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ちらうら  作者: 湊いさき21
本編
135/167

前書きは読み飛ばしても良い

前回の功利主義や自由主義の話がPVを見るに受けたらしいのでまたちょっと知人から聞いたり哲学の本を読んだりして分かった話を書いてみました。


以下の前書きは1000文字強の注釈ですので興味がある方だけ読んで頂ければ……。


量子力学:一個づつしか飛ばしてない電子が二重スリットを通り抜けスクリーンに干渉縞を作る事から電子や光、その他の様々な物質は粒子的性質と波的性質を併せ持っている事から量子と言う概念が生まれた、これはその概念に関する力学的研究。光の独立性を無視して光は粒子だよと言ったニュートンもあながち間違いじゃないらしい。


コペンハーゲン解釈:結局量子とか言う電子に代表される物質は粒子なのか波なのかどっちなんだいって聞かれてどっちもって答える解釈。シュレディンガーさんが頑張ったけど、マクロな事象はミクロな事象によりできている事から、私たちの体は細胞でできていて細胞だって量子でできているという事から、シュレディンガーの猫にぶち当たった。この解釈によっては人間が観測するまでは50%が生きていて50%が死んでいる猫が実在可能だって、シュレディンガー方程式と言う物を生み出したコペンハーゲン解釈の第一人者が理解しがたい話だとした程難解な理論。


多世界解釈:人が観測するかしないかで世界が確率的に世界が変わるとか言うのに腹を立てたのかエヴェレットさんが私達も確率的に存在してますよと言いだした。つまり、50%死んでいる猫と50%生きている猫は存在せず、50%の猫が死んだ世界と50%の猫が生きている世界があるよって話。結局はコペンハーゲン解釈の域を出ないけど異世界とかSF持ち込まないでとか言う理由でコペンハーゲン解釈派からの指示が薄いらしい。まだ理解しやすいのに……かなしい。


ドブロイボーム解釈:ドブロイさんが産んでボームさんが育てた解釈、粒子が移動する前に観測不能なパイロット波と言う波が出てそれに乗って粒子が移動する結果波の性質も持っているように見えるだけだよって言う、ぶっちゃけ量子力学を否定してるんじゃないかって思える理論。1950年辺りから唱えられて2005年にフランスで良い感じの研究が成されたけど結局存在証明には至らなかった。でも研究して成果を出すには狙い目だし、ちらうらの作者は既存の価値観で納得しやすくてて好き。と言うか波かつ粒子、観測によって変わりまーすって言うのが嫌いすぎて相対的に好き。


この三つの解釈はどれも実証する手立てがなくて実証したからと言ってすぐさま効果が出るような物でもないので、隙間産業的に未来の科学者諸君が活躍できる場面はここだ、理学部に入ろう。

なお、作者は量子力学を学んでないので何か間違ったことが書かれて有ったら誤字訂正ででもなんでも教えてください。

 

 まず、亡霊とは何か、から話しましょうか。


 クロノアデアとの訓練は、朝伝えた通りに除霊の授業となった。亡霊イズ何から始めるとは言っても、始めにやるブリーフィングの大抵はかつてやった授業のおさらいだ。僕が意識を確かに持ち始め言葉を解して話せるようになってから今日まで、カリキュラムもなくやった学習では通常魔術師が触れる事になるであろう所は粗方触れており、後は学び足りない所が何処かを暗中模索で探しつつ虫食いの知識をどうにか実用的な知識にすると言う中々、言っては悪いが、時間効率で言えば悪い方に属すものとなっていた。まあ、彼女と過ごす一分一秒を無駄にしたくはないと思う一方で、彼女とここはどうなのそこはこうこうこう言う事だよねと、楽しく学べる事をすごく喜んでいる自分がいるため、一言でどうだとは言いづらいが。


 だが、亡霊に関して得た新しい知識もある。いや、今まで気づかなかった事と言うか、ニュートンが光を波だとは思わなかったが実は波の性質を有していたように、考えてみれば当たり前の事なんだけどね。ついでに、僕は高等教育の途中までしか受けてないからあまり詳しく知らないが、パイロット波派だったし今もドブロイボーム派だ。そもそもコペンハーゲン解釈派は我々人間の意識がうんぬんかんぬんと胡散臭いったりゃありゃしないし、シュレディンガーの猫とかまさに矛盾だろって問題が有った後にも計算式が簡単だからと長々と蔓延ってる辺り僕はあまり好きじゃない……ああいや、多世界解釈で解決するから、まあイイんだけど……。でもコペンハーゲン解釈より多世界解釈の方が我々人間の意識云々が絡まなくなって宗教臭くないのにコペンハーゲン解釈の方が一般的って可笑しくない? 話に聞く限りどの方程式を利用しても計算結果は同じらしいし、て言うかコペンハーゲン解釈と多世界解釈は方程式が一緒らしいし、ほんと量子力学嫌い……。既存の価値観へ矛盾なく受け入れられるんだったらそれでイイじゃん……人間と畜生の意思になんの貴賎があるってんだ、人間と観測機になんの違いがあるってんだ……人間の観測によって世界が決まるとか言う謎の宗教が入らない多世界解釈をとっとと受け入れろ……。観測者が複数いた時点で世界分岐するだろ、それで分岐してないなら観測する前に既にそこにあるのは決定してんだろから観測には何か意味があるわけじゃないだろ……。


「ぼ、坊っちゃん? あのー、聞いてますか?」


 へ? あ、ああ、うん。聞いてる聞いてる。亡霊にはいくつか種類があって、個人の意思で成り立っている場合と複数人の意思で成り立っている場合、儀式によって生まれた場合と自然に生まれた場合、何か具体的な依代となるキーがある場合とない場合、この他にもあるけど大体これで八つに大分されるんでしょ?


「聞いているのなら良いのですが……ちゃんと聞いてくれないと、悲しいですよ?」


 僕は全神経を集中させて聞いた。


 集中していたので、聞きながら君達に語ることは出来ず、事後報告的な形となる。すまないな。それで、まず亡霊とはなんぞやから始まり結果効率的な亡霊の退治方法はと言う運びになった話は、術式の崩壊をすれば良いのだと言う結論へ至った。まあ魔術の塊なんだから魔術さえ変えて仕舞えばと言うのは納得である。それで術式の破壊を如何に効率的にするかだが、さっきの四つの分岐路による八つの区分が関わってくる。まず複数人の意思で成り立てば、その意思を分割させる事が重要。儀式によって生まれた場合は儀式を探り儀式に対抗する儀式を行う事が重要。依り代があるならそれを壊す事が重要なんだ。なお、悪霊が一人で構成されていて自然発生した依り代を持たない場合の霊は不安定すぎて大方の場合は一ヶ月もほっておけば消えるので対処しなくて良いらしい。まあ、半減期がバリ短い放射性元素だとでも思ってくれ。ほっといたら十分に無視できるほど小さくなって自然消滅するし、なんなら自分の力量的に十分に小さくなればそこで消せば良いのだ。


 そうなると、ゲームのアレはどうなるのだろう。まず群体の亡霊だから、一人ずつの悪霊にわけねば。ああ、説明し忘れたけど群体の亡霊と言うのは、そうだなあ、例えば耳なし芳一に出てくる平家の霊のように、一つの意思の元に纏まった亡霊たちの事だね。それを分割、つまり群をバラバラにするには、例えば一体を選んで別の霊に書き換えてしまえばいい。色々と方法はあるが、平家の霊を源氏を怨み過去を偲ぶ霊達を怨みの霊と偲びの霊に分割し、怨みを自分達を食った事か供養をしなかった事のどちらかに別けて、と言った十分な細分化の末、弱った霊に平家とはまるで関係ない自分の意思をぶつけて自我をあやふやにし、その霊自体の性質を曖昧にさせる。そうすると霊と言う形を取る事ができず勝手に崩壊するなりで弱まるそうだ。


 じゃあ儀式を持って生み出された霊に対して儀式を探り逆の儀式をすると言うのはどう言う事か。それは結構理解しやすく、言ってしまえば霊達への供養だ。平家物語を歌い聞かせて崇め奉ってしまえば霊達が成仏する様なものさ、まあ耳なし芳一では成仏しなかったが。とは言え、蔑ろにされた死者の尊厳をそれに相応しく扱う事によって成仏させる、と言うのは十分に逆の儀式をしてると言えるだろう。


 じゃあ依り代は……って、これに関してはまあ、言わなくともわかるだろう。例えば刀に平家の亡霊が宿っているなら、刀を折ってどこぞの指輪よろしく火山の口にでも入れてしまえと言う話さ。術式を直接的に崩壊させる感じだね、依り代という杖に依って在るなら杖を蹴っ飛ばして転ばしちまえって。


 数学の様だと思った。数学や、化学、いやさ国語すら……とかく、学問の様な物だ。最初から難問へ挑むことはできない。だが、難問を噛み砕き、ステップバイステップ、解る所から丁寧の解きほぐして行けば一見難しい物も容易く解けてしまう。3ステップだけで解けるのなら十分に優しい物だ。高校数学の方がまだ工程が多いぞ。


 ああ、それで話は戻るけど。ゲームのあれはキーアイテムがどうのこうのと言うストーリーだったから、個体にバラす他は依り代を発見してそれを壊せば良いのだろうか。逆儀式に関しては依り代を使って何かせねばならないし、ケースバイケースだが、まあ余程強くなければ無視して良いだろう。とは言え、向こうは群体だとは言え僕の魅了魔術が効かなかったから、相応の覚悟はして置いたほいがいいのかも知れない。


 その後、精一杯訓練をして、帰って体を拭ってもらったりなんだして僕は床に就いた。




「魔術師tokage、ジョブチェンジに行きましょう。」


 僕が目覚めると、出し抜けにナビさんは言ってきた。聞くに、このロードアビスが売られている向こうの現実世界ではサウジアラビアと僕のいた世界で言うロシア東部に位置する聖ロシア皇国と言う二大経済国家の中が貿易摩擦で世界的に不経済に陥って絶賛転職キャンペーンらしい。……ええ? 向こうのロシアって割れてんの? いやまあ、そこら辺は良いや。それで、邪神どもの運営は人を馬鹿にするかのようにゲーム内で転職しやすくしたり商人や国家運営に触れるルートでの経験値倍増キャンペーンを進めているとか。


 そこで話は変わるっちゃあ変わるのだが、前回の敗走とそれを受けた僕から設備の新調の許可を受けたナビさんは早速部屋をアップデートしてタオルを買ったり歯ブラシを買ったりして、更に自動で行ったところが記録される魔法の地図なりポーション作成キットなり、色々な役立つ物を優先的に購入した。だが、彼女はそんな負けた後の事ばかり優先的に対処しても仕方がないと思い、彼女は対策を練ることにした。


 亡霊の退治が続いているためこれからも似たような事ばかりをすると言うのなら、神職に就いたキャラクターを仲間にできるクエストを攻略するのも良いし、そうでないと言うのなら一度だけストーリー進行をを手伝ってくれるプレイヤーを募るのも手だし、あるいは既に味方キャラクターである自分が転職してしまうのも手だろう。そう考えた末に、転職キャンペーンもやっている事だし後者の自分が転職すると言う結論に至ったらしい。


 ジョブチェンジと言っても、何処か特別な場所に行くわけではない。いや、ある種特別ではあるけど、いつぞやの様にナビさん(本体)と会いに教会へ足を運ぶだけだ。あんまり意識してないが、僕の世話をするナビさんは分霊であり本体との力はだいぶ掛け離れている。本体が定めたジョブと言う方向を利用してスキルを与えることはできても、本体その方向を変えることはできない。だから本体と会う必要があるそうだ。


 特に拒む理由もない、僕はナビさんに抱きかかえられ外に出ると、閑散とした街を通って教会へ入った。ナビさんがルームを閉じてくれていたと思ったのだが、どうも違うらしく、皆んなゲームをする余裕がないらしい。国によっては禁止してる場所もあるだとか。笑えるなあ……まあ、いいや。


 教会で二次元的な赤と青と黒のノイズを発しながら現れてきたナビさんはいつにも増して綺麗に見えた。と言うよりかは、魔法的な精神への干渉が僕の身に起こったので、そう錯覚した。僕の不安定な解釈によって醜いと思えば思えるので、大したものではないのだろうが……客離れ対策か?


「反抗者tokage、私は素直じゃない貴方が嫌いです。」


 そう言われても、魅了の魔術に対して嫌悪感を抱いて打ち消すのは急激な印象変化に対するある種の反射の様な物だからなんとも。むしろ積極的に魔術の影響下に身を置こうと言う歪んだ姿勢じゃなく、平常通りの素直な姿勢で受け止めた結果が醜いと思えた今な訳で。


「まあ良いでしょう、私から話は聞いています。良くまたこちらへ来ましたね。Char.Naviは騎士へ変わる様ですが、貴方はどうしますか?」


 騎士というジョブは回復魔法も使える戦士らしい。僕は魔法使いのままでも良いが……回復魔法というか、魔法全般を使える様な物はないのだろうか。そう尋ねると賢者や死霊使いがそうではあるが、まだソレにつけるレベルではないらしいので、僕は遠慮する事にしようとしたが、分霊の方のナビさんの勧めで、魔導士と言うジョブになった。


 魔導士……あまり関係がないのだけど、魔道士って帝国内にも称号が有って、その称号が与えられるのって国へ研究論文を出した人なんだよね、学士号みたいな……。とは言え現在日本みたいに大学に入る全員が論文を強制的に書かされる訳でなく、帝国で学校を卒業しただけの人用の術師号もあって、導士号の上に導師号と紛らわしい名前もあるので、準修士号的な立ち位置かもしれない。こちらでは魔法使い、一般的な人達より凄いというのは変わらないらしく、魔法使いよりも弱いレベルで強いスキルが得られるそうだ。あまりゲーム内でのレベルアップをしたくない僕にとっても都合がいい。


 その後、ナビさんによるスキルの授与を受けて、僕は金縛りの魔術のスキルを、分霊のナビさんはホーリーシールドとか言う亡霊を退けるスキルとヒールとか言う体力を回復させるスキルを得た。……その物の状態を時間を遡ったり早送りして操れる僕が言うのも何だけど、回復させるって一体どんな仕組みなんだろう? 怪我の治療なのか、それとも強化の魔術の付与だろうか。ゲーム的なデータの改竄と言うのならまあ納得だけど、それはそれで心情的に微妙だ……。ついでに、一般的な回復の魔術は強化の付与であったりするが、流派やら何やらで一口に語ることが難しいので割愛。


 さて、話をゲーム進行に戻そう。ナビさんが事前にキットを使って作ったポーションなどの準備を確認し、僕達は早速深き池沼へと移動した。そして見つけた亡霊に対し、クロノアデアから習った霊を別の思想で上書きする事を意識した強い魅了属性の魔術をぶつけてみると、確かに亡霊は暫くの間は動かなくなった。恐らく亡霊として独立したのだろう、目に見えて霊としての存在力が弱くなった。今回の魔術は消費度を考えればフルで打てて20発くらいで、群から囲まれてしまった時に逃げる事を加味して平時では10発程度だろう。


 他にも、ナビさんから与えられたスキルも使うと同様の効果が得られたが、魔力の消費量自体は格段に低く、確かにスキルと言うのに依存するプレイヤー達の気持ちがわかる。応用は利かないがな……実際に、前回僕がやった失敗と同様に亡霊群の個体を指定していないままで打っても、球が当たった個体だけ金縛りにあった。性質で対象を決定する方式でない……?


 色々と邪神側の魔術への興味が尽きないけれど、それでもいい感じに進めれらることはできた。


 しかし、今回は一体どんな冒険が待っているのだろう。そんな事を考えている自分を認知し、ゲームとして楽しんでいるんだなあと思った。


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