あたし旅に出たい!
国歴256年10月17日
「どうして駄目なの!?」
母親譲りの美貌、父親譲りの金色の髪を持つシルフィアは今日で15歳の誕生日を迎える。そして今、城内では、式典の準備が開催されていた。
シルフィアが話しているのは、母親アリー王妃と、父親シルバ王の二人だった。
「どうしたんだ?急に旅に出たいなんて言い出して?」
優しく諭すようにシルバ王は問いかけるが、その裏には何者も圧する迫力がある。
ことの発展はシルフィアのこの発言である…
「シルフィア・ハート・エリス・フィリア。今宵で15の誕生日。大人への第一歩だけども何かほしいものがあるかしら?」
「はっはっシルフィア、欲しいものは何でも買ってやるぞ。」
「旅に出たい!」
かれこれ30分言い合いが続いているのであった…
「だってお父様はなんでも買ってくれるって言ったじゃん!男に二言は無いんじゃないの!?」
痛いところをつかれたかのように一瞬顔をしかめて
「むっ…確かにそうだが…………よかろう。最低限の装備はこちらで揃えてやる。だが、万が一危険になったら、この魔法石を使え。一瞬でここまで戻ってこれる。」
「ありがとう!お父様!だーいすき!」
「ちょっと!シルバ王!第一王女としてシルフィアを危険な目に合わせるわけにはいけません!」
「可愛い子には旅をさせろってモノだよアリー。」
こうして、フィリア第一王女の旅が始まったのです。
「あの子大丈夫かしら?」
「なーにワシ達の娘だ、そう簡単にはしなんよ。」
「あら?シルバ王?ワシだなんて…まだまだ若いんですから。」
「もう子供が大人になった時点でおじいちゃんだよアリー。それにどうせすぐ音をあげて帰ってくるだろう。」
「そうだといいですね…。」
10月18日
式典を終えて、次の日の早朝。
「じゃあお父様!お母様!いってきます!」
旅に出るシルフィアを見送りに来たのは一部の使用人、シルバ王、そしてアリー王妃
王から布の防具、鉄の剣、を持ち城から王に見送られて出ていく姿はまるで勇者だ。
城を離れ、しばらくいくと案の定魔物が現れた
「ははーん、スライムなんてなめてもらっちゃ困るわね。こんなの一撃よ!」
miss!
「あれ?もう一回!」
miss!
「あーもう!ちょこまか動くな!」
※動いてません
miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!miss!
「あんたスライムのくせになかなかやるわね。でもあたしは宮内で剣の扱いに誰にも負けたこと無いんだから!!」
※普通のスライムです
miss!
スライムの攻撃!
1ダメージ!
「きゃ!こ、こんな一撃じゃ私は倒…せ…な………」
シルフィアは力尽きてしまった。
…おい!起きろ!起きろ!
ん?なんだか声が聞こえるような…そうか私は負けたから、教会にいるんだろうな…
「起きろってんだろーが!」
「きゃァァァ!…脅かさないでよ…ビックリするじゃない」
「こっちの方が驚きだよ…今時魔物に戦闘を挑みにいくやつなんていねえよ…」
目を開けるとなんとも小汚ない小屋の中のようだった
そしてあたしを助けてくれた?人は素敵なイケメンでは無く、だらしなく無情髭を生やし頭にターバンを巻いておりいかにも胡散臭いような見た目だった
「別に私が何しようと勝手じゃない?それじゃあ助けてくれた事には礼を言うわ。それじゃ。」
「それじゃって…悪いけど馬車の中だぜ。」
「え?」
「いや、だからフルールの町へと続く商業馬車の中だぜ。」
フルールの町…確か私が住んでいる場所から馬車で4時間半…って
「…えぇぇぇぇ!?!?」
「あんた!おかしいでしょ!普通道端にこんなか弱い女の子が倒れてたら近くの村の宿に置いとくのが普通でしょ!」
「イヤイヤ、そんないかにも冒険者っぽい服装をした人を、近くの村の宿に置くより移動させた方がいいだろ?…もしかして?」
「あーもうそうよ!あんたのせいで!」
「フルールの町から首都へと向かっていたのか…こりゃあ悪いことしたな。」
「ち・が・う!もう!こんなことなら冒険にでなきゃよかった。魔法石使って帰ろーと。」
早くも音をあげて魔法石を使い城に帰るため鞄の中を探した。
…あれ?
あれ?あれれ?
どこにも
どこにも
「なーーい!?」
「あぁもうさっきからうるせえな!今度はどうしたってんだ…っておい?泣くなよ…俺が悪いみたいじゃねぇか…」
「だってぇ…グス…魔法石が…魔法石が…」
「魔法石?あぁあれだろスライムが持ってたと思うぞ? 」
RPGあるある
重要なアイテムほど戦闘不能時よくドロップしてしまう
「もう…あたし帰れない…う、う、わぁぁん」
「だから泣くなよ、うっせえな…俺がどうにかしてやるから泣き止めよ。」
「グス…ホントに?」
「あぁホントだ。」
「ホントにホント?」
「ホントにホントだ。」
「男に二言は無いよね?」
「あぁ無い無い。」
「あぁならいいわ!あぁーよかったよかった!どうなるかと思ったわ!」
「おま….」
さっきまでの姿はまるで嘘かのように立ち直り、涙声もまるでうそ泣きだったかのように…
「で?どうするの?」
「ん?あぁうちで働け。」
「…え?」
とりあえず、一次審査とかそれ以前に10万字目指して頑張ろうかとw
8月18日追記
脱字報告感謝。修正しました。