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魔物と契約 3

 力が。

 僕を食い破るはずだったはずの力。

 人智を超越した圧倒的な力が、自分の中に宿ったのを感じる。

 

【新魔法を習得

 <闇哭(ディグ)>

 <死線の(シャドウ)綻び(グレア)>

 <黒水(レガジテイト)の鏡(キャスト)>

 <汚穢の(サークルオブ)加護(ヴェノム)>

 <悪意の(ヴィラナス)領域(レイヤー)>】

 

 自分の手の平を凝視して、ステータスを映し出す。

 

 

 【名前:ルカ・デズモンド

 HP: ?$8?9? ?$(s??$キ?? 3??キ?$u?$?? ?キ? V?キ ?D$ キ aキ キ ?p S? u?$?キ@キ???RSW????p?p?? 3キw$U? 3??P?$? キキ fキ キ f? キ ?? tジョブキ$? キキキ ??キ$??? tキ$??? tキ$??? tキ$?$??Xdキ ;w$?$キ????$][^??][2?^??2?^????キ ???e 3??$ ?$ V?$ ?|?キ ?$? ? レベル キ;?? 9? wキ V???キキ ?|;? ~??$ S?? ?D Wキ? ?{4 キ ?$?キ 筋力: ;?$キ ?s'??D$キ?$j v'????キ?? PV?$<キPW???キ?D$' キ?$4キ?P? j RW???D技量:$'?$キ ?$|??$?P アビリティ??H?$ ?P?$t?H ?$キ ?$キ キキT$L?D運命:$T ? ? ?|$ ?$h?$Tキ?|$tキ?t???|$ t

?$$゜?;??t?キ?$?2?9?(?キ? キ? MP:34/65

 内部エラ?$キ キキT$L?Dより、著しいスタキ?D$' キ?$4キ?が発生しています。

 念のため作業?$$゜?;??t?ータを保存し、プレイをPW???断してログア?$|??$ください。】

 

 また、このエラー表示か。

 ダズと同じ、魔物と契約した人間のステータス。

 結局目的であった自分のデータを見る事は叶わなかったが……まぁいい。

 感触で十分分かる、僕は強くなった。

 いままでとは完全に別次元の存在に、自分が進化したのを感じる。

「どうじゃ? 満足かのう?」

 黒い女が、凍えるような撫で声で僕に尋ねる。

 彼女の声と共鳴するように、僕の内側の黒い液体が波立った。

 それは両の手の平より、まるで湿った雑巾を絞るかのように、邪な黒毒となって滴り落ちる。

 それは魔力の塊であり、僕の心を満たす祝福でもあった。

「あぁ、満足だ」

 僕は半ば一人言のようにそう呟いて、その液体を顔に塗りたくる。

 それは優しく僕の皮膚を多い、外側はゆっくりと冷えて硬化していった。

「ほう? 仮面か、まぁシンプルで良いかもしれんのう」

 コールタールの様な液体は、僕の思うがままに成形が進んで行く。

「過去の自己を否定する儀式としては、打倒じゃな。それで、それは何の仮面じゃ?」

「そっか、こっちの世界に『これ』は居ないのか」

 造形を指でなぞり、その出来栄えに満足する。

「これは『鬼』だ、僕の世界にかつて居た、化け物だ」

 いいな、これなら……

 黒い液体をさらに絞り出し、さらにもう一つ、アイテムを生成しようとイメージを沸かせる。

 堅い鋼、それを覆う柔らかい鉄、直線的な刃、頑丈な鍔、そして固く軽い鞘。

 そう、日本刀だ。

「ル……カ……」

 ロナの声。

 久しぶりに聞いた気がした。

 見ると、彼女は紫色に痛々しく腫れ上がった右手を抑え、必死の形相で立ち上がっていた。

「おね……がい、魔物から……離れて」

 傷はそれだけじゃない。

 彼女は矢尻で自分の胸を貫き、おびただしい量の血を流していた。

 池の様に大きな血だまりを持って、数多の赤き魔導書を作り出していた。

「うるさい小バエじゃのう、大人しく寝てれば良いものを」

 魔物はそういうと、全身に魔力を充填させる。

 体中のタトゥーがまるで生物の様に蠢き出した。

「よせ。ティトラカワン――」

 僕はそれを片手で制する。

「――あれは、僕が」

「殺すのか?」

「まさか、彼女は大切な人だ」

 そう言って、産まれたてのその武器を鞘から引き抜く。

 魔物の力を練り込んで作られた、僕の漆黒の刀。

「ルカッ!」

 少女の絶望的な悲鳴が木霊す。

 でも、その言葉は僕の耳には届かなかった。

「僕はもう、ルカじゃない!」

 僕はもう弱くない。

 僕はもう、モブじゃない!

 鮮血の魔導書が、一斉に開かれる。

 ページがバラバラと捲られ、次々と血の飛沫が迸る。

「私に、貴方を殺させないで!」

 彼女の周囲の温度が上昇し始める。

 ロナの背後から真っ赤な火柱が上がり、その焔は巨大な竜の顔を模った。

 ――邪魔をするな。

 僕はもう僕じゃない。

 何もかもを捨てたんんだ。

 弱さも、正しさも。

「改めて自己紹介をしようか――」

 そう言うと、僕は闇の領域を周囲に展開する。

「――ようこそ第十層ワールンの舞台へ、我が名は『デズモンド』、黒の王の眷属の一人だ――」

 その言葉は、魔法の詠唱と共に勝手に零れていった。

 意識とは無関係に、内側から湧き出るような声。

 「――我が主『囁く者、ティトラカワン』に代わって、僭越ながらこの僕がワイルドキーパーを務めさせてもらおう」

 赫の炎竜が咆哮を上げる。

 灼熱が舞台を覆いつくし、世界が陽炎によって霞んでいく。

「これは少しマズそうじゃのう。加勢するぞお前さん」

 魔物の放った黒い波動は僕を背後から押し、そして彼女の放つ熱波と激突した。

 二つの力は猛々しくかち合い、膨大な魔力の渦がその場に巻き起こる。

 その竜巻の中央で、僕と少女は対峙する。

「どけ、ロナ・ヴァルフリアノ。僕は僕の夢追い旅を完結させる――!」

「退くのはそっちよ、ルカ・デズモンド。いい加減目を覚ましなさい――!」

 それを合図に、僕は刃を振り上げた。

 

 

 ――舞台の上で、最後の演目が始まった。

 

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