試験直前
そんなこんなでこれから一年新たに過ごす教室にたどり着く、まだ教室内の人影は散漫だったが
明らかにわかることがある それは男女比に大きく偏りがあるということだ、というのはこの学年は例年にも増し
女子と男子の人数比が8対2とダントツで女子の人数が多いのだ、従って自ずとクラスの中は男子にとってなんとも言えぬ、それでいて居心地もそう悪いというわけでもない空間になるのだ。
まぁ、そんなことを気にしても仕方がないので自分の座席を探す。
「俺の席は… あっ、ここか」
席は窓側の前から4列目だった。
なんなく自分の席を見つけることができ、席につきながら今日の一日の日程を確認しようと使い慣れた情報端末を探っていると
どうやら先にきていた隣席の子が話しかけてきた。
「あっ、もしかして黒峰君だよね?
そうだよねぇ~⁈」
珍しいものを見るような目で見られた。
なっ なんだよ突然、顔見知りだったかなこの子?と内心戸惑いつつも応える。
「ああ、そうだよ」
「やっぱりね~‼」
なんで俺の名前知ってんだ。
「どうして、俺の名前を?」
当然の質問だ
「そりゃあ、知ってるよ
なんたって筆記の試験の点数だけでココ受かってる有名人さんだもん」
「なっ⁈」
そう、俺がこの学園に入学できたのは言うまでもなく筆記試験の点数が歴代の合格者トップの数字を叩きだしたからだ。
通常この学園の入試は、筆記8教科に加え能力の実技試験との総合得点で決まる、当然俺は実技においてはビリだ
なんたって能力を使えないんだからな。
だから、筆記試験の点数だけで入試なんて言われてもうれしくないのが正直な気持ちだ。
しかし、なぜ今更そんな話しを。
「あっ‼ていうかいきなり話しかけてごめんね。」
「あたし 福浦 妃登美
ヒトミって呼んでよろしくね」
どうやら顔見知りではなかったようだ、にしても切り替え早いな
それに短髪でずいぶん活発的そうで
愛想もよく、親しみやすい印象を受ける。
「俺は、黒峰タクトだ
よろしく頼む…ヒトミ」
「俺のことは好きに読んでくれ」
「オッケー、ならタクト君でいくから」
本当に明るくて、……馴れ馴れしいヤツだな…。
「にしても本当凄いよね筆記試験総合789点なんて、平均98以上じゃん」
まぁ、確かに勉強の面においては自身はある。
「そこそこだ」
「なら、実技の方はどうなの?
去年のランクは?」
どんな反応をされるか大体想像もつくが、嘘をついても仕方がないので正直に応える。
「Bだ」
「えっ‼ 嘘、なんで」
それもそのはずだ、シーカーとして情報処理能力が早ければ早いほどバイジエスは強くなり、より高度な術を練ることができる
つまりは、頭が良ければ良いほど
優秀なシーカーとなり高ランクを持っているというのがこの世の常なのだ。
驚きを隠せないのも当然といえる。
「俺は、少し周りと違うんだよ」
「ど、どういうこと?」
「簡潔に述べるとするならば
バイジエスが生まれつきないんだ」
「えっ…そ、そんなの…聞いたことないんですけど」
「そ、それじゃあ 自分じゃ何もできないってこと?」
話が早くて助かるな。
「そっ、つまりはそういうことだ。
そのおかげで生まれてこのかたBランク以外とったことがないんだ」
なんだかさっきから俺のことばっかりだな、
「そういうヒトミはどうなんだ?」
んっ⁈なんか目つきが変わったような…… 顔も…
「ハッハ~ン 私は、バカだけどAなんです‼」
なるほどそういうことか、外見だけにとどまらず活発的だな
たしかにAとはなかなかだ
たが現代社会におけるランクでAなどザラにいる。
だかその上の高みへ行けるのは化けもんだ。
そしてその現在確認されてるSランクは世界で4人しかいないそうだ。
「そうか」
「てっ、何よその反応」
「えっ…あ、ああ 悪い」
と、そこで
「生徒の皆さんは、学年ごと
ガイドのホログラムの指示にしたがって能力値判定試験の会場に集まってください。尚始業式もその場で行われる予定です。」
放送が流れる
気が付くとクラスの中は大体人が集まり新クラスの顔ぶれが揃いつつあった。
「オイッ、 タク行こうぜ」
今までどこにいたのかジンが突然現れた。
「ああ」
「って、ヒトミじゃねーか
お前も同じクラスかよ」
「なんだ知り合いか?」
「中学のころ3年連続同じクラスだったんだよ、知り合いとかそういうんじゃねーよ」
…なんだ⁈ 若干喧嘩腰だなぁおい
「ハンッ! 誰がこんなやつと
こんなヤツほっといて早く行こタクト君」
「こっ、こんなヤツとはなんだよ!
タクそんなヤツほっといて行こうぜ」
「なぁっ⁈ なんですって!」
…うわぁこの二人揃うと色々大変だなぁ、てか以外と正確とか似てるかも
「はいはい いきますか」
そんなことを考えながら
今年も試験が始まろうとしていた