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対決!最強の魔獣『黒竜』

王国の北部、険しい岩肌が連なる山岳地帯。その上空を、不吉な黒雲のごとき巨影が舞っていた。 一吹きで城塞を溶かすと恐れられる「黒竜」である 。


「……よし、ターゲット確認。今回は国産兵器じゃなくて防衛装備品で行くわよ」


エリがイメージしたのは、自衛隊の誇る91式地対空誘導弾(SAM-2)。肩に担いだハイテクな発射筒から、魔力の火を噴いて「鉄の鳥」が放たれた。


光の矢と化した誘導弾は、正確に黒竜の熱源を感知し、その懐へと飛び込む。だが、黒竜は並の魔獣ではなかった。

黒竜は巨体に似合わぬ急旋回でミサイルを躱し、追尾してくる弾頭に対し、黒竜は口から猛烈な「炎のブレス」を吐き出した。その高熱が赤外線誘導を狂わせ、ミサイルは空中で爆発霧散してしまったのだ。


エリはためらいなく次弾、次々弾を発射したが黒竜は炎のブレスを効果的に使ってミサイルを回避もしくは爆破してしまったのだ。


「嘘でしょ、ブレスをフレア代わりに使うなんて……! あいつ、熱源誘導の仕組みを理解してるの!?」


凄まじいミサイルとの空中戦を繰り広げる中、黒竜はふと動きを止めた。見たこともない「妙な攻撃」を仕掛けてくる少女に、強い興味を抱いたのだ 。

(面白い、空を飛ぶ竜に追尾型の武器を射かけるなど、ついぞ経験したことがなかった。ブレスで躱さなければ大怪我したところだ。どんな奴が射掛けたか見てやろう)

地響きを立ててエリの数メートル先に降り立った黒竜に、オーエンは腰を抜かさんばかりに震え上がった。


「エ、エリ! 早く次の魔法を……! 殺されるぞ!」


しかし、エリは担いでいた発射筒を消し、静かに黒竜を見つめた 。


「待って、オーエン。この子、攻撃する気はないわ」

「何を言っている! 相手は人類の厄災……っ」

「わかるのよ。ミリオタの勘っていうか……今はただ、観察されてる感じ」


エリが歩み寄ると、黒竜は黄金の瞳を細めた。黒竜は、エリの容姿が女神そのものであること、そしてその内側に秘められた凄まじい「神性(魔力)」に気づいたのだ 。


次の瞬間、黒竜の念話が二人の脳内に直接響き渡った。

『……見事なり。この我の理を脅かす未知の術、そしてその清廉なる神の気配。決めたぞ、人の子よ。我は今日より、汝に隷属せん』


「ええっ!? ちょ、ちょっと待って、急にペット宣言!?」


驚くエリを余所に、黒竜は尊大な態度で続けた。


『光栄に思うがよい。これからは我こそが、汝の隣に侍る「一番身近な存在」となってやろう』


これに猛烈に反応したのは、恐怖で震えていたはずのオーエンだった。


「な、何をぬかすかトカゲ風情が! エリを救世主として見出し、湖の畔からずっと支えてきたのはこの俺だぞ!」


「オーエン……?」


「エリの一番身近な存在、いわば『筆頭守護者』の座は、誰にも譲らん! たとえ竜王であってもだ!」


『ふん、ひ弱な人間が。汝に我ほどの火力があるのか?』


「火力じゃなくて、信頼と……あと氷砂糖の供給実績だ!」


黒竜の出現に王都中がパニックになっているとも知らず、現場では「どっちがエリの隣にふさわしいか」という低レベルな言い争いが勃発していた。


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