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KEEP OUT  作者: タクミ
2/5

通常学生

翌日の昼       別視点


スラム街 大通り  



俺たちはそこで昼飯の買出しのため、ウロウロとしていた。スラム街だからって、大通りには結構人がいる。地べたに寝ている奴も多いけど・・・。



でも、そこまで治安が悪くないのがココ。

大通りだ。




「うわぁ・・・またッ例の事件ですよー」


「例の事件?」




俺の隣で歩きながら新聞を読んでいる少女―俺の親友である高道タカミチ 乃原ノハラが、何か呟いた。



それに俺―椎谷シイヤ 北斗ホクトは首をかしげた。



「そう例の事件!」



そう大きな声で言いながら乃原は、広げた新聞を両手で高く持ち上げた。


目立つから止めてほしい・・・・・




「イヤだから例のってなんだよ・・・」


「アレですよー!ホラ!自分たちの事を『正義』と称する集団が、犯罪者達・・・所謂『悪』を殺していく事件ですよ!!」


「あーアレねぇ・・・何?また起こったんだー」




乃原が言う事件は最近ココ-スラム街で多発している不可解な事件だ。


一般人の俺は詳しいことは知らないが、何も自分たちを『正義』と称する集団が、ココで犯罪行為をした『悪』を容赦なく始末するという事件だ。


殺されたのが犯罪者でアレ、ソノ『正義』がしていることは殺人だ。



でもこんなスラム街じゃぁ、警備も衰えているので『正義』を捕まえることはできない。



しかも『正義』は毎回夜中で殺るらしく、その手口は誰にもばれないように静かに行うものだ。そのお陰でより一層捕まえにくいみたいだ。




一部の人間の間では、犯罪者を殺すとあって本当にそいつらを『正義』と拝むものも居るらしい・・・。



まぁ・・・俺には関係の無いことだけどな。





「もう!コノ事件近頃本当に多いですよね!昨日も女性が一人首の骨を折られて死んだみたいですし!」


「ふぅーん」



乃原がなにやら興奮して言っているけど、俺は興味を無くして適当に相槌を打った。 どうでもいいけど、こんな大通りの真ん中で踊りながら喋るの止めてほしい・・・・。




俺が話に興味を無くしたのに気づいたのか、乃原は話しかけてこなくなった。 ソノ分また、踊りだした・・・・。




あぁもう!!通行人が変な目でめてきてるだろがっ! 俺の堪忍袋の緒はプツッと切れた。





「乃原!いい加減に踊るの止めろ!!」




思わずでかい声で叱ってしまい、より一層目立つことに・・・・ もう、最悪だ・・・・。


なにやらコッチを見てクスクスと笑っている人も居るし・・・・




「ハァー」




思わずため息が出た・・・・。







ドンッー




「うわぁ!!」


「あ!」




何かがぶつかる音と、そんな声が聞こえて、声のした方を見ると。乃原と俺たちと同じぐらいの少女が、地面に尻餅をついていた。



どうやら、ぶつかってコケたらしい・・・・・。俺は直ぐに少女に駆け寄って、手を差し伸べた。



「大丈夫ですか?」


「あ、はい」



少女は何事も無かったかのように、俺の手を掴むことなく、すくッと立ち上がった。どうやら何処も怪我していないようだ。 思わず安堵の息を漏らした。




少女は俺より少し身長が低くて、黒いシンプルな服を着ている。それに黒い帽子を深々と被って顔が良く見えない。



全身黒い少女だった。



まぁ。ココじゃそんな奴珍しくないけど。




「それじゃぁ。私急いでいるんで」



すると、少女はそそくさと俺のすぐ横を通り過ぎた―――








その時






フワッ




少女が横を通り過ぎた時、何かのにおいがした・・・・




コノ・・・におい




コレって・・・・









血のにおい?!







パシッ



思わず少女の細い腕を掴んでしまった。 それに少女が驚き、足を止めて俺の方を振り返った。




「えっ?」


「あっ」



ハッとして、すぐに腕を離そうとした・・・



「君・・・・血のにおいがするね?」



いつの間にか乃原が少女のすぐ横に来てそう言った。乃原が居たことにも驚いたが、乃原が言った言葉にも驚いた。




やっぱり、気のせいじゃなかった・・・・。




乃原の言葉で確信した、コノ少女から確かに血のにおいがする事に。




この少女一体何を・・・・・






「ねぇ。君」



俺が少女に問いかけようとした。











その瞬間












ガンッ




「うっ・・・」


「うぁ・・・・・」






頭が・・・・・・・痛い・・・



殴られた・・・・?










そして視界が真っ暗になった。


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