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寝ている間の魔力鑑定

 次にエリが目を覚ましたのは、清潔なシーツが敷かれたベッドの上だった。


 窓から差し込む柔らかな光に目を細めていると、傍らにいた若い女性と目が合った。

 付き添っていたのか、それとも見張られていたのか。彼女はエリが覚醒したのを確認すると、一言も発さずに慌てて部屋を飛び出していった。


 入れ替わるようにして、一人の男が室内へと足を踏み入れてくる。


「目が覚めたようだな。自分の姿を見て気を失うとは、こちらがびっくりしたぞ」


 聞き覚えのある傲慢な声。だが、その姿にエリは目を疑った。

 現れたのは、湖の畔で出会った時とはまるで別人のような男だった。


 ボロボロだったローブは小綺麗なものに着替えられ、無造作だった髪や髭もさっぱりと整えられている。

 自称・賢者オーエン。身なりを整えれば、それなりに威厳を感じさせる風貌をしていた。


「……だって、自分の姿が他人になっていたんですもの。あなただって、ある日突然自分の姿が別人のものに変わっていたら、びっくりするわよ」


 言い返しながら、エリは自分の手元に視線を落とした。

 視界に入る髪の手触り、透き通るような肌の色。


「……まだ、あの姿のままなのね」


 ぽつりと呟き、現実を突きつけられた思いで溜息をつく。

 ふと、自分の身に纏っているものに違和感を覚え、エリは跳ねるように上半身を起こした。


「ちょっと、服が変わってるんだけど! オーエン、まさか……あなたが着替えさせたんじゃないでしょうね!?」


「いや、それは流石にな。この神殿の女性神官が着替えさせた。気を失った際、服が濡れてしまっていたからな」


 オーエンの冷静な回答に、エリはひとまず胸をなでおろした。

 だが、彼の次の言葉が再び彼女を硬直させた。


「それとな、エリ。お前が眠っている間に『魔力鑑定』を受けてもらったぞ」


「……勝手に?」


 思わず声が低くなる。そんなエリの反応をどこ吹く風で、オーエンは平然と言い放った。


「ああ、勝手にな。鑑定していいかと尋ねはしたが、お前は断らなかったからな」


「寝てたんだから当たり前でしょ!」


 怒るエリを無視して、オーエンは鑑定結果を告げる。


「その結果、お前には魔法使いとしての高い潜在能力があることが分かった。言い伝えにある『救国の魔法使い』である可能性が高い……と、神殿側は考えているようだ」


 オーエンの表情に、先ほどまでの軽薄さは消えていた。


「エリ、お前の魔力測定の時に異常事態があってだな、……まあ、測定の魔道具が壊れた。そして神託があったんだ。『神の力を測るとは不敬である』とな」


 一息ついて、彼は部屋の扉の方を顎で示した。


「まあ、詳しい話については、後ほど主席神官から聞いてくれ」


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