれども、庶民の貧困の度合いがひどい。まともに飲める水すら危ういとはどういう事だ?
もちろん、世界各地の貧困に喘ぐ人達を救ったところで、食糧問題が加速したり一気に増える人口に技術と資源が枯渇されるのは目に見えているが……それでも思うところがないというのは嘘だ。2017年の日本では本の価格は500円くらいだったか、20円やそこらのお金でワクチンが一つ変えて、子どもの命が救えるとかの広告を真に受ければ、必要もないのに本を買う事は25人の子供を見殺しにすることとなる。まあ救うのはその場凌ぎなんで長く苦しむ時間を増やすだけにもなるし、なんだったら現地の支配層の腐敗がイカれているので、日本で普通に日々を汗水垂らして生きる人に見殺しにした責はないが。それが罷り通るのなら、先進国に産まれた事自体が罪なのだと言う意見も通りかねない。なんの差別だ? でも、実際に今苦しんでいる人達がいるのも事実だ。上手くいかないものだな、神よ。ある人は人が神試してはならないと言うが、貴方がもし存在していると言うのならとっとと彼等を救ってみたらどうですか。またキリストを産ませる気と言うのなら、早く救世主を遣わしになってくださいよ。……と、冒涜的な事を考えもする。ああ、で、そうだね。話が逸れた、アフリカにだって電気が通っている場所はあるし、プレステやスマホを持っている現地の人もいるし、あるプレイヤーがアフリカ国籍だからと言って、そのゲームがアフリカにまで普及してるとは到底言えないよ。英仏蘭かアラビア語を押さえるだけでアフリカの大抵の場所は問題なく暮らせるしな。たった四か国語を追加するだけでワールドワイドになるなら安いものだ。
そんな複雑な考えを巡らせていると六戦目にさしかかった。急にレートががくりと下がり1.1あたりにまで下がった。5連勝した事で階級が上がった事と、今度の相手は上のプロフィールを見るに初心者の人だからだろう。上空に表示されているプロフィールに連勝中だの勝率だのが書かれていて、僕は勝率が1だから、当然オッズも下がる。更に七戦目になると、急に上に表示されるウィンドウに、観戦者のカウントがつき始めた。現在は122人が観戦してるらしいが、それでもまた少しづつ増えていっていった。八戦目になると、オッズがもはや1.01を切った。150人近いのに1.01の倍率って、どんな組み合わせなんだ? 逆に、九試合目は調整が入ったらしく、1.8:2.4の倍率にでこちらのオッズが高くなった。どんな計算式で出しているんだ? 客寄せ的な試合なのかな、どっちにかけても美味しい倍率だ。まあそもそも、運営なんて幾らでもお金を擦れるしな、プレイヤーのお金だってプレイヤー間で消費する分には減らないけれど、運営との取引で失わさせればインフレも起こらないし。そこそこ手こずった九試合目が終わる頃にはナビさんも僕も結構満身創痍だった。ナビさんがつい最近騎士になった事で、体力はまだあるが、魔力の方がお互いに底をつきかけている。ナビさんはまだ戦えるが、僕なんて魔力が切れたらただのペットだからな。少し、不安がある……。
十試合目の相手は、異形の人だった。戦歴は2593試合中226勝。人ならざる者は、僕みたいに与えられた体を使わないとイかれた構成となり、基本的に戦闘力が失われるので、そこそこ強い方なのではなかろうか。
「君は……トカゲ君だね? 戦える動物型が出た話は聞いていたが、まさか本当にここに出ているとは。」
「戦えると言ってもプレイは私の介護があってですがね。」
ナビさんが答えると、システム上は魔物使いでも技師でも無いようだがと呟かれた。まあ、そうか。ここの試合は団体戦あるのだろうが、僕達はシステムによって一人のプレイヤーとして登録しているわけだから、僕達だけではそこに出られない。なので、一人の選手として二人で出ると言うおかしな事が起きる。でもそれはおかしな事でもなくて、実は魔物使いや技師?と言う人だと一人のカウントで複数のキャラクターで戦いをできるらしい。まあ、単体では全然戦えないからね。それで、僕は魔導士……最近ジョブチェンジなるもので魔法使いから変わったのだけれど、それがステータスにも表記されてるし、どうしてコイツはナビと一緒に登録できているんだ?って言う疑問が生じたらしい。その疑問は尤もだが聞かれた訳じゃないので答えない。まあ、別に聞かれたところで答やしないのだけれど。
まあ、勝率が1割程度の初心者相手にするような異形、二人掛かりで倒せないわけがなかった。人型でないと言うのは只でさえ不利だ、普段と手足の数が合わない状況で二人をいっぺんに相手をするなんて複雑な処理ができるわけがない。記念すべき10勝目は、呆気なく終わった。
「良くやりました貢献者tokage、これでアタッチメントが着けられます。」
ナビさんがそうにんまり笑いながら言うので、お役に立てたようで何よりと答えようとした。したのだが、闘技場から扉を使ってセーフルームに入ろうとしたその時、後ろからさっきの異形の人が話しかけてきた。
「すまないね、少し話がしたいんだが……ああ、もちろん、お礼はしよう。そうだな、トカゲ君には杖を、ナビ君には水着スキンでもどうかな。」
杖とか水着とか別に要らないですと答えようと思ったのだが、ナビさんが食い気味になんでも仰って下さいと返事をした。ナビさん……?
次回は水着?回です。土曜に投稿できるように頑張ります。




