呪い…?
「ったくさーたった1日真面目に働いただけでぶっ倒れるまで飲むか?普通飲まねぇぞ…」
「うー面目ない…」
あのあとあたしは特に誰に介抱される訳でもなく、床に放置されていた
マスターが言うには、また、酒でも飲んだのかと思われてたらしい。
昨日の記憶が曖昧だから否定できない…でもワインなんか飲んでないような…
ま、それで、朝おっさんが迎えに来て今に至るわけだ
「ところでさ、今日何かあるの?」
「ん?…あぁ、ちょっとな。でもなあまり、良いことじゃねんだけどな…」
「えーなになに?教えてよー!」
「わーたから暴れんな。まぁこの町に、不幸にも悪霊に取り憑かれて呪われてる子がいるんだ。まぁそれを抑えるための薬の効き目が約一年…というわけだ。」
「えーと…その子のためにおっさんが薬を作ってたって訳?」
「まぁそういうことだ。あまり、楽観的にとらえるなよ。」
呪い…とは、一般的には魔法使いによる呪文等によりかかってしまったり、死者の霊に取りつかれたりするものであり、RPG世界では良く装備品が呪われてることがある。
あたしは、体験したことはないけど、城の騎士がたまに呪いの装備を装備して教会にいく姿を見かけることならあった
「そういえば、ただの呪いなら教会でお祓いしてもらえばいいんじゃないの?」
「あー…それがなぁ…できねんだよ」
「できない?」
「実はな……」
とある町外れの屋敷の一室
「もう一年たつのか…今年もコールさんは薬作ってくれたのかな?」
部屋の中心に椅子が置いてあるだけで他には何も置いてない部屋には、椅子に腰かける少年が一人いるだけだった
扉が開けられることなく外から女性の声が聞こえた
「マックス?コールさんの所に出掛けるよ?」
「分かった、ママ。」
扉の鍵が空く音と共に、椅子から立ち上がりその少年は扉に手をかけた。
「本当にあの子が…?」
その屋敷を外から見上げるのは、酒場でシルフィアと会った銀髪の子だった。
屋敷を離れ、町の中心部へ向かっていく馬車をただ遠目に悲しそうに見つめていた…
「その子に取り憑いているのはなぁ、まぁ…あれだよ。」
おっさんは悩んだような表情を浮かべ、
「そんな勿体ぶらなくていいって!」
「五年前に死んだ魔王なんだよ。」
「…え?」
「って…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「おいおい…驚きすぎだろ…」
おっさんが半ば呆れているが、本当に驚いたんだから仕方無いと思う。
「ま、魔王ってあれだよね?五年前勇者、剣士ダイアン、魔法使いサファード、賢者ルビシアの国で一番強いと言われる伝説のパーティーが倒したやつだよね!?」
「おいおいよってくるな…そうそうそれだよ。だから…まぁあれだ、気を付けろよ。」
あたしはテンションを落ち着かせ、昔のことを少し思い出しながら軽く
「…うん。」
と、だけ答えた。