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■ 第三十八話 「同じ空の下の敵」

(▭-▭)φカタカタ:やばい書きだめの量が⋯⋯。生産追いつかん(泣)

 空気が重くなる。


 冒険者たちのざわめきも小さくなった。


「帝国軍が動いた……?」


 誰かが呟く。


 ギルドマスターは職員を見る。


「確かなのか」


「は、はい!」


 職員は息を整えながら言う。


「国境砦からの伝令です!」


「斥候部隊が確認されました!」


 周囲の冒険者たちがざわつく。


「斥候?」


「じゃあ本隊も近いのか?」


 ギルドマスターは腕を組んだ。


「まだだ」


「斥候は様子見だろう」


 だが声は重い。


「……時間の問題だな」


 ガルドが小さく舌打ちする。


「ちっ」


「嫌な時代だ」


 竜星が肩を回す。


「戦争か」


 青森が静かに言う。


「冒険者も呼ばれるな」


 ギルドマスターは否定しなかった。


「大規模になればな」


 周囲の冒険者たちの顔も真剣になる。


「王国は騎士団だけじゃ足りない」


「だから冒険者がいる」


 誰かが呟く。


「俺たちも戦場かよ」


 ガルドは苦く笑った。


「昔はダンジョン潜ってりゃよかったのにな」


 俺はその話を黙って聞いていた。


 戦争。


 国同士の戦い。


 この世界では珍しいことじゃない。


 だが。


 俺たちには少し違う意味を持つ。


 竜星がぼそっと言う。


「……なあ」


 青森を見る。


「他のやつらどうしてんだろうな」


 その言葉に、少しだけ空気が変わる。


 朱も視線を上げた。


 青森が答える。


「クラスメイトか」


 竜星が頷く。


「この世界に来たの」


「俺たちだけじゃないだろ」


 確かにそうだ。


 あの時。


 教室には。


 三十人以上いた。


 ガルドが首をかしげる。


「クラスメイト?」


 竜星が誤魔化すように笑う。


「昔の仲間だよ」


 ガルドは深くは聞かなかった。


「戦争なら」


「いろんな国が動く」


 少し真面目な顔で言う。


「運が悪けりゃ」


「敵で会うこともある」


 その言葉は軽かった。


 だが。


 現実だった。


 青森が小さく言う。


「……ありえるな」


 朱は何も言わない。


 ただ空を見ていた。


 竜星が少しだけ声を落とす。


「まあ」


「生きてりゃいいけどな」


 その言葉に。


 誰もすぐには答えなかった。


 この世界は優しくない。


 それは。


 もう分かっている。


 魔物。


 盗賊。


 戦争。


 死ぬ理由はいくらでもある。


 そして。


 もしかしたら。


 もうすでに。


 死んでいる者もいるかもしれない。


 俺は空を見上げた。


 青い空。


 だが。


 その向こうでは。


 国が動き。


 軍が動き。


 戦争が始まろうとしている。


  そしていつか。


 その戦場で。


 俺たちは――


 かつてのクラスメイトと再会するかもしれない。


 味方として。


 あるいは。


 敵として。


 この世界に来たのは、俺たちだけじゃない。


 あの教室にいた全員が、どこかの国にいる可能性がある。


 王国。


 帝国。


 それ以外の国かもしれない。


 もし。


 戦場で出会ったら。


 もし。


 剣を向けられたら。


 俺は――。


 ふと、自分の手を見る。


 この手は。


 もう人を殺している。


 守るために。


 生きるために。


 そして俺は決めた。


 この世界で生きるために。


 仮面を被ると。


 冷徹で。


 残酷で。


 必要ならば迷わず命を奪う。


 そんな仮面。


 <殺心受容>。


 だが。


 もし。


 その刃の先にいるのが――


 かつて同じ教室で笑っていた人間だったら。


 俺は。


 その仮面を被ったまま。


 剣を振れるのだろうか。


 そして。


 殺せるのだろうか。


 静かな風が吹く。


 答えはまだない。


 だが。


 その時は。


 いずれ必ず来る。

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