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主席神官カルミナ・ヴェルディア

 ゆったりとしたローブをまとった、威厳のある女性が部屋へと足を踏み入れた。


「エリさんといったかしら。体調はもう良くなった?」


 柔らかな、けれど芯の通った声。女性は自らを主席神官、カルミナ・ヴェルディアと名乗った。

 その凛とした佇まいに、エリは少し気後れしながらも、素直な疑問を口にする。


「……あの、主席神官っていうから、もっとおじいちゃんの神官様が来るのかと思っていました」


 するとカルミナは、くすりと不敵な笑みを漏らした。


「女神ミリエル=エオニアは処女神よ。そんな方に仕えるのが男じゃ、裏で何をしでかすか分かったものじゃないわ。だから、この国では高位の神官はみな女性なの」


「女神様……案外、性に貪欲っていうか、それとも潔癖なんですかね?」


 エリの失礼な呟きを、カルミナはさらりと受け流した。


「それは兎も角、あなたの話をしましょう。オーエンから聞いていると思うけれど、今のあなたの容姿は女神様そのものなのよ」


 カルミナが一枚の絵姿を差し出す。

 そこに描かれていたのは、目が眩むほど美しい女性の姿だった。


「これが女神様の絵姿。金髪碧眼で、透き通るような白い肌……。そして、出るところは出て、引っ込むところはしっかり引っ込んでいる完璧なプロポーション」


 そこで言葉を切ると、カルミナはエリの体を上から下まで眺めた。


「……まあ、あなたは女神様のイメージよりだいぶスレンダー、というか細すぎるけれど」


 じろじろと品定めするような視線に、エリは思わず自分の体を腕で隠した。


「それは……ほっといてください。元が日本人なんですから」


「ふふ、いいわ。でも、外見だけでは足りないの」


 カルミナの表情から余裕が消え、厳しい神官の顔に戻る。


「魔力鑑定で神並みの潜在能力は認められたけれど、それだけでは不十分だわ。救世主として認めるには、実際に魔法が使えるかどうかを確かめさせてもらう必要があるの」


 射抜くような鋭い視線が、エリを捕らえて離さない。


「さあ、あなたの『力』を見せてもらえるかしら?」


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