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KEEP OUT  作者: タクミ
3/5

学生誘拐

北斗視点



「うっ・・・・・ん」



唐突に目が覚めた、気だるい体の上半身だけ起こすと頭に鋭い痛みが走った。その痛みに思わず頭を抑えて蹲った。



そして気づいた。



自分が今いる場所は見慣れたスラム街ではなく、コンクリート打ちっぱなしの壁が広がる、何の家具も置かれていない、殺風景な部屋だってことに。



そして思い出した。



俺たちは全身黒服の少女に殴られたって事に。



どうやら、俺たちは誘拐されてしまった。




そう理解すると一気に顔が青ざめていくのが分かった。そこで乃原のことが心配になり周囲を見回したら、俺の直ぐ横で気絶していた。


その姿を見てとりあえず安堵の息を漏らした。





この先どうしようか・・・・



一般の男子高校生の俺では何もできないが、精一杯頭を働かせた。




確かアノ少女から血のにおいがして・・・・ソレを少女に言うと殴られた。やっぱり、血のにおいがしたのは確かッだったんだ。



だから俺たちにソレがバレたからココまで誘拐したと・・・・・




そこまで考えると俺の脳内には一つの言葉が浮かんだ。





「殺される」と・・・・・






ヤバイ・・・・   血の気が引いた。



まさか17才という若さで死ぬことになろうとは・・・・・。俺はもっと青春を謳歌したかったのに・・・・・



イヤ、そんな事考えている暇は無い!早くココから脱出しなければ!





「オイ!乃原起きろ!!」



大声で名前を呼びながら、肩を強く揺すっても乃原は目を覚まさない。



早く誰かが来る前に逃げないといけないのに!!




強硬手段として殴り起こそうとと拳を作って、ソレを高く上げた。




大丈夫。コイツなら殴ったって良いさ。 それで頭が可笑しくなたって、コイツはもとから可笑しいから大丈夫。死ぬよりかははるかにマシだろう。



そう勝手に決め付け。上に上げた拳を振りおろそうとした時・・・・・・







パシィ―




振り下ろす前に後からその腕を掴まれた。





一気に背筋が凍った。   恐怖で段々呼吸はしづらくなった。




誰かいる・・・・ 俺の後ろに誰かがいる。 きっと俺を殺そうとしているやつらだ。




殺される!!





「駄目だよ?女の子に手をあげちゃ~」




恐怖で体が硬直して、動けないでいると後ろからそんな明るい、少女の声が聞こえた。コノ場に似つかわしくない、声だった。




俺の腕を掴んでいる奴の声に違いない。



そして、その声には聞き覚えがあった。






アノ、血の匂いがした、全身黒の少女の声!!





冷や汗をたれ流して   腕をつかまれたまま、恐る恐る声のした方を振り向いた。






そこには、確かにアノ全身黒の少女がいた……




最初会った時は、帽子で顔が隠れて見えなかったけど、服装がさっきと同じでアノ少女なんだと分かった。そして、今帽子を被っていないから少女の顔が良く見える。






少女の顔は・・・・・









グラァ・・・・・




その時




視界がゆがんだ




視界が狭くなってきた




視界が暗くなってきた





そして






視界が失せた





第3者視点-




少年はそのまま気絶してしまった。全身黒色の少女の顔を見たとたん、プツンと糸が切れたように倒れてしまった。


少年と一緒に居た、今だ気絶している少女を守るようにして、覆いかぶさって倒れてしまった。




気絶してしまった少年の顔は酷く青ざめていて、何かに恐怖しているようだった。息が浅く今にも死んでしまいそうだった。



そんな気絶している少年を見て、全身黒色の少女はニヤァと笑って見せた。




「ありゃー気絶しちった~」



間延びした言い方で、酷く楽しそうに言った。 そんな少女の声は、今の状況と全く合っておらず、少女だけが別次元にいるようだった。



そして少女の顔も酷く楽しそうに笑っていた。





綺麗に整った顔立ちを綺麗にゆがませて、気絶している少年達を見下ろした。それはどこか一枚の絵のようだった。




「さぁーってどうしようかなぁー」



少女は呟くようにして、言葉を吐いた。






そして次の瞬間。



笑うように細めた目をゆっくりと見開いた。 ソノ目には全く生気が感じられなかった。


まるで死人のような、光がなくただ、闇だけの目。 何の希望も持たない、絶望しか感じていない目・・・・・。イヤ、絶望すらも感じていない。本当に何にも感じていない目だった。




その目には何も映っていない、気絶している少年達も映っていない。壁や床や天井すらも映っていない。少女は目に何も映すことは無かった。




少女は何も見ていなかった。




自分自身すらも・・・・・。






そして少女は目を開くと同時に笑みをやめ、完全な無表情となった。





少女は無表情のまま、何も見ることなく ポツと呟いた。








「悪なら殺せたのに」





コレは誰に向けていったことなのか。




あるいわ唯の独り言なのか。





それは少女にすらも分からない。

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